先日お盆の合間に(営業中ではありましたが…)、息子とかねてから約束していた《男同士・行き当たりばったりの2人旅》を実現しました。…と言っても車での一泊旅行ですが(^_^;)
息子の高校最後の夏休みに、ささやかな想い出を作る旅です。
好天の午後1時過ぎに滝川を出発。目的地は《世界遺産・知床》
僕は小学校に上がる前くらいに親に連れていってもらい、大人になってからも行ったことがありましたが、息子は初めて。世界遺産に登録されたことと、夏休みや盆休暇が重なり大変な混雑が予想されましたが、どうせ野宿が目的なんだからいいべ~と向かいました。
持ち物は、一日分の着替えと風呂道具(何処かの温泉に入るべく)、あと空のクーラーボックスとマグカップ。一応カメラと、息子はビデオ担当。
おにぎりをほおばりながら、国道12号線を北上し旭川で給油。国道39号線に入り愛別、上川を抜け層雲峡を越えたところにある《銀河の滝・流星の滝》を見物。太古の柱状節理からゆったりと流れ落ちる様は優雅であります。が、観光客がびっしり(^_^;)
次に、銀河トンネルを抜けたところにある《大函》という渓谷に立ち寄るも、ここもすぐに出発。石狩川の上流部を右手に見ながら走り、大雪ダムにて石狩川に別れを告げ石北峠へ。頂から見下ろす景色は原生林の深い緑でした。
峠を下ると留辺蘂町。温根湯温泉が有名ですが、その手前に《塩別温泉》という小さな温泉があり、息子の『ひなびた系の温泉』というリクエストに応えて、その名も《塩別つるつる温泉》という知る人ぞ知る有名な温泉に入りました。
時刻は夕暮れ前。時季だけでなく、人気の温泉なので駐車場もびっしりでしたが、スムーズにゆったりと、サウナにまで入ってきました。泉質は無色で若干硫黄臭のするお湯で、文字通りつるつるでした。露天風呂は緑に囲まれた開放感のある野趣あふれるものでしたが、虫やらゴミっぽいのやら人やらがたくさんで、ここには長居はしませんでしたが(^。^;)
風呂から上がったら外は間もなく日没。夕食をどうしようかと話しながら出発。すぐに北キツネ牧場がありましたが、うちの近所にも北キツネいるんで通過。辺りが暗くなった頃に北見市内に入りましたが、お互いまだ腹も空かず、とにかく走ろうと通過。美幌を目指し、ショートカットすべく道道に入ったつもりが農道で、方向は間違いないから行っちゃえと突き進んだらなかなかの林間ダートコース。辺りはすでに真っ暗でした…。
『この道を行けばどこ行くものか…行けばわかるさ、迷わず行けよ。ありがと~!』と叫んでしばし走ったら、かすかに人工的な明かりが見え始め、そのうち舗装道路に当たるとすぐに街になりました。美幌町に到着です。時刻は午後7時半…
さすがにこの町で何か食べないとコンビニ食になっちまう(▼▼)
結構開けた街なので、『蕎麦ではないよなぁ』などとこの期に及んで贅沢を言いながら彷徨っていると、目に付くのはそば屋ばかり…。時間も遅くなり、町はずれで見つけたどう見てもそば屋に入りました。どうか美味しいものに当たりますように…。
《味処・和田川》中に入ると閉店30分前。老舗らしき広い店内に、地元の方らしきお客さんも結構多く、おばちゃん達が数人動き回っておりました。
息子は海に着く前にイクラ丼とそばのセット。僕はソースカツ丼とそばのセット。2人分で1800円ぐらいなので、軽めのを想像してたらお盆一杯にどん!結構なボリュームだけでなく味もすごく美味しい!!特にそば。胡麻そばの香ばしさとつゆの香りとこくは、たまらず飲み干してしまうほど。値段以上の満足感に満たされ店を後にしました。
食事をしながら本日の宿営地を話し合い、ウトロまで行こうということになり国道334号線をひた走る。
東藻琴村、小清水町を抜けて斜里町到着、午後9時過ぎ。
確かこの町には駅前のセイコーマートしかコンビニは無いというガセネタに踊らされ、そこにたどり着き飲み物・つまみ・朝食用サンドイッチを仕入れるも、氷がない!一つもない!!楽しみにしていた寝酒が~…暑い夜なのに…。しかし、町を一周してみると、やはりガセネタなのか情報が古かったのか…あるではないのっ!セブンイレブンにローソン!!
