奥武蔵の風

94 山城の面影残す龍崖山

 龍崖山(りゅうがいさん)は、中世に、地元の武将 大河原四郎が居城を築いた山。現在、山麓に広がる飯能大河原工業団地の「大河原」は、かつての城主の名に由来する地名です。

 十数年前に開発が始まった首都圏最大級と言われる大河原工業団地もすっかり完成し、周辺の光景は一変しました。それとともに、龍崖山へのハイキングコースも、地元の有志の方々によって整備されました。山頂には「大河原城跡」の説明図もあります。

 標高は 246メートルと決して高い山ではないのですが、ハイキングコースをたどって山頂に立つと、ここに山城(主郭の砦)が築かれた理由が実感できます。すぐ北に入間川、南に小高い燧山(ひうちやま、234メートル)があって起伏が激しく、山頂は ぐるり360度の見晴らしがきくのですから。

 最寄り駅は、西武池袋線の飯能駅。しかも、南北二つの登山口のどちらへも徒歩 約30分という駅近の山。城マニアには、ぜひ攻略することをお勧めします。

 

 参考までに、このほど私も老兵の身ながら、山頂を攻略してまいりましたので、以下に、龍崖山の攻略法(ハイキング コース)を紹介します。

 南からの攻め口(登山口)は、大河原工業団地の一角にある斜面状の「龍崖山公園」の隅にあります。道標に沿って しばらく登ると下りに転じ、沢を越えて再び山道を登ります。登り切ると、そこは何と まだ燧山(ひうちやま)。すぐ目の前に工業団地が広がっています。(ちなみに、燧山の山頂でクヌギの幹の樹液を活発に吸っているオオスズメバチ2匹に遭遇。龍崖山の守りは固いようです)。

 燧山を下り、再び沢を越えると、今度こそ龍崖山への上り道です。展望用の額縁や西の山々を特定できる「覗(のぞ)き竹筒」のある見晴らし台を経て、龍崖山の山頂へ到着です。

 主郭(砦)があった山頂は平坦で、立派な記念碑や富士浅間神社の小さな祠(ほこら)、大河原城跡の説明図、北の山々を特定できる「覗き竹筒」などがあります。ありがたいことに、南と西に迫っていた工業団地は木々に覆い隠され、北には、入間川をはさんで、多峯主山(とうのすやま)が対峙しています。東は関東平野が地平のかなたまで開けていて、城マニアならずとも砦跡に立っている実感を十分に味わうことができます。ああ、何という至福の時。

 山頂を攻略した後の下山は、急坂の連続です(なだらかな迂回路もありますが)。途中に「三四郎平」と名付けられた広場があり、ここが「殿屋敷」という大河原氏の居城の跡になります。

 坂を下り切ったコースの終点(北からの攻め口)には、「摩利支天(まりしてん)神社」「軍茶利(ぐんだり)神社」「八耳(はちじ)堂」があり、ここでも、しばし歴史の余韻に浸ることができます。

 

 


(写真上)© 山頂にある「大河原城跡」の説明図。「主郭」とある場所が山頂です。


(写真上)© 龍崖山公園。フェンスの右端の方に、南からの龍崖山登山口があります。


(写真上)© 道標。山頂まで随所にこの道標があり、距離を教えてくれます。


(写真上)© 歓迎の立札。「頂上にトイレはありません。コンビニも自動販売機もありません。あるのは、ほぼ360度に展開する素晴らしい景色です。ご期待ください。さあ、準備ができたら出発です。」


(写真上)© 途中にある「クマよけの鐘」。必ず鳴らしましょう。


(写真上)© 狭き門。大群で 攻め登ることはできません。


(写真上)© この岩が見えたら、燧山(ひうちやま)は近い。


(写真上)© 燧山 山頂。234メートル。


(写真上)© 龍崖山 山頂近くの見晴らし台。西の山を特定できる「覗き竹筒」。


(写真上)© 龍崖山 山頂。246メートル。


(写真上)© 山頂に建つ「龍崖山の碑」。右は「富士浅間神社」の祠。


(写真上)© 山頂からの眺望。堂々たる天覚山。


(写真上)© 眺望。奥の山並み中央は 越上山(おがみやま)。住宅街を抱くのは永田山。


(写真上)© 眺望。奥左は高指山。中央は日和田山。手前右は多峯主山


(写真上)© 山頂からの下り。ロープが頼りになります。


(写真上)© 「殿屋敷」があった三四郎平。


(写真上)© 急な下り階段が続きます。


(写真上)© 第一ロープ坂。下から振り返ると、こんな感じ。


(写真上)© コースの終点。北からの登山口です。ここにも「歓迎」の立札が。


(写真上)© 摩利支天神社


(写真上)© 軍茶利神社


(写真上)© 八耳堂


(写真上)© 「八耳堂と軍茶利神社」についての県の説明板。

 

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