アメージング アマデウス

天才少年ウルフィは成長するにつれ、加速度的に能力を開発させて行きました。死後もなお驚異の進化は続いています。

記憶の旅 七 不法滞在のマリア

2018-03-23 23:50:13 | 物語
七 不法滞在のマリア

 いざ行かん、記憶の旅へ。我に続け。

 マリア、マリア、マリア!
 なぜだ・・・? 君は僕の記憶に不法滞在して来たのだ。

 千九百九十九年四月四日。
 円山町のボロアパートでT電力OL加藤紗智子の死体が発見された。
 強姦され、絞殺され、金品を奪われた。
 死後一週間が経っていた。

 大手電力会社の女性管理職殺人事件として大々的に報道され、様々な憶醜が
聞が飛び交った。
○ 紗智子は円山町で街娼をしていた。
○ 闇組織に暗殺された。
 この二つが主な醜聞だったが、二三日すると街娼をしていてたというスキャ
ンダルは姿をけした。
 掲載した週刊誌と新聞の何社
 相変わらず僕は悪夢に悩まされていた。
「あんたがあの娘を殺したのよ。あんたは私を殺したの」
 その夢の彼女の顔はどうしても浮かばない。

 女の上に跨がった僕はその首を絞めている。
 雪のように白い肌が紅潮して芳香が漂ってきた。
「殺して。お願い、殺して。もっと、もつと強く」
 僕が女を凝視すると、ユキコの顔が現れた。
「あんたは私をまた殺すのよ」
 女の目がエメラルドグリーンに煌めき、長い亜麻色の髪が舞うように空中を
浮遊していた。
 ユキコじゃない。きっとマリアだ。
「私を殺しなさい。これは命令よ」
 マリアは魔女が如くに僕に囁きかけた。
 Gorou
2018年3月23日


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