早速氷を買い込みクーラーに入れたのは言うまでもない(^.^)
さぁここから先は知床半島。若干の山道を抜け、海岸線に出ると左手は真っ暗なオホーツク海。波はかなり穏やかな様子…。
この辺りから道路沿いに車中泊らしき車が目立ちはじめ、しばらくして《オシンコシンの滝》に到着。滝の駐車場にはトイレも完備され、子供の頃来たときとはまるで様子が違ってました。この駐車場はほぼ満車状態。で、オシンコシントンネルを抜けるとすぐ右手に、トイレも明かりも無いが広めの駐車場がありました。ここはガラガラ。とりあえず通過してウトロ近くまで行きましたが、路上駐車まで出始めたためUターン。さっきのガラガラ駐車場を宿営地と決め駐車。時刻は午後10時半近くでした。
車から降りると、目の前は片側一車線の道路を挟んですぐ海なのに、波の音も全く聞こえないぐらいのべた凪。風もなく暑いぐらい。
息子がぽつりとつぶやきました。『星…すごいね…』
見上げると、『うわっ…』
雲一つない空にまさに満天の星!!北斗七星やカシオペアがすぐに見つけられないほどの無数の星…。
『こんなに星が見えるんなら、ペルセウスの流星群の名残が見れるかもなぁ。確か北東の空に…』
ヒューーーーーン
見られました、流れ星(^^ゞ
車に戻ってシートを寝床バージョンに変えて、まずはお疲れさんの乾杯。無事到着の報告メールは電波状態がかなり悪くなかなか送信できず。他の場所は大丈夫だったので、ひょっとしたらここが空いてるのはこのせいかも。だとしたら今どきの人ってちょっと…(~。~;)
少しして車内の明かりを消し、サンルーフを開けてみると先程の満天の星。お互いじっとしていられなくなり、クーラーとマグカップを持って外へ…。
縁石に腰掛け、海岸でテントを張ってる数人のグループが時折放つ歓声と、たまに目の前を通過する車の音以外は静寂で、満点の星空の下、息子とたくさん語り、美味い酒をたくさん飲んじゃいました(^,^)
気が付くと時刻は午前2時(‥;)
車内に入り、虫の心配をしながら蒸し暑いのはたまらんと窓を少し開け、携帯のアラームを午前7時半にセットしてタオルケットを被りました。多分数十秒で、息子の寝息が聞こえてきました。その後僕も、多分数分で眠りにつきました…。
車を揺さぶるような細かな振動とノイズ、妙な湿気に目を覚ましたのは午前5時半。辺りは明るいが、あるはずの青空ではなく灰色の景色…。ものすごいどしゃ降りでした。おかげで涼しかったので、とりあえずしっかり二度寝。アラームで起きるもまだどしゃ降りなの三度寝…(~_~;)
次に目覚めたのは午前9時40分!さすがに2人で飛び起きて寝床を撤収。雨はほとんど止んでいたので外に出て、速攻でサンドイッチをほおばり出発!
まずは逆進してトンネルを抜け《オシンコシンの滝》へ。駐車場がびっしりで、路上駐車もままならず、仕方なくUターンして徐行して車内から見物。原生林に覆われた絶壁の中腹から幅広く吹き出して、岩肌を斜めに伝い落ちる豊富な推量は圧巻!
そこから少しで《ウトロ》に到着。町の入り口にあったエネオスで給油とトイレタイム。かなりの交通量なのに、スタンドはなぜかガラガラでした。
スタンドを出てすぐに渋滞。時刻は午前10時過ぎ。どうやら温泉街から出てくる車と、ウトロ港や知床五湖に向かう車が小さな交差点で錯綜しているようでした。
我々は、一応ウトロ港に向かいましたが、船に乗るどころか車も停められない状態だったので、すぐに知床五湖を目指しました。
少しずつ標高が高くなるにつれ濃霧と霧雨が入り乱れ、景色もままならないまま知床五湖の駐車場に到着…が、やっぱりここもまともに車を停められそうになく、どうせ雲の中だしということでUターン。今度は《知床横断道路》に入りました。
道路は大変きれいで、思ったよりも空いていて走りやすかったが、途中途中雲の中。しかしさすがに自然遺産を貫く道路。珍しくはない北キツネと、珍しいきれいなエゾシカが居りました。
思ったよりは険しく無かった峠を越えて、羅臼側に下り始めた頃から青空が見え始めました。
時刻は間もなくお昼時。昼食はもちろんオホーツクの海の幸!これを息子に味あわせてやりたかったのも今回の旅の目的の一つでした。
羅臼町市街地から少し外れた道の駅に着いたのはちょうどお昼ぐらい。何とか車を置いて中に入り、土産物を物色。その後レストランを覗くと座れそうだし、海の幸もメニューにある。しかし、ここではないのです!
以前情報を得た、本物を味わえるところへ行くべく市街地へ戻り、更に国道から住宅街(狭い町なのですが…)に入り、ポツリポツリと点在する小さな飲食店のひとつ《廣瀬》へ。
店の隣は一般住宅という狭い地域の一角に車を置き、いかにも老舗らしき店内に入ると、寿司屋の小さなカウンターと広めの小上がり。知る人ぞ知るお店らしく、数々の有名人の色紙がずらり。お客さんは、旅行者らしき二組ほど。我々は小上がりに陣取りメニューを見る。『さぁ、ウニを食え!』息子に促しましたが、メニューを見て息子の目が少しだけまあるくなりました。僕の何倍も経済観念がしっかりしている息子は、〈ウニ丼3150円〉の文字に遠慮しようとしたのです。
『これを食わしたくて連れてきたんだ。遠慮しないで食えよ(^o^)』この言葉に息子はニッコリ(^^)
テレビの甲子園球児達を見て待っていると来ましたウニ丼!!箸でつまんでも崩れないほどプリプリしたウニがたっぷり!おまけに朝採れたという白身魚の汁。これがまた口の中でとろりととけてしまう…なんて名前の魚だったか…(^_^;)。あと、大将のサービスでズワイガニのサラダを一皿いただきました。とにかくどれも美味しくて満腹、大満足。想い出に残る食事となりました(^○^)
羅臼からは国道335号線となり、左手に根室海峡を眺めながら走ります。若干曇っている程度だったのですが、25㎞程先の国後島は見えませんでした。走りながら次の目的地を《標津サーモンパーク》に決めました。40分程で到着。今まで見てきた知床絡みの観光施設とは違いガラ空きでした(^_^;)
せっかくなので、大人610円、高校生400円支払って《サーモン科学館》に入りました。順路に沿って歩いていくと、いるわいるわ…。鮭のみならず、まずはオショロコマに迎えられ、イトウ・ニジマス・ヤマベ・あげくはカレイにタラバや毛ガニ、北海シマエビ。はて…、そういえば鮭はめっちゃ小さい稚魚と剥製しかおらんかったような…?
