今週はいよいよ年度末年度始めが交錯するとあって、職場に行くのがつらい方も多いのでは。
そんな時は”自然”に目を向けることが大切かもしれないと、写真家の星野道夫さんやアイヌ民族の文化が教えてくれた。
レンタカーを借りて羅臼に行った時の写真はまだ続くのだが、ぜひお疲れのみなさんの日曜日の夜にこの写真を届けたいと、順番は違うが羅臼からの帰りの根北峠の写真を。
車を走らせていたら、車道の私の走行車線の前を一目散に走るキタキツネが。
あわてて、ハザードランプをつけ助手席に置いていたカメラに手を。
私を追い抜いていく車の前を横切り、キタキツネは雪山の上へ。
峠の道とあり、画面左手は山。キタキツネは除雪で積まれた雪山に一段上ると、こちらをしっかとにらんだ。口には何か大きな物をくわえている。
(※一番最後にこの写真の拡大したものがあります。)
Zの形をしたそれは鹿のような大きな動物の骨のようだった。
しばらく私をにらんでいたキタキツネであったが、ふいときびすを返すとまた走り出した。
そして除雪の雪山の向こうの谷へ降りようとしたのか、さらに雪山の上に上った。
そして、再度私に一瞥をくれたが、
下には降りられない場所と判断したのか、また走り出した。
体からはみだすような大きな骨をくわえ、ずんずん進んでいく。
ちょうど私の進行方向だったので、私もゆっくり進んでは停まってシャッターを切った。
ちょうど、どこかでワタリガラスに会えるのではと、望遠レンズをつけていたのである程度の大きさに撮ることができた。
ちなみに、私の望遠は200ミリのズーム。
羅臼の日の出を撮っている時も、屈斜路湖で白鳥を撮っている時も、カメラ小僧(カメラオヤジだけど)に出会うと、その人たちは必ず顔より先に、カメラとレンズをちらりと見る。
そして、こちらが入門機だとわかると、(ふっ、そんなもんか。勝ったね。)とでも言いたげに満足そうな顔をする。
だから、カメラ小僧が集まる場所にはあまり行きたくない。
だけど、
写真は、機種の良し悪し、レンズの良し悪しではないと思うよ。
この網走探信の写真を、ある人は、”玉石混交”(ぎょくせきこんこう-玉のようなよいものも、石のような雑なものもまざっている)と言ってくれたけれど、それはほめてくれたのだと思っていて、自分では結構いいせんいっていると思う。
入門機だとしても、私のカメラ(初期の『EOS DIGITAL』)は、私を支えてくれている大切なカメラ。とっても感謝している。
雷の大雨の中で写真を撮ったり、雪で濡らしてしまったり、ぶつけてしまったりしても、がんばってくれている、大好きな私のカメラだ。
キタキツネさんは、(マダ、ツイテクルノカ!)といいたげに何度もこちらを振り返り、私をにらんでいたが、キタキツネさんにとっては迷惑な話で、とてもおそろしげに思ったことだろう。
でも、きみのたくましさを見ることができて、とってもうれしかった。
春が来る前の今が、野生生物にとっては一番厳しい季節だが、今も根北峠のどこかを、キタキツネさんは忙しく走り回っていることだろう。