原発の運転再開について、安全宣言をした海江田経産大臣と、ストレステストを実施してから判断と国会で答弁し、にわかに玄海原発と伊方原発の運転再開に待ったがかかりました。
たまたま国会答弁を見ていたのですが、自民党の塩崎議員が海江田さんの安全宣言を菅総理は了承していたのか・・という質問からはじまりました。
菅さんは「安全宣言てなんのこと?」みたいなとぼけた態度で、関係のない資料を読んでるふうに見えました。
そこで、海江田さんが出てきて、わざわざ「事前に菅総理には説明はしていない」と答弁した。
質問した、塩崎議員の方が「えっ、それでいいの?」みたいな反応で、そのあと菅総理が「ストレステストをやることを指示した」というような答弁をしました。
そのあと原子力安全委員会の班目委員長がそれを補足し、ストレステストは安全委員会の判断というようなことを言いました。
菅総理が、それを良く理解していたのか不明ですが、細野原発担当大臣から原子力安全委員会に判断を求め、スレステストをすべしという結論となったという筋書きでした。
そもそも、これだけの事故を経験した後に、それでも原発を動かそうという判断をするときに、原子力安全委員会の意見も聞いていないということがおかしなこと。
それほど経済産業省の独断専行であったとすれば、そのことの方が「ひどい話」なのですが。
それで「国が全責任をとる」と大見得を切った海江田大臣は、まったくの無責任で、直ちに辞任すべきだと思います。
ただ、唐突に出てきたので、ストレステストとは何なのか、あまりよく知られていません。
そこに、ベルリンの知人からストレステストについての情報がよせられました。
その一部を紹介します。
*************
メインは書類審査。
ここでいう書類は、原発運転者側が提出。
書類の内容はたいへん幅広いと思われます。
ドイツの場合、足りない種類は検査中に提出させるか、検査後にも提出するよう求めています。書類提出不足で検査結果保留のものもありました。
たとえば書類は、
1)設計時の書類。その後の改造設計に関する書類
2)10年毎に行われる安全性評価の書類(これは、原子炉の高経年化などを検査し、その結果を下に、その後10年間の運転許可が出されるのが普通)
3)その他、メンテナンス状況書類、運転月報、週報、日報など(ただ、この種の書類は現場常駐の監督機関の検査員が常時チェックしています)
メインは1)、2)かと思われます。
要は検査のポイントは、たとえば耐震設計、耐津波設計の設計条件が十分かどうか。洪水対策は?電源供給なら、外部電源の系統数は?、非常電源の冗長性は?、非常電源のディーゼル燃料のリザーブは?、インフラ破壊された時の燃料の確保方法は?、非常電源装置の位置は?冷却水の確保は?、冷却装置の位置は(万一の事故の場合に備えた装置の保護体制は、事故のシナリオは)?など。
さらに整理すると、設計条件が適切か、それから事故のシナリオ想定が適切か、その場合の対策が適切か、それ以外にも不確定要素があるので、それに対して十分な安全性のリザーブが取られているかが検査の対象になると思います。
万一の場合は現場視察か。ただ、ドイツでは現場視察があったかどうかは疑問。
ドイツは約2ヶ月程度でストレステストを実施。検査をした原子炉安全委員会の委員長には、ストレステスト期間中の会見でこんな短期間でいったい十分検査できるのか、ただのアリバイ造りではないかと質問したのですが、短期間で十分との返事。ただ、ストレステスト報告書公表の会見では、できなかった部分は後で州と一緒に継続すればいいと弁解していました。
ドイツの場合、ストレステストを行ったのは原子炉安全委員会で、委員には日本でもおなじみのザイラーさんなど批判派も入っています。学者というよりは実務者が多いですか。実際、現在の委員長は、州当局と常時原発の検査を行っている技術監査協会の会長。
検査後、ザイラーさんはこんな書類もないのかとあきれたものがあったコメントしていました。
各国で監督体制が異なると思われますが、ドイツの場合は以下のような特徴があります。
基本的に原発の監督権は建設、運転の許認可権も含めて国ではなく、原発立地州にあります(地方分権化)。
今回のストレステストは国がやったものなんですが、そのため、検査は法的基盤なく実施されています。政治判断ということです。
それから、ストレステストの結果によって原子炉を停止させる、停止させないの結論は出ていません。
あくまでも、検査項目毎に3段階評価されただけ。それと不足書類の提出を求められた。
それじゃ、安全性が改善されるのかどうかですが、今後のやり取りは原発立地州と原発の運転者の問題になっています。
これは、現在開始されたEUのストレステストでも同じで、結果は公表するが、実際に原子炉を停止させるかどうかは各国の判断任せ。各国の政治判断になると思います(ストレステストによって原子炉を停止させるだけの法的基盤はないと思います)。
*****************
ドイツと日本の大きな違いは、許認可権が州政府のドイツと中央政府の日本という点。
日本では、ストレステストを行うのも、許認可権も国です。
国が、ストレステストの結果、書類不備と判断すれば、運転はできないということにもなります。
ドイツでは2ヶ月くらいで行ったということですが、日本でも、このテストが終わるまで、まずはすべての原発を停止すべきではないでしょうか?