館内ではクイズラリーを実施中で、せっかくだから童心にかえってやってきました(^,^)
エビ・カニの水槽ではちょうど餌やりの実演時間で、上からオキアミがばらまかれて降りてくると、それまで数匹しか確認できなかった北海シマエビが、どこからともなく沸いてきて数え切れないぐらいの数になり、一心不乱に餌を捕り始めました。オキアミを抱え込むと、ピョーンと後方にはじけるんです。まさに躍り食い(^o^)。
一階・二階を一通り見た後、三階は展望室とのことでエレベーターに乗りました。〈ん?二階から三階の間、ずいぶん長いな…〉エレベーターを降りると、かなりの高さ…確か40メートルぐらいかと。雲が晴れた海には《国後島》がくっきりと!しかし、動かない高いところはケツがムズムズしてイカンので早々に降りました(^。^;)
館から出て、上から見下ろしたときに見えた池の中を泳ぐ無数の魚を確認しに行ったら鯉でした。池の畔で鯉に向かって石を投げるお子さま。それを微笑ましく見つめながら友人と話し込む若いお母様…今どきの人って…(~。~;)
標津を出発したのが午後4時過ぎ。オホーツク海の根室海峡に別れを告げ、国道272号線を走って中標津町へ。ここは、10年ほど前に僕の親友が住んでいた町で、一度遊びに来たことがあり、町なのにずいぶん都会だなぁとのイメージが強かった覚えがありました。そのまんまを息子に語りながら市街地を抜け(以前にも増して道東ではかなり垢抜けた街でした)、記憶を辿りながら町はずれの親友が住んでいた住宅を探し当て、携帯でパシャ!〈息子と2人旅中〉と写メールを送ったら、すぐに『道東に行ってるんだ~!』との返信。写真だけで通じました。便利な時代と記憶の素晴らしさを実感。
すぐに中標津を出て道道13号、国道243号線を通り弟子屈町へ。道道52号に入り《摩周湖》に到着。第一展望台にて410円の駐車料金を払い下車。やや風が強く、上空は雲が流れている状態でしたが、霧のない摩周湖でした(^.^)
駐車料金には、この先の《硫黄山》の駐車料金も含まれていて、通り道なのですぐに向かいました、とにかく急いで。このころから、日没が気になりだしたのです。なぜなら、今回の旅の目的の一つに《美幌峠》の絶景を見せるというプランが僕の中にあったから。日が落ちてしまってはせっかくの景色が台無しですからねぇ。
道道52号から国道391号線に当たるとすぐに《硫黄山》に到着。広い駐車場に車を停め、夕暮れ近い時間ながらまだまだ居る観光客に混じり、地中から吹き出している煙を目指して歩き出すと…『たまご、たまご、たまご、たまご、たまごぉ~~~』と叫ぶ親父の声。温泉卵売りでした(‥;)
卵は買わず、吹き出す煙のすぐそばまで行き、2人揃ってちょっとだけ煙を吸って『うわっ、硫黄臭ぇ~』とどちらともなく一声発し、すぐに踵を返す…。
日没が迫っていました。駆け足で車に戻り出発。川湯で温泉でも…というプランは保留との話がまとまり、道道52号を右手に屈斜路湖を眺めながら南下。国道243号線に当たったら美幌峠に向かい北上…。
《美幌峠》に着いたのは、日没直前。観光客はほとんど居なく、雲の中というコンディション。すぐに車から降り、だらだら傾斜の石段を駆け上がり展望台へ。頂上に着くと、ゴツゴツした大きな岩が点在し、広く柵がが設けられている。その柵に近づくと、タイミング良く強い風に雲が流され、絶壁のような、熊笹と原生林の急勾配の遙か眼下に広がる屈斜路湖。
間に合った!この景色を息子に見せたかった!!
『父の中では、ここの景色が北海道で一番の絶景なんだ。』そう息子に告げて、ほぼ日が落ちた展望台から下りました。
駐車場にある広めの売店に立ち寄り土産物を物色。
『そういえば、今回旅の定番、あげいもやソフトクリーム食ってないな。なんか食うか?』
そう息子にたずねると、
『あんまりお腹は空いてないけど…あげいもかな。』
確かに匂いが漂っていたのでコーナーへ。しかし撤収完了直後でした(+_+)
『もっと腹減らして、晩飯美味いもん食おう!』と、美幌峠をあとにしました。
峠からヘッドライトを点け、国道243号線を美幌町に向かって30分程下った右手に《峠の湯》という看板を発見!駐車場はたくさんの車で混雑していましたが、ここらで風呂に入っとかないと後々時間的に温泉入れなくなるなとの話がまとまり、空いてるスペースに駐車して館内へ。
まだ建ったばかりなのか、ちょっと古い手持ちの地図には載っていないが天然温泉!建物の内外は大変綺麗で、大勢の客はほとんどが地元の人らしく、MY風呂道具を持参。我々もMY風呂道具を持って浴場へ。
浴場は大きな円形を男女仕切られていて、天井は木造で円錐形に組まれていました。泉質は単純アルカリ性。無色・無臭で結構軟らかく、すっきりつるつる系。すっかりリフレッシュして《峠の湯》をあとにしました。
夜を迎えてそろそろ美味いモンの心配をしながら、国道243号線で美幌町を抜け、今度は余計な山道を避け、国道39号線を通り端野町を抜け北見市へ。時刻は午後8時過ぎ。
まずは車のお腹を満たさねばと、安いセルフのスタンドを見つけて給油。
