認知症の親が養子縁組をする場合、養親の判断能力が低下しているため、養子縁組が無効になる可能性があります。養子縁組は親子関係を成立させる身分行為であるため、本人の意思がないと無効になります。
養子縁組を有効とするには、親子関係を人為的に設定する意義を常識的に理解できる程度の能力が必要とされています。裁判例では、認知症の診断がされていても意思能力が認められないわけではなく、デイサービスやショートステイでのやり取りや、治療内容、従前の日常生活、養子縁組をするまでの経緯、縁組をする際のやりとり等を考慮して、意思能力の有無を判断しています。
養子縁組をした場合、普通養子縁組であれば実親との親子関係は存続するため、実親が死亡した場合にも実子として法定相続分があります。夫婦で養子縁組をした場合は、夫にも妻にも実子と同様の相続分が分配されます。