「なんだよ、折角、京葉臨海鉄道の写真が撮れたのに、通りすがりの車が写ってしまっているよ」
なかなか出会えない列車なので夢中でシャッターを切ったが、車が全部フレームに飛び込んで来る。
「明日の鋸山登頂が無いなら、どうやって歩く練習をし、連休を過ごせばいいのだろう」
「三密は無いし、県も跨が無いし、誰もこんなもん見に来ないし、自宅から20キロも無いし」
房総半島一周の練習で1日目に木更津、2日目に金谷の鋸山に登る計画を立てたが、この三連休前にコロナ禍が猛威を奮い、「我慢の三連休」となった。
「鋸山は止めなよ。あそこも観光地だよ」
一日目に50キロ踏破を順調にこなし、「明日はいよいよ」と思っていたが
「やっぱり二日目の鋸山登山は止めておこう」と相成った。
一日目の木更津までの50キロ踏破中、ルートの途中で京葉臨海鉄道の貨物列車にたまたま出会う。
なかなか出会えない列車なので夢中でシャッターを切ったが、車が全部フレームに飛び込んで来る。
「あー、何たる不運」
本当に時々しか遭遇しないのに。
木更津駅に、疲れた体で到着したが京葉臨海鉄道のいい写真が撮れなかった事が心残りでした。
「明日の鋸山登頂が無いなら、どうやって歩く練習をし、連休を過ごせばいいのだろう」
コロナ禍も恨めしいが、シャッターチャンスをものに出来なかった運のなさに肩を落としていると、帰路の途中駅「蘇我」で電機機関車の列を目にした。
「おっ、カッコいいな。そうだ、明日はあの電機機関車群を見に行こう」
「三密は無いし、県も跨が無いし、誰もこんなもん見に来ないし、自宅から20キロも無いし」
外出するのが少しはばかられたが、目標を鋸山登山から、「蘇我」電機機関車見学に変えて、ロングウォーキングの練習としたのだった。
「蘇我駅」は内房線、外房線、京葉臨海鉄道が合わさる、マイナーだが“ハブ”な駅。
「京葉臨海鉄道の写真も撮れるだろうし、いいことありますように」
落とした肩が少し上向いて来た、未熟者アドベンチャーレーサーだった。