『せっかくだから、地元の美味いモン食いたいよなぁ』などと話しながら市内をさまよっていると、我々の地域では見かけない名前のファミレス風の居酒屋発見!早速車を停めて店内に入ると、多くの人たちが待たされている!!この状況は、我々に与えられた時間と空腹状態には非常にヤバい…。すぐに店を出て車に乗り他を探す。次に見つけたのは、大衆向け中華料理店。しかし、ここも先程と同じ状況であった…。
町はずれまで走ったが、ここから進むと晩飯はコンビニになってしまうとUターン。しばらく走ると息子が、
『明るいところが見えて、[喰い]なんとかって看板見えた』と助手席から報告。すぐに息子の言った方向に向かうと、そこは結構な繁華街。息子が見つけた看板は駐車場に掲げられており、見ると数件の店名が記されていました。
ゆっくり駐車場に進入すると、優しそうなおじさんが寄ってきて、
『代行ですか?』と。
『旅行中なんですが、食事をしたくて…』
そう答えると
『看板の店に入れば、ここは2時間タダですよ!』と満面の笑顔。
この一帯で腹を満たすことを決め、すぐに車から降りて試しに尋ねてみました。
『地元のものを食べられる所ありませんか?』
するとおじさん、もう一人のおじさんを手招きしました。もう一人のおじさんは、ニッコリ笑って指さしました。10メートル先の《居酒屋 蛍屋》
『近いし、美味しいよ!』
かなり大きな店構えで店内は予想もつきませんでしたが、おじさんの笑顔に絆され直ぐに入りました。
大きくもシンプルな外見からは想像つかなかったのですが、店内に入るとそこには我々の世代が懐かしさをおぼえる昭和の風景が再現されていました。
カウンター席や、ランダムに配置された大小の小上がりボックス席、あちらこちらに昭和の遺物が飾られているというよりもすごく自然に配置されていました。店員に促されて上がった4~5人向けの小上がりボックス席にも、天井からは当たり前のように〈ホーローの傘がついた裸電球〉。壁には〈ホーローの看板〉…。
その空間は、僕が自然に懐かしさからの居心地の良さを感じたのとは多分違った意味で、10代の息子の目には斬新さ印象づけた様子でしたが、やはり居心地の良さを感じていたようです。
2人にとって、さまよってやっとたどり着いた場所としては最高の条件が揃っていました。その気持ちはメニューを見て完璧となりました。
メニューを開くと美味しそうな料理の写真、そこに載っているほとんどの料理には、〈端野町の。。。〉〈生田原町の。。。〉などなど…。この地域のものが食べたいなぁ~と話してた我々願いが叶ったのでした。
北見及び周辺の市町村の食材を使い、ものによっては余計な味付けはしない。たとえば〈串もの盛り合わせ〉。塩かタレかなんて聞きません。出てきた皿の脇に、薄黄色の塩と自家製様マスタード。試しに鳥串をなにもつけずに一口…『う、うまい!』鳥の食感や香りが全然違うんです。他にもたくさんあり、たくさん食べましたがお世辞抜きに皆美味しくて、紹介したくてもなにがなにやら…(^_^;)。車だったので、アルコールは我慢しましたが、カクテルやフィズなどの飲み物も多く、そのほとんどをノンアルコールで作ってくれるという気の利いたお店でした。
帰りがけ、まだお若い店長が『お車でしたか?北見にお泊まりですか?』などと声をかけてくれ、これから滝川まで帰りますと答えると、少々驚いた様子で(夜の10時回ってましたんで…)『お気をつけて。また北見へ来ることがございましたら是非お立ち寄りください。』と、丁寧でいて、決して事務的ではない口調で、表まで見送りに出てくれました。その暖かさに触れ、『地元のものを求めて偶然来ましたが、大変満足しました。またいつか是非寄らせていただきます。』と、こちらも思わず丁寧に挨拶して店をあとにしました。
店から50歩ほど歩いたところに車が置かれていて、受付のおじさんに笑顔で送られて出発。すっかりお気に入りとなった北見を離れました。
国道39号線は車の数も少なくなり、心もお腹も満たされてしばし快適なナイトドライブです。
留辺蘂町を抜け、温根湯温泉、北キツネ牧場、昨日入った塩別温泉の看板を見過ごし、一気に北見峠を登り切ったときには辺りは少々雲の中。下りになって、層雲峡まで来たときには少しだけ星が見え始めました。
上川町辺りまで来たとき、『そういえば、今回旅の定番(?)の揚げ芋やソフトクリーム食ってなかったなぁ。食いたい?』そう息子に問いかけると、いつもあまりおやつや間食を求めない息子が珍しく『食いたい!』と。
時刻はすでに午後11時半でしたが、『よぉ~し。旭川に行けばどっかになんかあるかもな!』と、旅の締めくくりをソフトクリームに絞り、旭川を目指しました。
上川町から、建設中で一部開通し試験的無料になっている高速道路に入り、無料区間の比布町まで走り、高速を降りて直ぐにポツリとソフトクリームが光ってる…、〈ローソン〉でした。息子に判断をゆだねると直ぐにOK。早速入りカップに入れるタイプのソフトクリームを買い、車に戻って食べました。その甘さが妙にいい!美味い!!
