小父さんから

ミーハー小父さんの落書き帳

「そうか、もう君はいないのか」   城山三郎  新潮社

2017年03月30日 | 


 田村正和と富司純子のテレビドラマもあったらしいね。ネットでは見つからないが、小父さんはNHKの芝居や読書も入ったドキュメンタリーみたいな放送に見入った。私の85歳で亡くなった長兄が17年前に先だった義姉との想いに見事に重なったからだ。妻に先立たれることが、このようにも酷なものだとは想像がついてなかった。

 ところが、この本を読んでみると、読んでも、読んでも奥さまとの楽しい思い出がつづられている。あれ~、さみしさはどこから出てくるのだろう、テレビと違うぞ~?とページをめくっていくと3分の2を過ぎた頃にやっと「詩」が出てきた。



夜ふけ 目ざめると
枕もとで何かが動いている
小さく呟くような音を立てて

何者かと思えば
目覚まし時計の秒針
律儀に飽きることなく動く
その律儀さが 不気味である

寝返りを打つと 音は消えた
しばらくして おだやかな寝息が
聞こえる
小さな透明な波が
寄せては引く音
これも律儀だが 冷たくも
不気味でもない

起きてる間は いろいろあるが
眠れば 時計より静か

「おい」と声をかけようとして やめる
五十億の中で ただ一人「おい」と呼べるおまえ
律儀に寝息を続けてくれなくては困る



 「空気みたいな存在」とはよく言ったものだ。先に逝かれてしまって、その貴重な存在を認識するものなのか?城山三郎さんの奥さまへのラブレターがとうとうと書かれていた。
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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ree)
2017-03-31 00:20:40
時々私も考えるんですよ。
父ちゃんは義母方の遺伝で心臓疾患を持っているので、先に逝かれたらどうしよう・・・ではなく、困るですが(笑)。
ストレス度も私の何十倍も高いと思うし。

検索してみましたが、無料で動画が見れないみたいですね。

小父さん、甲子園まで行かれてたんですね。
負けちゃったのは悔しいけれど、楽しまれたようですね~。
返信する
テレビドラマ (FUSA)
2017-03-31 08:40:53
テレビドラマ見ました!
若い頃を中村勘九郎(勘太郎時代)と長澤まさみがやっていました。歳とってからの田村正和とのイメージのギャップがちょっと気になりました(笑)
目下の私の恐怖は妻に先にいかれることです (>_<)
返信する
reeさんへ (小父さん)
2017-03-31 16:16:15
>時々私も考えるんですよ。

ありゃ、もうはや~!

>先に逝かれたらどうしよう・・・ではなく、困るですが

いやー、男もご婦人も困りますね。

そう言えば、36歳の息子が酔っぱらっている時に、私が独りになったら何もできないだろうと心配の弁を述べていました(笑)

ただ、不自由というより精神的な大きな穴の大きさをこのテレビと本によって知ることができました。

>ストレス度も私の何十倍も高いと思うし。

あれ、ブログでは見ない言葉が並んでいますね。

動画はネット上にはなかったですか。

甲子園、行きましたよう~。
勝負は負けるだろうと思ってましたが、一回くらい応援にいかなければと思ってました。

大阪に兵庫は強いですよ。
結果、大阪の2校の優勝対決となりました。
今日は雨で明日に順延です。
返信する
FUSAさんへ (小父さん)
2017-03-31 16:30:31
テレビドラマごらんになりましたか!
いやー、観たかったですねー。

TBSのオンデマンドを見つけました。
       ↓
https://tod.tbs.co.jp/episode/7582

城山三郎さんは小説『官僚たちの夏』の大ファンで『毎日が日曜日』も楽しみましたね。

>目下の私の恐怖は妻に先にいかれることです (>_<)

私は自分の方が先だと安心しきっているところがありますが、いつも「俺より先に死ぬな!」と命令しています(笑)
返信する
Unknown (イジー)
2017-03-31 23:10:31
内臓は主人より私の方が健康ですが
脳のボケは負けており
車の事故などで ぽっくり逝く可能性は高いです

きっと 私が先に逝くと 大きなショックを受けるでしょうね
長い間 寂しがりもするでしょう。

私はその点 一人暮らしになれそうです、、、が。
返信する
イジーさんへ (小父さん)
2017-04-01 00:14:00
>脳のボケは負けており車の事故などで ぽっくり逝く可能性は高いです

ひゃー、私もイジーさんと一緒です(笑)

>脳のボケは負けており車の事故などで ぽっくり逝く可能性は高いです

私は家内が先に逝かれると身の回りやいろいろと不自由するかな?と思っていましたが
このテレビにこの本を読んで寂しさが限界に達することを再認識しました。

私の長兄は口にこそ出しませんでしたが、実にそのような状態であったことが今さらながら想像できます。

この人生で一番いっしょに生きて来た人間の大切さが分かります。
たわいもない、「ああーだった、こうだった」と言い合えることがとても貴重だったんだと気づきました。

>私はその点 一人暮らしになれそうです、、、が。

やはり、80代で高齢者大学に夫婦で通われていて去年ご主人に先立たれたご婦人を知ってますが、とても寂しいということをお聞きします。
返信する
こちらにて… (デ某)
2020-03-26 16:14:51
> 五十億の中で ただ一人「おい」と呼べるおまえ

蓋し 極上のラブレター ですね。
少子化!と言われながら 現在の地球には77億人超!
無限大に広い天上界の人口は幾らなのでしょう?
そこでお二人できっとまた「おい」「はい」と…。

「官僚たちの夏」…いま渦中にある近畿財務局の元職員、故赤木俊夫さんを思います。
私が最も印象深いのは「落日燃ゆ」でしょうか。
広田さんの奥様が自死されるくだりに心を衝たれました。

小父さん…甲子園球児でしたか?
名投手 平松政次さんの世代かと存じますが、
高校時代の彼は岡山東商、中国大会で我が母校と対戦しました。
高校時代の平松投手の剛速球をリアルで見ました。
返信する
デ某さんへ (小父さん)
2020-03-26 21:08:57
こんな所までコメント有難うございます。

>蓋し 極上のラブレター ですね。

貴兄のブログで城山さんの奥様の顔も思いだし、本当に素敵なご夫婦だなと今更ながら感心しています。

>少子化!と言われながら 現在の地球には77億人超!

はっはっは、日本国が可笑しな国になっているってことでしょうね。

>そこでお二人できっとまた「おい」「はい」と…。

いやー、私もそうありたいものです。

「官僚たちの夏」はショックキングでしたね。
モデルの方のその後情報も調べたものです。

ちゃんと読んでいないのでしょう。
「落日燃ゆ」から読み直してみることにします。

平松政次さん、顔と名前をぼんやり覚えているくらいで
このブログにも野球のことをよく載せていますが、芸能人的な扱いしか出来ていないです。
なにせスポーツ音痴ですので(汗)

>高校時代の平松投手の剛速球をリアルで見ました。

それは貴兄の財産ですね。
私の記憶と言ったら、福岡(西鉄ライオンズ)の稲尾、中西、豊田くらいのもんです!(笑)
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