昨日は母の日でした。
認知症になった実母を預かる日でした。
母は弟夫婦と同居、日曜日以外はデイサービスに通所です。
土、日も月に何回かはショートステイで介護施設で宿泊です。
朝五時半前に弟が母を連れてきました。
『よく来てくれたね、入って。』と声をかけると
笑顔で入ってきました。
弟は、糖尿だから甘いものを食べさせるなと言い残して行きました。
家に入ると弟嫁からも
母のことでLineが来ていました。
糖尿病なので低カロリーでいいです。と
私は母の日に母を預かれることになってよかったと思いました。
あんまり早く起きたので寝たいと言う母を7時半まで寝かせました。
朝食はパンとご飯のどちらがいいか聞くとパンがいいと言うので
〇 天然酵母の山形食パンを半分に切り
半分はチーズトーストに、半分は四つ葉のバターでバタートーストに
バタートーストには蜂蜜を塗るのが母の好みですが
弟が甘いものはダメと言ったので蜂蜜はやめました。
弟嫁からのLineがあったので目玉焼きもやめました。
〇 見た目を美しく盛りつけた生野菜サラダ
〇 綺麗なオレンジ色の清見タンゴール1個
(有機バナナ半分と清見タンゴール半分を切って綺麗に盛り付けていたのですが
『バナナはいらん。』と言うので清見タンゴールを一個にしました。)
〇 母の大好きなミルクティーはひしわ園の有機紅茶とよつ葉のスキムミルクで
母の好きな華やかな色使いのティーカップに入れました
全部を白いプレートに乗せて喫茶店のモーニングっぽくしました。
見たとたんに母の瞳が生き生きしてきました。
弟は母の食が細くなってもっと食べるようにいくら言っても、母は食べないで
弟夫婦の目を盗んでゴミ箱に捨てるから頭にくる。と言っていましたが
喫茶店のモーニング風の朝食はほとんど食べました。
ミルクティーも美味しいとあっという間に飲みました。
だたートーストは半分くらい残したので、
満腹か聞いてみると
『これ(バタートースト)はあんまりおいしくない』と言いました。
母はバター蜂蜜トーストが好きなのに
薄くでもぬってあげればよかったと思いました。
母のいつもの朝食は家族と同じご飯に味噌汁の和食です。
でも母は本当は喫茶店のモーニングメニューのような
お洒落な朝食が大好きなんです。
母は自分の家では自己主張しません。
母が自分の考えを主張し嫁がそれを気に入らなければ
弟が板挟みになって困るから弟が可哀想だと思っているからです。
母は家では気に染まないことがあっても感情を押し殺して何も言いません。
そうなんです。母は弟を溺愛しています。
認知症になった今でも、何が何でも弟のそばに居て守ってやりたいのです。
何よりも弟が一番大事なのです。
弟しか目に入らないので、昔から私には無関心です。
なので、ストレートにものを言う母は私には思った事をそのまま話します。
蜂蜜を塗っていないバタートーストは少し食べて
『これはあんまりおいしくない』と私に言います。(笑)
同じ状況だったとしても弟嫁には決して言わないと思います。
以前は母に対して弟と私の扱いの違いに感情的になり
母には精神的には近寄りたくなかったのですが
今の母の状況を知るにつけ
私の家では自由でいてほしいと思います。
母の心に寄り添ってあげたいと思います。
今日は母の好きにさせてあげようと思いました。
昼食は母の好きなブリのお刺身メインにして
夜は遠くに住む家族が最近買ってきてくれた
タコ焼き機で器用な母にも一緒に焼いてもらって
たこ焼きパーティーでもしたらどうかと考えていた時
もう一人の遠くに住む家族からSkypeが来ました。
母と話してもらっていると
何と母が
『たこ焼きは好きじゃない!』と話しているではありませんか!
立ち聞きしていると
『お寿司は大好き』
『しばらく食べてないけどプリンも美味しいねえ。』
と食べ物の話をしていました。
おっとっと!
母がたこ焼き嫌いなこと忘れてた!
聞けて良かった。
ということで
昼食は
家族が新鮮なブリを買ってきてくれました。
油がのってすごく美味しいブリのお刺身メインで
母の好きなお惣菜も作りました。
おやつは
少し小さめのプリン(母の通尿病を考慮して小さめにしました。)
母は、これは美味しいねえ。
と 喜んで食べました。
夕食も家族が美味しい握り寿しを買いに行ってくれました。
新鮮なネタの握りずしと再びブリのお刺身、手作りのお惣菜。
朝、昼、好きなものは母の食も進みました。
弟夫婦は母は認知症で何もかもわからなくなっているし
食事もほんの少ししか食べないと言いますが
うちでは食事の時も母は普通に家族と話しながらよく食べました。
朝、昼しっかり食べたせいか、夜は少なめでしたが量的には充分だと思います。
おやつの前に母の姿が見えなくなって、びっくりして探したら
家族の仕事場の椅子にポツンと座っていました。
私を見て『ここは居りやすい・・』と一言
(方言で居心地がいいというような意味)
仕事場には母の好むものが沢山あります。
認知症になったからと言ってすべてを忘れてしまうわけではなく
自分が好んだ物たちに囲まれていると落ち着くのだろうな
と思いました。
急いで居間に連れ戻さず、あの場所でもう少しゆっくりしてもらえばよかった
と後から思いました。
自分の家ではほとんど話さないそうで、お地蔵さんと言われている母ですが
色いろ話してくれました。
認知症がもっと進行すると私のことも忘れてしまうのでしょうか?
ちょっと切ない気がします。
家族の協力を得て母の足腰が丈夫な時に母の行きたい所や
私が連れて行きたい所に行き
母が興味を示す物、食、店 他 いつも一緒に行っていたので
後悔はないと思っていました。
今は母がこれから先なるべく穏やかでいられるよう
母を預かる日を増やしたいと思っています。
母が今日、私に言いました。
『ヨーダちゃん、お母さんが危篤の知らせがいったら、すぐに来てよ。
間に合わんかったら仕方ないけど、会えるものなら
この世の最後にもう一回会いたい。
死んだと知らせがいったら慌ててこんでも(来なくても)もいいから。』
と
私は『わかった。』
と答えました。
夕方7時ごろ弟が迎えに来ました。
庭で育てたバラやほかの花を小さな花束にして
『お母さんいつもありがとう。』
と
母に持たせました。
母が帰った後
弟夫婦と母の円満を祈りました。
母の日に母が来てくれてよかったと心から思いました。