またもや心もお腹も満たされて、いよいよラストスパートです。国道40号線で旭川を抜け、新道を通り国道12号線。神居古潭を通過し深川市…。
2人旅はいよいよクライマックスなのですが、道中数多くあったカントリーサイン。ビデオ担当の息子は、車中から景色などを撮りながらカントリーサインを狙ってました。しかし、そのほとんどが直前で気づき、ビデオカメラを構えたときには「STAND BY」の文字が空しく点滅している最中に通過…。
旅の終わり、最後のカントリーサイン《滝川市》
『もうすぐだぞ。』
息子がビデオを構える。
『ほら、見えた!』
『………』
『どうだった?』
『またダメだった…(^_^;)』
『はは…。また行こうや!』
『うん!』
そんな会話で真夜中の滝川市に入り、自宅に到着したのは午前1時過ぎ。駐車スペースに車を納め、『無事に着いたな。楽しかったな。お疲れさん!』そう息子に声をかけてエンジンを止めると、息子がそっと手をさしのべ『ありがとう』と…。
あとで息子に今回の旅で印象に残ったことを聞いてみたら、
『たくさんありすぎて答えられない』…でした(^_^;)
『いつか交代で運転出来るようになったら、今度はもっと走ってみような!』
そう約束して、《2005年 夏の想い出づくり 行き当たりばったり 男同士2人旅》を無事終えることが出来ました。
息子の高校最後の夏休みに、ささやかな想い出を作る旅です。
好天の午後1時過ぎに滝川を出発。目的地は《世界遺産・知床》
僕は小学校に上がる前くらいに親に連れていってもらい、大人になってからも行ったことがありましたが、息子は初めて。世界遺産に登録されたことと、夏休みや盆休暇が重なり大変な混雑が予想されましたが、どうせ野宿が目的なんだからいいべ~と向かいました。
持ち物は、一日分の着替えと風呂道具(何処かの温泉に入るべく)、あと空のクーラーボックスとマグカップ。一応カメラと、息子はビデオ担当。
おにぎりをほおばりながら、国道12号線を北上し旭川で給油。国道39号線に入り愛別、上川を抜け層雲峡を越えたところにある《銀河の滝・流星の滝》を見物。太古の柱状節理からゆったりと流れ落ちる様は優雅であります。が、観光客がびっしり(^_^;)
次に、銀河トンネルを抜けたところにある《大函》という渓谷に立ち寄るも、ここもすぐに出発。石狩川の上流部を右手に見ながら走り、大雪ダムにて石狩川に別れを告げ石北峠へ。頂から見下ろす景色は原生林の深い緑でした。
峠を下ると留辺蘂町。温根湯温泉が有名ですが、その手前に《塩別温泉》という小さな温泉があり、息子の『ひなびた系の温泉』というリクエストに応えて、その名も《塩別つるつる温泉》という知る人ぞ知る有名な温泉に入りました。
時刻は夕暮れ前。時季だけでなく、人気の温泉なので駐車場もびっしりでしたが、スムーズにゆったりと、サウナにまで入ってきました。泉質は無色で若干硫黄臭のするお湯で、文字通りつるつるでした。露天風呂は緑に囲まれた開放感のある野趣あふれるものでしたが、虫やらゴミっぽいのやら人やらがたくさんで、ここには長居はしませんでしたが(^。^;)
風呂から上がったら外は間もなく日没。夕食をどうしようかと話しながら出発。すぐに北キツネ牧場がありましたが、うちの近所にも北キツネいるんで通過。辺りが暗くなった頃に北見市内に入りましたが、お互いまだ腹も空かず、とにかく走ろうと通過。美幌を目指し、ショートカットすべく道道に入ったつもりが農道で、方向は間違いないから行っちゃえと突き進んだらなかなかの林間ダートコース。辺りはすでに真っ暗でした…。
『この道を行けばどこ行くものか…行けばわかるさ、迷わず行けよ。ありがと~!』と叫んでしばし走ったら、かすかに人工的な明かりが見え始め、そのうち舗装道路に当たるとすぐに街になりました。美幌町に到着です。時刻は午後7時半…
さすがにこの町で何か食べないとコンビニ食になっちまう(▼▼)
結構開けた街なので、『蕎麦ではないよなぁ』などとこの期に及んで贅沢を言いながら彷徨っていると、目に付くのはそば屋ばかり…。時間も遅くなり、町はずれで見つけたどう見てもそば屋に入りました。どうか美味しいものに当たりますように…。
《味処・和田川》中に入ると閉店30分前。老舗らしき広い店内に、地元の方らしきお客さんも結構多く、おばちゃん達が数人動き回っておりました。
息子は海に着く前にイクラ丼とそばのセット。僕はソースカツ丼とそばのセット。2人分で1800円ぐらいなので、軽めのを想像してたらお盆一杯にどん!結構なボリュームだけでなく味もすごく美味しい!!特にそば。胡麻そばの香ばしさとつゆの香りとこくは、たまらず飲み干してしまうほど。値段以上の満足感に満たされ店を後にしました。
食事をしながら本日の宿営地を話し合い、ウトロまで行こうということになり国道334号線をひた走る。
東藻琴村、小清水町を抜けて斜里町到着、午後9時過ぎ。
確かこの町には駅前のセイコーマートしかコンビニは無いというガセネタに踊らされ、そこにたどり着き飲み物・つまみ・朝食用サンドイッチを仕入れるも、氷がない!一つもない!!楽しみにしていた寝酒が~…暑い夜なのに…。しかし、町を一周してみると、やはりガセネタなのか情報が古かったのか…あるではないのっ!セブンイレブンにローソン!!
早速氷を買い込みクーラーに入れたのは言うまでもない(^.^)
さぁここから先は知床半島。若干の山道を抜け、海岸線に出ると左手は真っ暗なオホーツク海。波はかなり穏やかな様子…。
この辺りから道路沿いに車中泊らしき車が目立ちはじめ、しばらくして《オシンコシンの滝》に到着。滝の駐車場にはトイレも完備され、子供の頃来たときとはまるで様子が違ってました。この駐車場はほぼ満車状態。で、オシンコシントンネルを抜けるとすぐ右手に、トイレも明かりも無いが広めの駐車場がありました。ここはガラガラ。とりあえず通過してウトロ近くまで行きましたが、路上駐車まで出始めたためUターン。さっきのガラガラ駐車場を宿営地と決め駐車。時刻は午後10時半近くでした。
車から降りると、目の前は片側一車線の道路を挟んですぐ海なのに、波の音も全く聞こえないぐらいのべた凪。風もなく暑いぐらい。
息子がぽつりとつぶやきました。『星…すごいね…』
見上げると、『うわっ…』
雲一つない空にまさに満天の星!!北斗七星やカシオペアがすぐに見つけられないほどの無数の星…。
『こんなに星が見えるんなら、ペルセウスの流星群の名残が見れるかもなぁ。確か北東の空に…』
ヒューーーーーン
見られました、流れ星(^^ゞ
車に戻ってシートを寝床バージョンに変えて、まずはお疲れさんの乾杯。無事到着の報告メールは電波状態がかなり悪くなかなか送信できず。他の場所は大丈夫だったので、ひょっとしたらここが空いてるのはこのせいかも。だとしたら今どきの人ってちょっと…(~。~;)
少しして車内の明かりを消し、サンルーフを開けてみると先程の満天の星。お互いじっとしていられなくなり、クーラーとマグカップを持って外へ…。
縁石に腰掛け、海岸でテントを張ってる数人のグループが時折放つ歓声と、たまに目の前を通過する車の音以外は静寂で、満点の星空の下、息子とたくさん語り、美味い酒をたくさん飲んじゃいました(^,^)
気が付くと時刻は午前2時(‥;)
車内に入り、虫の心配をしながら蒸し暑いのはたまらんと窓を少し開け、携帯のアラームを午前7時半にセットしてタオルケットを被りました。多分数十秒で、息子の寝息が聞こえてきました。その後僕も、多分数分で眠りにつきました…。
車を揺さぶるような細かな振動とノイズ、妙な湿気に目を覚ましたのは午前5時半。辺りは明るいが、あるはずの青空ではなく灰色の景色…。ものすごいどしゃ降りでした。おかげで涼しかったので、とりあえずしっかり二度寝。アラームで起きるもまだどしゃ降りなの三度寝…(~_~;)
次に目覚めたのは午前9時40分!さすがに2人で飛び起きて寝床を撤収。雨はほとんど止んでいたので外に出て、速攻でサンドイッチをほおばり出発!
まずは逆進してトンネルを抜け《オシンコシンの滝》へ。駐車場がびっしりで、路上駐車もままならず、仕方なくUターンして徐行して車内から見物。原生林に覆われた絶壁の中腹から幅広く吹き出して、岩肌を斜めに伝い落ちる豊富な推量は圧巻!
そこから少しで《ウトロ》に到着。町の入り口にあったエネオスで給油とトイレタイム。かなりの交通量なのに、スタンドはなぜかガラガラでした。
スタンドを出てすぐに渋滞。時刻は午前10時過ぎ。どうやら温泉街から出てくる車と、ウトロ港や知床五湖に向かう車が小さな交差点で錯綜しているようでした。
我々は、一応ウトロ港に向かいましたが、船に乗るどころか車も停められない状態だったので、すぐに知床五湖を目指しました。
少しずつ標高が高くなるにつれ濃霧と霧雨が入り乱れ、景色もままならないまま知床五湖の駐車場に到着…が、やっぱりここもまともに車を停められそうになく、どうせ雲の中だしということでUターン。今度は《知床横断道路》に入りました。
道路は大変きれいで、思ったよりも空いていて走りやすかったが、途中途中雲の中。しかしさすがに自然遺産を貫く道路。珍しくはない北キツネと、珍しいきれいなエゾシカが居りました。
思ったよりは険しく無かった峠を越えて、羅臼側に下り始めた頃から青空が見え始めました。
時刻は間もなくお昼時。昼食はもちろんオホーツクの海の幸!これを息子に味あわせてやりたかったのも今回の旅の目的の一つでした。
羅臼町市街地から少し外れた道の駅に着いたのはちょうどお昼ぐらい。何とか車を置いて中に入り、土産物を物色。その後レストランを覗くと座れそうだし、海の幸もメニューにある。しかし、ここではないのです!
以前情報を得た、本物を味わえるところへ行くべく市街地へ戻り、更に国道から住宅街(狭い町なのですが…)に入り、ポツリポツリと点在する小さな飲食店のひとつ《廣瀬》へ。
店の隣は一般住宅という狭い地域の一角に車を置き、いかにも老舗らしき店内に入ると、寿司屋の小さなカウンターと広めの小上がり。知る人ぞ知るお店らしく、数々の有名人の色紙がずらり。お客さんは、旅行者らしき二組ほど。我々は小上がりに陣取りメニューを見る。『さぁ、ウニを食え!』息子に促しましたが、メニューを見て息子の目が少しだけまあるくなりました。僕の何倍も経済観念がしっかりしている息子は、〈ウニ丼3150円〉の文字に遠慮しようとしたのです。
『これを食わしたくて連れてきたんだ。遠慮しないで食えよ(^o^)』この言葉に息子はニッコリ(^^)
テレビの甲子園球児達を見て待っていると来ましたウニ丼!!箸でつまんでも崩れないほどプリプリしたウニがたっぷり!おまけに朝採れたという白身魚の汁。これがまた口の中でとろりととけてしまう…なんて名前の魚だったか…(^_^;)。あと、大将のサービスでズワイガニのサラダを一皿いただきました。とにかくどれも美味しくて満腹、大満足。想い出に残る食事となりました(^○^)
羅臼からは国道335号線となり、左手に根室海峡を眺めながら走ります。若干曇っている程度だったのですが、25㎞程先の国後島は見えませんでした。走りながら次の目的地を《標津サーモンパーク》に決めました。40分程で到着。今まで見てきた知床絡みの観光施設とは違いガラ空きでした(^_^;)
せっかくなので、大人610円、高校生400円支払って《サーモン科学館》に入りました。順路に沿って歩いていくと、いるわいるわ…。鮭のみならず、まずはオショロコマに迎えられ、イトウ・ニジマス・ヤマベ・あげくはカレイにタラバや毛ガニ、北海シマエビ。はて…、そういえば鮭はめっちゃ小さい稚魚と剥製しかおらんかったような…?