日本ではどのような項目を調べるのかもまだ明らかではなく、その内容の監視も必要です。
何をするのか、どんな結果だったのか、すべて公開させるべきだと思います。
とくに、原子力安全保安院などにやらせては、絶対にいけないと思います。
この部署は一日も早く廃止をするべきです。
たまたま国会答弁を見ていたのですが、自民党の塩崎議員が海江田さんの安全宣言を菅総理は了承していたのか・・という質問からはじまりました。
菅さんは「安全宣言てなんのこと?」みたいなとぼけた態度で、関係のない資料を読んでるふうに見えました。
そこで、海江田さんが出てきて、わざわざ「事前に菅総理には説明はしていない」と答弁した。
質問した、塩崎議員の方が「えっ、それでいいの?」みたいな反応で、そのあと菅総理が「ストレステストをやることを指示した」というような答弁をしました。
そのあと原子力安全委員会の班目委員長がそれを補足し、ストレステストは安全委員会の判断というようなことを言いました。
菅総理が、それを良く理解していたのか不明ですが、細野原発担当大臣から原子力安全委員会に判断を求め、スレステストをすべしという結論となったという筋書きでした。
そもそも、これだけの事故を経験した後に、それでも原発を動かそうという判断をするときに、原子力安全委員会の意見も聞いていないということがおかしなこと。
それほど経済産業省の独断専行であったとすれば、そのことの方が「ひどい話」なのですが。
それで「国が全責任をとる」と大見得を切った海江田大臣は、まったくの無責任で、直ちに辞任すべきだと思います。
ただ、唐突に出てきたので、ストレステストとは何なのか、あまりよく知られていません。
そこに、ベルリンの知人からストレステストについての情報がよせられました。
その一部を紹介します。
*************
メインは書類審査。
ここでいう書類は、原発運転者側が提出。
書類の内容はたいへん幅広いと思われます。
ドイツの場合、足りない種類は検査中に提出させるか、検査後にも提出するよう求めています。書類提出不足で検査結果保留のものもありました。
たとえば書類は、
1)設計時の書類。その後の改造設計に関する書類
2)10年毎に行われる安全性評価の書類(これは、原子炉の高経年化などを検査し、その結果を下に、その後10年間の運転許可が出されるのが普通)
3)その他、メンテナンス状況書類、運転月報、週報、日報など(ただ、この種の書類は現場常駐の監督機関の検査員が常時チェックしています)
メインは1)、2)かと思われます。
要は検査のポイントは、たとえば耐震設計、耐津波設計の設計条件が十分かどうか。洪水対策は?電源供給なら、外部電源の系統数は?、非常電源の冗長性は?、非常電源のディーゼル燃料のリザーブは?、インフラ破壊された時の燃料の確保方法は?、非常電源装置の位置は?冷却水の確保は?、冷却装置の位置は(万一の事故の場合に備えた装置の保護体制は、事故のシナリオは)?など。
さらに整理すると、設計条件が適切か、それから事故のシナリオ想定が適切か、その場合の対策が適切か、それ以外にも不確定要素があるので、それに対して十分な安全性のリザーブが取られているかが検査の対象になると思います。
万一の場合は現場視察か。ただ、ドイツでは現場視察があったかどうかは疑問。
ドイツは約2ヶ月程度でストレステストを実施。検査をした原子炉安全委員会の委員長には、ストレステスト期間中の会見でこんな短期間でいったい十分検査できるのか、ただのアリバイ造りではないかと質問したのですが、短期間で十分との返事。ただ、ストレステスト報告書公表の会見では、できなかった部分は後で州と一緒に継続すればいいと弁解していました。
ドイツの場合、ストレステストを行ったのは原子炉安全委員会で、委員には日本でもおなじみのザイラーさんなど批判派も入っています。学者というよりは実務者が多いですか。実際、現在の委員長は、州当局と常時原発の検査を行っている技術監査協会の会長。
検査後、ザイラーさんはこんな書類もないのかとあきれたものがあったコメントしていました。
各国で監督体制が異なると思われますが、ドイツの場合は以下のような特徴があります。
基本的に原発の監督権は建設、運転の許認可権も含めて国ではなく、原発立地州にあります(地方分権化)。
今回のストレステストは国がやったものなんですが、そのため、検査は法的基盤なく実施されています。政治判断ということです。
それから、ストレステストの結果によって原子炉を停止させる、停止させないの結論は出ていません。
あくまでも、検査項目毎に3段階評価されただけ。それと不足書類の提出を求められた。
それじゃ、安全性が改善されるのかどうかですが、今後のやり取りは原発立地州と原発の運転者の問題になっています。
これは、現在開始されたEUのストレステストでも同じで、結果は公表するが、実際に原子炉を停止させるかどうかは各国の判断任せ。各国の政治判断になると思います(ストレステストによって原子炉を停止させるだけの法的基盤はないと思います)。
*****************
ドイツと日本の大きな違いは、許認可権が州政府のドイツと中央政府の日本という点。
日本では、ストレステストを行うのも、許認可権も国です。
国が、ストレステストの結果、書類不備と判断すれば、運転はできないということにもなります。
ドイツでは2ヶ月くらいで行ったということですが、日本でも、このテストが終わるまで、まずはすべての原発を停止すべきではないでしょうか?
日本ではどのような項目を調べるのかもまだ明らかではなく、その内容の監視も必要です。
何をするのか、どんな結果だったのか、すべて公開させるべきだと思います。
とくに、原子力安全保安院などにやらせては、絶対にいけないと思います。
この部署は一日も早く廃止をするべきです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます