アメージング アマデウス

天才少年ウルフィは成長するにつれ、加速度的に能力を開発させて行きました。死後もなお驚異の進化は続いています。

エリザベス・ゴールデンエージ

2016-12-16 06:57:17 | 映画
エリザベス:ゴールデン・エイジ [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ジェネオン・ユニバーサル

 エリザベスとは大英帝国の黄金時代をを築いたエリザベス一世の事である。シェカール・カプール監督はエリザベス一世を主役にした二つの作品を世に送り出した。この二作品は完全に一つの作品、と言い切って良いほど均一がとれています。が、どちらか一本だけでも十分に見応えが有ります。一本見て、気に入れば後の一本を観れば良いと思います。ここでは、混乱を避けるために、ゴールデンエージを中心に話を進めたい。特筆すべきは、衣装・美術と俳優の演技である。秘密警察長官役のジェフリー・ラッシュ(パイレーツ・オブ・カリビアン、恋に落ちたシェークスピア)は相変わらず達者ですねえ、ローリー卿役、卿といっても限りなく海賊に近く、かのキャプテン・ドレークの仲間ですが、クライヴ・オーウェンが珍しく好演しています。しかし、なんと言っても白眉はエリザベスのケイト・ブランシェット(耳に残るは君の歌声)の演技です。神懸かっていると思えるほどの怪演です。もう一人女王、スコットランドのメアリーとのエピソードは見応えが有ります。メアリー役のサマンサ・モートンもなかなか良いですよ。

簡単に粗筋に触れましょう。
十九世紀後半のヨーロッパはスペインのフェリペ二世が支配していました。有名な無敵艦隊の時代ですね。敬虔なカトリックのフェリペ二世は、新教徒エリザベスのイギリスを支配下におこうと虎視眈々と狙っていました。さらにフランスの介入、幽閉されていたメアリーのエリザベス暗殺計画、国内カトリック派の巻き返し陰謀、エリザベスとウォルシンガム(秘密警察長官)の奮闘が続き、遂にメアリーを処刑します。しかし、これはスペインの陰謀・罠だったのです。スペインの無敵艦隊がイングランドに襲いかかって来ました。迎え撃つインランドには三千の兵とドレイクやローリーの海賊しかいません。絶体絶命のピンチです。が、中学程度の歴史の知識が有れば、結果は分かりますよね。
恋に悩み、神に選ばれた女王メアリーの処刑に激しく動揺し、渦巻く陰謀にもてあそばれたエリザベスが、迷える女王から神にも等しいイングランド国民の母親へと変貌を遂げ、甲冑に身を固め、白馬に跨って不安に戦く兵士達の前に現れ……
「愛する私の民よ! じきに、敵と相まみえる時が来る。私は戦いの最中に身を置き、あなた方と生死を共にする! 戦いの日が終わったら、天国で再会を、あるいは勝利の野で再会を祝おう」< 身震いをする程感動しました。このシーンがクライマックスです。お見逃しなく!

 この作品を理解するには、カトリックと新教徒の対立や当時のヨーロッパ情勢を知らなければなりません。まあ、歴史をしらべれは良いのですが、それではこのレビューの意味が有りません。いくつか参考になる映像作品を紹介しましょう。

○ 映画・エリザベス。
 コールデンエージと一対と成った作品。ゴールデンエージ見た人なら多分ご覧になっていますよね。

○ 映画・ブーリン家の姉妹。
 処刑された、エリザベスの母アン王妃と妹のメアリーの物語。
 アンをナタリー・ポートマン、メアリーをスカーレット・ヨハンセンが演じた佳作です。
 幼き日のエリザベスがラストで登場して、エリザベスが皇位を継承して、イングランドに黄金時代を築いたと、ナレーションが被さります。

○ 歌劇・アンナボレーナ。
 アンナボレーナを英語で発音するとアンブーリンとなります。
 アンナ・ネトプレコとエリーナ・ガランチャの共演した素晴らしいライブが有ります。

○ 映画・恋に落ちたシェークスピア。

エリザベス一世の晩年を舞台としています。私の愛聴版です、まだ観ていなかったら騙されたと思って観て下さい。美術とシナリオがすばらしいですよ。


○ 映画・ニューワールド。

 アメリカのヴァージニアと、アメリカ原住民王女・ポカホンタスの物語。
モーツァルトとワグナーを対比させた音楽が白眉です。特にモーツアルトのピアノ協奏曲二三番第二楽章はこの映画の為のオリジナルのような錯覚を覚える程です。

○ 歌劇・ドン・カルロ(ヴェルディ)

 ヴェルディの最高傑作だと思います。フェリペ二世(エリザベスと敵対していたスペイン王)と王子ドン・カルロの相克を描いた長編オペラです。父親のフェリペ二世は敬虔なカトリック教徒、王子のドン・カルロは新教徒に指示された救世主のような存在です。この作品は台本がすばらしい。とにかく素晴らしい、勿論ヴェルディの音楽も最高です。

 一番のお奨めはムーティ・スカラ座・パバロッティのDVDです。演出はゼフィリッツで中々素晴らしい演出をしています。カルロとフェリペ二世の間で悩む女王エリザベッタを始め、歌手陣が充実しています。
ルキノ・ヴィスコンティの演出を採用したハイテインク盤も有りますが、ヴィスコンティが好きならこれも面白いかも知れません。
カラヤンの指揮になる映像も有り、すこぶる評判が良いのですが、買ってまで観る気がしません。カラヤンには随分騙されましたからね。
2016年12月16日   Gorou1

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