認知症と心臓病には、共通の危険因子や動脈硬化の進展など、密接な関係があります。心臓病の予防や効果的な治療は、脳の健康や認知機能の維持にも重要と考えられています。
心筋梗塞や脳血管疾患、心房細動など、心臓病には認知症の発症リスクを高める可能性があります。これらの病気は、動脈硬化によって血管が細くなったり塞がったりすることで発症し、炎症が慢性的に血流の流れを悪くします。この炎症がアルツハイマー型認知症や血管性認知症の発症リスクを加速させる可能性があると考えられています。また、心房細動では血液がよどんで血栓ができやすくなり、その血栓が脳の血管を詰まらせて脳梗塞を引き起こす可能性もあります。脳梗塞は血管性認知症の原因となるため、心房細動がある場合は血栓ができやすい高齢者や、脳梗塞の既往がある人などは注意が必要です。
高血圧や糖尿病、喫煙などの生活習慣病も、認知症の発症リスクを高める可能性があります。高血圧のレベルが高いほど、将来の認知症発症リスクが上がることがわかっています。また、アルツハイマー型認知症では糖尿病の患者さんの認知症発症リスクが高いことが示されており、喫煙を続けている人ではアルツハイマー病や血管性認知症ともにリスクが3倍近く高くなるという報告もあります。