Mr.大江のGUITAR TREK

クラシックギターとスタートレックをこよなく愛するミスター大江のブログです。

アンサンブル・クラシカ

2009-08-17 23:30:00 | ギター
「アンサンブル・クラシカ」

この楽団名は作曲者・編曲者として現在活躍されている松木好文先生を中心に
30数年前に東京を拠点として結成されたギターアンサンブル。

ここにアンサンブル・クラシカ解散の節目に、若き精鋭達の記念碑として制作した
一枚のSPレコードが有る。

私が岸田先生にレッスンを受けていた当時に頂いたレコードである。
これには、賢三(弟)先生がアンサンブルの1st兼ソリストとして参加されている。

レコードに録音された演奏は各パート共に一音のズレも無く、曲の表現も繊細に
してダイナミックな見事に息の合った完璧なる演奏です。

私たち新生「岸田ギター合奏団/アンサンブル・クラシカ」の超えるべき1つの
目標でも有ります。(かなりハードルが高い!)

<練習風景>

本年11月3日東京きゅりあんホール「日本ギター合奏フェスティバル」開催!

まさに元祖「アンサンブル・クラシカ」の活躍した東京に於いて若き時代の松木
先生作曲によるギター合奏曲「鹿おどし」を携えて東京デビューを果します。

他の参加団体、ギター関係者に鮮烈なインパクトを与える演奏が出来ればと決意。

・・あと76日・・只ひたすら練習有るのみですね。

いずれにしてもクラシカメンバーにとって最高の思い出を刻む合奏フェスティバル
になると良いですね。

頑張るぞ~っ!!


私の宝物 (その3)

2009-08-08 00:45:00 | 私の宝物
「オスカー・ギリア」直筆サイン

人の脳は不思議です。
さっき会った人の名前すら覚えられない自分なのに・・。
30年以上も前の記憶を一つ思い出すと当時の事が次々と頭に浮かんで来ます。
このサインはオスカー・ギリア36才、3度目の来日の時に頂いたものです。

岸田ギター三バカトリオ初の外国人ギタリストのコンサートであり、3人が
揃って行く高校生活最後のコンサートでも有りました。
この後、それぞれの進路へと別れて行く時期で、とても印象に残っています。

1974年
名古屋市民会館でのコンサート終了後、もう誰もいなくなった市民会館の正面
玄関周辺でサインを貰おうと約30分程、三人でフラフラと歩いておりました。
もう中からは誰も出て来ないようで半分諦め掛けていた時、玄関中央から人影が
現れました。

それは、ラミレスで有名な貿易会社の当時まだ黒髪だった荒井社長(現会長)と
大きなコートを纏った、オスカー・ギリアと2人が一緒に現れたのです。

若かった私たち3人は色紙とマジックを持って駆け寄りサインを要求しました。
そのとき友人の新君が荒井社長に「あなたの音楽はとても美しい!」とギリアに
伝えて下さいとお願いしました。

荒井社長が快く英語で通訳したら、ギリアはしゃがみ込んでんでサインを書き
ながら間髪入れず「ソ・ウ・デ・ショ・ウ」と私たちに声を発したんです。
いったい何を言ってるんだ・・?と思ったが直ぐに理解しました。

片言で「そうでしょう!」と日本語で答えたのだ!!
何という洒落の効いた髭面のオッサンだ・・と思いましたね。

後日、コンサートの事を友人三人で語り合ったとき、友人の新君が悔しそうに一言
「荒井社長に通訳をお願いしたけど、イタリア語じゃなくて英語だったぜ!
英語なら自分でちゃんと伝えれたぜ!!」と言っていた事を思い出しました。

面白かったのは、コンサートでのギリアは現在のようなギターレスト(当時は無い)
は使わず何よりギリアは当時から大きなお腹なので足台に乗せた左足のズボンの裾が
上がりその下の黒い靴下が演奏中にズルズルと下がって来るのが見えてとても
ユーモラスで演奏中も靴下がとても気になりましたね。

また、時に何処からともなく声が聞こえて来るんですが・・何かと思ったら
ギリアが鼻唄で旋律をなぞりながら演奏するなど色々ビックリした話題で会話が
弾みました。

その会話の中でも「ゴヤのマヤ」の演奏は独特の香りのある曲で、絶妙のリズム感と
間のとり方、落ち着いた中に「ハッ」とする歌いまわしの名演奏に3人とも驚嘆の
感想でした。

シンプルな中にも堂々と詩情を歌う彼の演奏スタイルはセゴビアを彷彿と
させるまさに王道とも言える演奏でした。
後年アリリオ・ディアスなどの個性ある外国人ギタリストも聞きましたが
基本的に真面目な演奏ながらも一番印象に残っているのは何といっても
オスカー・ギリアです。

Mr.福田氏共演

現在ギリア71才、「YouTube」でも数少ない映像を見ていると「マスター
クラス」でセゴビアから真剣にレッスンを受ける若きギリアの姿が有ります。

その曲目が40~50年経った今もコンサートの中心的レパートリーで有り
曲想もセゴビアの指導を大切に継承しながら、より洗練した演奏を視聴する
に付け、ギリアには心からセゴビアの弟子としての喜びと誇りが有るんだな
と私は感じております。

Mr.福田は、ギリアの愛弟子であり8月の現代ギターには「最後の巨匠」と
言われています。
ジョンやブリームのような華々しさは無いけれど、彼の生演奏を耳にすると
知らず知らずの内に真摯な楽曲の世界へ引き込まれる紛れもなく堂々とした
音楽の世界観を持った巨匠ならではの演奏だと思います。

また彼は、何より現在ギター界をリードする最も多くの若手、中堅ギタリストの
師匠でもあり名教授でも有ります。

セゴビアお気に入りの弟子と言われているステファノ・グロンドーナですら
ギリアに直接指導を受けており、その内容たるや後年の講習会の語り草になる程の
真剣勝負の熱烈な公開レッスンを行っています。

CDの枚数・TV映像の数なども少なくて、余り派手な印象はないけれども
まさに「いぶし銀」の輝き。

世界中に教えを授けた弟子を数多く輩出し今も尚、後進の指導に全力で
取り組んでいる指導の達人ギタリスト。

「弟子の優秀さを見れば師匠の偉大さが解かる」とは、ある偉人の言葉・・。


「オスカー・ギリア」現在のギター界でマエストロと呼ばれるにもっとも
ふさわしいギタリストだと思います。

音楽の解釈・展開・表現法・演奏技術・・・etc。
是非一度はレッスンを受けたい巨匠ギタリストです。

イタリア、キジアーナ音楽院・・・行きたいですね(観光だけでも)・・。

オスカー・ギリアの直筆サイン。

若き日に頂いた大切な「私の宝物」です