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15.七色高架橋
もともと十津川道路の一部として計画され(こちらの区間の事業主体は奈良県)、北側より先に整備されました。十津川沿いに延々と高架橋が連なるさまは、現在でも国道168号の白眉です。2005年に供用開始されました。
https://www.zenitaka.co.jp/topics/bridge/works/19.html
http://www.cantilever-method.org/wp-content/uploads/nanairo.pdf
現在の供用区間は1~7号橋の7橋からなり、延長は1.7kmです。しかし、当初計画ではさらに北側に8~10号橋を建設する計画で、総延長は2.3kmになる予定でしたが、2023年に至るまで着工されていません。7号橋の北端部には、延長に対応した構造物が準備されているのですが・・・
ここで接続する十津川道路(Ⅱ期)<その6参照>の新規事業採択時評価資料によれば、七色高架橋との接続部分に310mの橋梁を建設し、そのまま二津野・桑畑地区をバイパスする長さ2070mのトンネルにつながるような計画になっており、9号橋や10号橋は幻に終わりそうな感じがします。
16.本宮道路
七色集落は十津川村の最南端で、僅かに段々畑があり、耕地が皆無の村内では珍しい存在です。路線バスは集落付近では旧道を経由するので、七色高架橋の1号橋部分は通りません。
七色高架橋はそのまま奈良・和歌山の県境に相当する土河屋トンネルにつながります。
その1で紹介した五條新宮道路のパンフレットによれば、土河屋トンネルおよびその南側に連なるトンネルと橋が連続する高規格道路は合わせて「本宮道路」という事業名で和歌山県が整備し、土河屋トンネル区間の1kmは2005年3月に、南側の2.7kmは2013年3月にそれぞれ開通しました。
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ただ、土河屋トンネルは2012年7月に北側坑口付近の内壁で亀裂の発生が認められたため通行止めとなり、 対策の実施・監視体制の構築が完了する2014年12月まで2年半にわたり通行止めが継続しました。
https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/happyou/thesises/2015/pdf04/14.pdf
したがって、2013年3月~2014年12月の間は、せっかく南側の高規格道路が開通したのに、北側は熊野川沿いの旧道の通行を余儀なくされていました。
なお、路線バスは本宮道路区間は全く経由せず集落のある旧道を通ります。
17.熊野本宮大社とその前後
「本宮道路」として整備された区間の南端は、世界遺産・熊野本宮大社より2kmほど北です。以南の10kmほどの区間は、1980年代までにある程度の改良工事が完了していたためか、現段階ではバイパス建設や拡幅などの工事は予定されていません。
ただ、区間によっては「道路が山と川に挟まれており、土砂崩れ・落石・浸水などの災害リスクが高い」状態となっています。実際、本宮道路区間の南端から数百mの崖の部分で大雨により落石が発生し、2023/6/2~2023/7/4の間通行止めとなって、観光客の車も地元民の車も迂回を余儀なくされ、路線バスは当初の迂回路が狭すぎるため区間運休扱いでした。
https://www.agara.co.jp/article/282726
https://www.agara.co.jp/article/284219
https://www.agara.co.jp/article/287518
こちらは、その迂回中の路線バスの車内から撮影した通行止め現場です。
(つづく)