竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

原発ゼロノミクスと参議員選挙

2013年07月25日 | 原発
先日の「参議員選挙を振り返って考える」には、多くのアクセスをいただいた。
湯島聖堂の孔子様効果もあったかもしれないが、参議院選挙の結果に納得がいかず考え続けていらっしゃる方が多いのだろうと推察する。
今日は、その考察をもう少し進めてみよう。
(今回も候補者については敬称略とさせていただく。関係者ご容赦。)

前回私は、敗因の多くを「選挙協力」がなかったことに求め、候補者の乱立を嘆いた。
しかし、今回神奈川選挙区の11候補の市町村別得票数を入手し、それを詳細にながめてみた。
すると、必ずしも露木順一(みどりの風)が畑野君枝(共産党)の足を引っ張ったとは言えない構図が見えて来た。
考えてみると露木は、畑野票を限定して奪っているわけではなく牧山票も奪っている。
いや、もしかしたら牧山票を奪った度合いの方が多いのかもしれない。

畑野君枝は牧山ひろえ(民主党)と大接戦を演じた末に破れた。
牧山側からいえば、現職議員であるが大きく票を減らし、かろうじて畑野の猛追を振り切ったということだ。
得票を見ると、畑野が牧山を上回っているのは川崎市だけだった。ほぼ接戦だったが、かろうじて牧山が畑野を上回っており、川崎市のみ畑野が牧山に1万票以上の差をつけていた。
露木順一の票が牧山や畑野に比して多かったのは南足柄市と足柄上郡。足柄上郡は露木が町長をしていた開成町がある。開成町での得票は50%以上で、さすが元町長であるが、足柄上郡でも南足柄市でも30%前後の得票。ただし、これら地域は総得票数でもせいぜい5万票超である。
この二つの地域を含め、牧山と畑野の得票は拮抗している。
大票田である横浜と川崎での、露木の票は2.1%と2%。ほとんど変わらない。

緑茶会が露木を推薦する経緯は、神奈川勝手連が参議院選の直前に立候補することになった露木の応援を決めたからだ。
基本的に各地域の主体となる市民の意向を尊重するというのが緑茶会の姿勢であり、神奈川選挙区は神奈川勝手連の決定を待つことにしていた。
神奈川勝手連とは、脱原発の市民のネットワークであり、先の衆議院総選挙では未来の党を応援し、あべとも子の比例復活当選に貢献した。
しかし、今回の参議員選挙では当初から畑野を応援すべきではないかとの声もあり、民主党の牧山でも良いのではないかとの声もあった。
最終的に決められなかったのは、畑野に決めたとして勝手連にネットワークしている市民が共産党候補に投票してくれるだろうかとの懸念、牧山については市民運動に対する(周辺関係者の)軽視(ご本人の意向は確認できていない)による。
結果的に決めきれないでいるなか、みどりの風が露木の擁立を決めた。

もし畑野か牧山のどちらかが、積極的に神奈川勝手連の意向を聞き、連携しようという動きになっていれば、逆に露木の立候補はなかったかもしれない。
牧山46万票、畑野44.5万票、そして露木が12万票。確かに、露木の票がどちらかに乗ればそれが当選を左右するように見えるが、実際にはそれはあり得ない。
両方に散らばっているわけで、あえて言うならば、露木がいなければ共産党というよりも民主党という方が多いと思われる。
そう考えてみると、露木は畑野の足を引っ張ったのではなく、結果的には後押しをしたのだということだ。
もう一押し、民主党票を奪っていたら畑野が当選していたに違いない。
(同じことは、社民党の木村栄子についても言える。)

こんな分析をしてみると、私たち緑茶会が「勝つため」に一人に絞ろうとしていた作戦がはたして正しかったのか再検討が必要になる。
「勝てない」からと言って、得票数が少ないであろう候補を応援しないということで良いのかと。
政治の新陳代謝は、無名の市民からはじまるのかもしれない。
その新陳代謝をうながすのも緑茶会の役割ではないのかと。

緑茶会は脱原発を実現するための政治団体であるが、その基本政策は「原発ゼロノミクス」である。
アベノミクスよりも「原発ゼロノミクス」。脱原発を進め、再生可能エネルギーや省エネルギーの普及をうながす方が新たな産業が発展し、雇用も増し、日本経済そのものが良くなるという考え方である。
そのことを広めるのも、この参議員選挙の大きなテーマだった。
しかし、結果論で見ると、あまりその目的を達したとは思えない。

東京選挙区で落選した大河原雅子は、選挙終盤ではこの「原発ゼロノミクス」やその考え方の根拠など、私顔負けで街頭演説していた。
選挙序盤から私が応援演説に入り、原発ゼロノミクスを語り続けたからだろう。
応援者の言葉をしっかり自分のものにしていた。
ほかの推薦候補では、なかなかここまでできなかった。
竹村が一人しかいないという物理的要素もあるが・・。

神奈川では、露木も畑野も牧山も、みんなが「原発ゼロノミクス」を叫び、東京では大河原も、山本太郎も吉良佳子も、みんなが「原発ゼロノミクス」を叫ぶ。
そんな状況になっていたら、この参議員選挙の最終結果はどうなっていただろう。同じ結果だっただろうか。
これまで、「大同団結」と「絞り込み」ばかりを考えて来たが、また違う作戦もあったのではないかと、あらためて考えさせられている。

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