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占守島って知ってます?
1945年8月15日、日本が無条件降伏を受け入れた後も、北海道の
根室から北方四島よりもはるか先、1,200km、カムチャッカ半島と目と
鼻の先、日本の領土の中でも最も東に位置する占守(シュムシュ)島では
終戦を無視して侵攻してきたソ連軍を迎え撃つべく、当時日本軍の最強
だったであろう部隊との間で激しい戦闘が数日間続きました。
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日本の敗戦を受け、アメリカ軍が武装解除にやって来ると思っていたのに、
やって来たのはソ連。それも日本が敗戦を受け入れず、抵抗したという
既成事実を作ろうと戦闘を仕掛けて来る。
そんな戦いがあったのが占守島です。
浅田次郎さんのこの本は、彼が得意な、いろんな人物のモノローグが
ふんだんに取り入れられています。
同じ戦争でも、見る人によって違って見えます。
それが戦場で相対する人たちであれば、どうなのか?
日本から見ると、終戦後もソ連が一方的に攻めてきたとというのが
一般論ですが、北海道からも1,200km離れた小島では、玉音放送も
まともに受信できず、その島にいた日本の兵隊たちは、
「本当に戦争は終わったのか?」
それすら定かではない。何とか納得したと思ったところに、突然の攻撃。
アメリカ軍だと思ったけど、どうもそうではないようだ。ソ連軍だ。
「負けたとはいえ、ここはれっきとした日本の領土だ。
攻めてくるなら、受けて立つしかない」
と決心する日本兵たち。
他方、ソ連軍の兵士にとっては、戦争が終わったと思っていたのに、
「なぜまだ戦わせるのか?」
といやいや戦いに。
情報が入らない日本軍。
情報を入れないソ連軍。
こうして死ぬ必要の無かった何千という命が無駄に散ってしまった。
小説の登場人物は実在の人物ではない。
しかし間違いなくこういう人たちが存在した。
そういう戦争に巻き込まれた名も無い個人、一人ひとりの思いを浅田
次郎さんが代弁したこの小説。
やっぱり戦争って最も非人間的な行為ですね。
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