館内ではクイズラリーを実施中で、せっかくだから童心にかえってやってきました(^,^)
エビ・カニの水槽ではちょうど餌やりの実演時間で、上からオキアミがばらまかれて降りてくると、それまで数匹しか確認できなかった北海シマエビが、どこからともなく沸いてきて数え切れないぐらいの数になり、一心不乱に餌を捕り始めました。オキアミを抱え込むと、ピョーンと後方にはじけるんです。まさに躍り食い(^o^)。
一階・二階を一通り見た後、三階は展望室とのことでエレベーターに乗りました。〈ん?二階から三階の間、ずいぶん長いな…〉エレベーターを降りると、かなりの高さ…確か40メートルぐらいかと。雲が晴れた海には《国後島》がくっきりと!しかし、動かない高いところはケツがムズムズしてイカンので早々に降りました(^。^;)
館から出て、上から見下ろしたときに見えた池の中を泳ぐ無数の魚を確認しに行ったら鯉でした。池の畔で鯉に向かって石を投げるお子さま。それを微笑ましく見つめながら友人と話し込む若いお母様…今どきの人って…(~。~;)
標津を出発したのが午後4時過ぎ。オホーツク海の根室海峡に別れを告げ、国道272号線を走って中標津町へ。ここは、10年ほど前に僕の親友が住んでいた町で、一度遊びに来たことがあり、町なのにずいぶん都会だなぁとのイメージが強かった覚えがありました。そのまんまを息子に語りながら市街地を抜け(以前にも増して道東ではかなり垢抜けた街でした)、記憶を辿りながら町はずれの親友が住んでいた住宅を探し当て、携帯でパシャ!〈息子と2人旅中〉と写メールを送ったら、すぐに『道東に行ってるんだ~!』との返信。写真だけで通じました。便利な時代と記憶の素晴らしさを実感。
すぐに中標津を出て道道13号、国道243号線を通り弟子屈町へ。道道52号に入り《摩周湖》に到着。第一展望台にて410円の駐車料金を払い下車。やや風が強く、上空は雲が流れている状態でしたが、霧のない摩周湖でした(^.^)
駐車料金には、この先の《硫黄山》の駐車料金も含まれていて、通り道なのですぐに向かいました、とにかく急いで。このころから、日没が気になりだしたのです。なぜなら、今回の旅の目的の一つに《美幌峠》の絶景を見せるというプランが僕の中にあったから。日が落ちてしまってはせっかくの景色が台無しですからねぇ。
道道52号から国道391号線に当たるとすぐに《硫黄山》に到着。広い駐車場に車を停め、夕暮れ近い時間ながらまだまだ居る観光客に混じり、地中から吹き出している煙を目指して歩き出すと…『たまご、たまご、たまご、たまご、たまごぉ~~~』と叫ぶ親父の声。温泉卵売りでした(‥;)
卵は買わず、吹き出す煙のすぐそばまで行き、2人揃ってちょっとだけ煙を吸って『うわっ、硫黄臭ぇ~』とどちらともなく一声発し、すぐに踵を返す…。
日没が迫っていました。駆け足で車に戻り出発。川湯で温泉でも…というプランは保留との話がまとまり、道道52号を右手に屈斜路湖を眺めながら南下。国道243号線に当たったら美幌峠に向かい北上…。
《美幌峠》に着いたのは、日没直前。観光客はほとんど居なく、雲の中というコンディション。すぐに車から降り、だらだら傾斜の石段を駆け上がり展望台へ。頂上に着くと、ゴツゴツした大きな岩が点在し、広く柵がが設けられている。その柵に近づくと、タイミング良く強い風に雲が流され、絶壁のような、熊笹と原生林の急勾配の遙か眼下に広がる屈斜路湖。
間に合った!この景色を息子に見せたかった!!
『父の中では、ここの景色が北海道で一番の絶景なんだ。』そう息子に告げて、ほぼ日が落ちた展望台から下りました。
駐車場にある広めの売店に立ち寄り土産物を物色。
『そういえば、今回旅の定番、あげいもやソフトクリーム食ってないな。なんか食うか?』
そう息子にたずねると、
『あんまりお腹は空いてないけど…あげいもかな。』
確かに匂いが漂っていたのでコーナーへ。しかし撤収完了直後でした(+_+)
『もっと腹減らして、晩飯美味いもん食おう!』と、美幌峠をあとにしました。
峠からヘッドライトを点け、国道243号線を美幌町に向かって30分程下った右手に《峠の湯》という看板を発見!駐車場はたくさんの車で混雑していましたが、ここらで風呂に入っとかないと後々時間的に温泉入れなくなるなとの話がまとまり、空いてるスペースに駐車して館内へ。
まだ建ったばかりなのか、ちょっと古い手持ちの地図には載っていないが天然温泉!建物の内外は大変綺麗で、大勢の客はほとんどが地元の人らしく、MY風呂道具を持参。我々もMY風呂道具を持って浴場へ。
浴場は大きな円形を男女仕切られていて、天井は木造で円錐形に組まれていました。泉質は単純アルカリ性。無色・無臭で結構軟らかく、すっきりつるつる系。すっかりリフレッシュして《峠の湯》をあとにしました。
夜を迎えてそろそろ美味いモンの心配をしながら、国道243号線で美幌町を抜け、今度は余計な山道を避け、国道39号線を通り端野町を抜け北見市へ。時刻は午後8時過ぎ。
まずは車のお腹を満たさねばと、安いセルフのスタンドを見つけて給油。
『せっかくだから、地元の美味いモン食いたいよなぁ』などと話しながら市内をさまよっていると、我々の地域では見かけない名前のファミレス風の居酒屋発見!早速車を停めて店内に入ると、多くの人たちが待たされている!!この状況は、我々に与えられた時間と空腹状態には非常にヤバい…。すぐに店を出て車に乗り他を探す。次に見つけたのは、大衆向け中華料理店。しかし、ここも先程と同じ状況であった…。
町はずれまで走ったが、ここから進むと晩飯はコンビニになってしまうとUターン。しばらく走ると息子が、
『明るいところが見えて、[喰い]なんとかって看板見えた』と助手席から報告。すぐに息子の言った方向に向かうと、そこは結構な繁華街。息子が見つけた看板は駐車場に掲げられており、見ると数件の店名が記されていました。
ゆっくり駐車場に進入すると、優しそうなおじさんが寄ってきて、
『代行ですか?』と。
『旅行中なんですが、食事をしたくて…』
そう答えると
『看板の店に入れば、ここは2時間タダですよ!』と満面の笑顔。
この一帯で腹を満たすことを決め、すぐに車から降りて試しに尋ねてみました。
『地元のものを食べられる所ありませんか?』
するとおじさん、もう一人のおじさんを手招きしました。もう一人のおじさんは、ニッコリ笑って指さしました。10メートル先の《居酒屋 蛍屋》
『近いし、美味しいよ!』
かなり大きな店構えで店内は予想もつきませんでしたが、おじさんの笑顔に絆され直ぐに入りました。
大きくもシンプルな外見からは想像つかなかったのですが、店内に入るとそこには我々の世代が懐かしさをおぼえる昭和の風景が再現されていました。
カウンター席や、ランダムに配置された大小の小上がりボックス席、あちらこちらに昭和の遺物が飾られているというよりもすごく自然に配置されていました。店員に促されて上がった4~5人向けの小上がりボックス席にも、天井からは当たり前のように〈ホーローの傘がついた裸電球〉。壁には〈ホーローの看板〉…。
その空間は、僕が自然に懐かしさからの居心地の良さを感じたのとは多分違った意味で、10代の息子の目には斬新さ印象づけた様子でしたが、やはり居心地の良さを感じていたようです。
2人にとって、さまよってやっとたどり着いた場所としては最高の条件が揃っていました。その気持ちはメニューを見て完璧となりました。
メニューを開くと美味しそうな料理の写真、そこに載っているほとんどの料理には、〈端野町の。。。〉〈生田原町の。。。〉などなど…。この地域のものが食べたいなぁ~と話してた我々願いが叶ったのでした。
北見及び周辺の市町村の食材を使い、ものによっては余計な味付けはしない。たとえば〈串もの盛り合わせ〉。塩かタレかなんて聞きません。出てきた皿の脇に、薄黄色の塩と自家製様マスタード。試しに鳥串をなにもつけずに一口…『う、うまい!』鳥の食感や香りが全然違うんです。他にもたくさんあり、たくさん食べましたがお世辞抜きに皆美味しくて、紹介したくてもなにがなにやら…(^_^;)。車だったので、アルコールは我慢しましたが、カクテルやフィズなどの飲み物も多く、そのほとんどをノンアルコールで作ってくれるという気の利いたお店でした。
帰りがけ、まだお若い店長が『お車でしたか?北見にお泊まりですか?』などと声をかけてくれ、これから滝川まで帰りますと答えると、少々驚いた様子で(夜の10時回ってましたんで…)『お気をつけて。また北見へ来ることがございましたら是非お立ち寄りください。』と、丁寧でいて、決して事務的ではない口調で、表まで見送りに出てくれました。その暖かさに触れ、『地元のものを求めて偶然来ましたが、大変満足しました。またいつか是非寄らせていただきます。』と、こちらも思わず丁寧に挨拶して店をあとにしました。
店から50歩ほど歩いたところに車が置かれていて、受付のおじさんに笑顔で送られて出発。すっかりお気に入りとなった北見を離れました。
国道39号線は車の数も少なくなり、心もお腹も満たされてしばし快適なナイトドライブです。
留辺蘂町を抜け、温根湯温泉、北キツネ牧場、昨日入った塩別温泉の看板を見過ごし、一気に北見峠を登り切ったときには辺りは少々雲の中。下りになって、層雲峡まで来たときには少しだけ星が見え始めました。
上川町辺りまで来たとき、『そういえば、今回旅の定番(?)の揚げ芋やソフトクリーム食ってなかったなぁ。食いたい?』そう息子に問いかけると、いつもあまりおやつや間食を求めない息子が珍しく『食いたい!』と。
時刻はすでに午後11時半でしたが、『よぉ~し。旭川に行けばどっかになんかあるかもな!』と、旅の締めくくりをソフトクリームに絞り、旭川を目指しました。
上川町から、建設中で一部開通し試験的無料になっている高速道路に入り、無料区間の比布町まで走り、高速を降りて直ぐにポツリとソフトクリームが光ってる…、〈ローソン〉でした。息子に判断をゆだねると直ぐにOK。早速入りカップに入れるタイプのソフトクリームを買い、車に戻って食べました。その甘さが妙にいい!美味い!!
またもや心もお腹も満たされて、いよいよラストスパートです。国道40号線で旭川を抜け、新道を通り国道12号線。神居古潭を通過し深川市…。
2人旅はいよいよクライマックスなのですが、道中数多くあったカントリーサイン。ビデオ担当の息子は、車中から景色などを撮りながらカントリーサインを狙ってました。しかし、そのほとんどが直前で気づき、ビデオカメラを構えたときには「STAND BY」の文字が空しく点滅している最中に通過…。
旅の終わり、最後のカントリーサイン《滝川市》
『もうすぐだぞ。』
息子がビデオを構える。
『ほら、見えた!』
『………』
『どうだった?』
『またダメだった…(^_^;)』
『はは…。また行こうや!』
『うん!』
そんな会話で真夜中の滝川市に入り、自宅に到着したのは午前1時過ぎ。駐車スペースに車を納め、『無事に着いたな。楽しかったな。お疲れさん!』そう息子に声をかけてエンジンを止めると、息子がそっと手をさしのべ『ありがとう』と…。
あとで息子に今回の旅で印象に残ったことを聞いてみたら、
『たくさんありすぎて答えられない』…でした(^_^;)
『いつか交代で運転出来るようになったら、今度はもっと走ってみような!』
そう約束して、《2005年 夏の想い出づくり 行き当たりばったり 男同士2人旅》を無事終えることが出来ました。