アメージング アマデウス

天才少年ウルフィは成長するにつれ、加速度的に能力を開発させて行きました。死後もなお驚異の進化は続いています。

バナナフィッシュ

2017-01-09 16:25:16 | 文化
 バナナフィッシュを知っていますか? バナナ魚、或いはバナナのような魚と思った人は残念です。
 バナナフィシュはバナナを見ると見境もなく食べてしまう魚で、見た人は死にたく成るそうですから、海水浴では気をつけて下さい。決して見てはいけません。

 サリンジャーはニューヨーカーに短編集【ナインストーリーズ】を発表しました。【バナナフィシュに最適の日】はその冒頭を飾る傑作です。
 読んで貰うのが一番ですが、簡単に粗筋を敢えて紹介します。

 ビーチサイドのホテルでグラース夫人は母親ととりとめの無い長話をしています。
 ビーチでは夫のシーモア・グラースが仰向けで寝そべっています。
そのそばで黄色い水着を着た幼女・シビルが母親にサンオイルを塗られながら、「See more glass」と何度も繰り返しています。
 シビルがシーモアに近づくと、彼はバナナフィッシュをつかまえようと提案し、二人で海に入った。
 シーモアによると、バナナフィッシュはバナナが入っている穴に泳いでいく魚だと説明し、今日はバナナフィッシュにうってつけの日だと言う。
「バナナがどっさり入ってる穴の中に入って行くんだ。入るときには普通の魚なんだ。ところが、いったん穴の中に入ると、豚みたいに行儀が悪くなる。ぼくの知ってるバナナフィッシュにはね、バナナ穴の中に入って、バナナを七十八本も平らげた奴がいる」
 波が二人を襲った後、、シビルは「バナナフィッシュが一匹見えた」と、嘘か妄想を彼に言った。
 シーモアはシビルの土踏まずにキスをする。

 ホテルに戻ったシーモアは、一緒にエレベーターに乗った女性へ軽いいいがかりをつける。部屋に戻ると、妻は眠っていた。シーモアは彼女に拳銃を向けた。が、自分のこめかみを撃ち抜いた。

 このラストシーンは、今では小説や映画、そしてドラマなどでも良く使われる手法ですね。
 私は、サリンジャー原作の映画が見たいと熱望していますが、絶望的です。
 一度ハリウッドで映画化されたのをサリンジャーが観て激怒して全ての作品の映画化を封じてしまいました。小説にしても他人に手を加えられるのを嫌ったそうです。
 サリンジャー作品の映画化は半永久的に実現しません。今、著作権を持っている人が俗物で、権利を売り払わない限り不可能なのです。

 【フィールド・オブ・ドリーム】という映画をご覧になりましたか? ケビン・コスナー主演の佳作です。その作品で隠棲をした作家が重要な役割を果たしていました。原作ではサリンジャーだったのですが、映画で名前を使うのを許しませんでした。だからこの映画では架空の作家という事に成っています。制作陣はさぞかしがっかりしたと思いますよ。 この映画で私が気に入らなかったのは、永久追放された、ホワイトソックスの名手達が、主人公がトウモロコシ畑を潰して創ったグランドで野球を楽しむんですが、兎に角下手くそなんです、シューレス・ジョーがこんなに下手な分けが無いでしょう。八百長などしなくても負けただろうし、ワールドシリーズに進めなかったに違いありません。
 私は野球のシーンが出て来ると少しムキになる嫌いがあります。

 それから、ベースボールと言えば坊ちゃんですよね。何故かって? その内に書こうと思っています。