竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

東電株主総会のユーウツ

2012年06月28日 | 原発
昨日は東京電力の株主総会でした。株主総会の模様は、会場の中からツイートし続けていましたので、読まれた方もあると思います。
そのツイートは、提案株主側の発言と取締役の回答を中心に行ないました。相当数のツイートになったのですが、伝えきれていない部分があります。
いちばん伝えきれなかったのは、質疑の時間に会社側の動員株主が次から次に発言し、東電には責任が無い、政府の責任、自民党の責任、どうしてそれを抗議しないか・・という問題提起のオンパレードと言う異様な雰囲気です。
最初は、ツイートするまでもないかと放っておいたのですが、数回繰り返されるあたりから、私も変だなと思いはじめました。
なぜなら、これまでの株主総会では彼らは「沈黙の人」。ただ、会社側議案に手を挙げるだけのために参加していたからです。もちろんヤジは上げていました。かつての総会屋対策で、総会屋と張り合うほどに柄の悪い社員、OB、関連会社関係者などが集められているのだろうと思っていました。
その彼らが、次々と発言をしてきた。それもほぼ同じ主旨で、会社に原発事故の責任は無い、少なくとも全責任を負うのはおかしい、原発は国からおしつけられたんだろう・・見たいな発言。

あとから、いろんな関係者の分析を聞いてみても、これは仕組まれた発言だと思ったということです。
発言者の中には、あまり発言用意ができておらず、あてられてしまってどうしようみたいにぐだぐだと何か思いをいいながら、最後には「要するにそういうことです」みたいな投げやりな発言もありました。
話し出しでは、自分も原発に批判的なことを言いながらはじめるので、脱原発株主席から拍手が沸くこともありました。ただ最後は、東電に全責任はおかしいとか、大幅減給では社員のやる気が失われるのが心配・・みたいな話でまとめるわけです。
脱原発株主側では、こういう発言をした株主を「仕込み株主」と名づけました。発言を指名された株主のうち3分の2以上は「仕込み株主」だったのではないかと思います。
十分用意できていない発言がままあったことからすると、とりあえず用意をするように会社側から指示され、当日はその中からアトランダムにあてる(場合によっては当たらないこともある)というような約束になっていたからかも知れません。
勝俣議長は「1階席、北の4ブロックの方」というような、とてもアバウトな指名の仕方をしていました。同じブロックの中で何人もが手を挙げていますから、これでは誰が指されたかはわからないはずです。ところがマイク係は、一目散に「特定の人」に向かって行きました。
ある人が観察していた事例では、議長が指定したブロックとは別のブロックの人が発言したものもあったそうです。マイク係が間違えたのではなく、勝俣議長が順番を間違えたのです。

そういう意味で、昨日の東電株主総会は「見事な仕込み総会」でした。総会屋が仕切ったような総会です。
脱原発株主には、最初からほとんど発言はさせないという方針だったように思います。
指名されたのは、最後の方で「どうして女性には1人もあてないのか」と迫った東井さんを含め数人(3人か4人)だったと思います。
いつもの名物質問者にも指名がありませんでした。
脱原発株主との「対話」は捨てて、「仕込み株主」による「東電の主張」を全面に出せ!ということだったかと思います。
昨日は東京都の猪瀬知事も参加し、東電病院の問題追及などもあり、それはそれで重要な問題ではあるのですが、構図として重要なのは、東電が原子力損害賠償支援機構や政府に対して、「自分たちの責任を軽減せよ」という主張を、「株主の発言」であるかのようにして印象づけたということです。

それは裏を返すと、東電が追いつめられていることを示すものであるのですが、一方でしたたかに「東電帝国の復権」をねらっているのだと言うことを示すものでした。
「仕込み株主」の発言に対し、自らに都合の良い既成事実化をねらっていると思える回答をちりばめていたのです。
「東京電力としても原子力損害賠償法3条の免責」を模索したが、「被害者と争うことになる」(これは嘘だが)ので断念したとか、原子力損害賠償支援機構による特別事業計画の支援の枠組みも1年で見直すという条項が入っているとか、今回の1兆円での株式引受で国が50%以上の株式を取得したが、業績が回復すればそれを順次議決権の無い株式に変えて行く約束になっているとか、などなどです。

これまでの「余裕の大企業」から、いわば国との駆け引きを株主総会の場でやりつつ、したたかに生き残る道をつけて行くという「手負いの闇企業」見たいなものに変貌していたなあというのが、昨日の株主総会を見ての感想です。
最後に下河辺氏をはじめ新取締役たちが舞台に並びました。新たに入る社外取締役たちと、社内からの残留取締役と、これからどういう関係になって行くのかまだ見えませんが、とてもすんなり行くとは思えません。
「仕込み株主」への、かなりの踏み込んだ回答(これを言うために「仕込み株主」を仕込んだわけですから)は、おそらく下河辺氏らへの置きみやげでしょう。
それを、下河辺氏たちがまたすんなりと聞くとも思えませんが・・。
どちらにせよ、柏崎刈羽原発の再稼働と電力料金の値上げを大前提にした特別事業計画をまとめたチームですから、日本の電力システムを根本的に変えるような変革を成し遂げられるチームでも無さそうです。
国民や電力消費者を無視した、単なる利権争いにならねば良いがという思いも浮かんでくる株主総会でした。





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