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この週末にどうしても見たかった映画を観ました。
『沈まぬ太陽』です。
蔵書を調べてみたら、この本はもう10年も前になるんですね。
出張時も片時も手放さず、電車の中で涙を隠しながら読んだものでした。
その作品が映画化ということで、ベトナム帰り直後でしたが、出掛けました。
確かにいつものことですが、本と比べると深みはありませんが、それでも途中
10分間のトイレ休憩を挟むという、私は体験したことのない、3時間半の
大長編は紛れもなく力作でした。
普通だったら主役クラスの役者さんが一場面だけの登場というほど、役者を
贅沢に使い、それぞれがとてもいい味を出していました。
日航機ジャンボ墜落事故の再現現場も、そのリアリティーは半端じゃなかった。
ベトナムに出張する前に見ていたら、怖くて飛行機に乗れなかったかもしれま
せん。
腐った企業の組織の恐ろしさ、醜さ、無慈悲さ。あれを見ると、企業経営者と
して、決して踏み外してはいけないことがあると、改めて、深く、深く思い
ます。
その一方で、どんなに苦しい場面でも自分の信念を貫くことの難しさと、
それをやり通す人の強さに頭が下がります。
あまりに多くのテーマが同居する作品なので、簡潔にコメントすることを
許さない、そんな重い作品です。
また本を読み直してみようと思います。
映画の紹介というより、本の紹介のようなブログでした。
確かに、労使交渉の場面など、違和感を感じることも
ありました。
会社がおかしくなるのは、労使どちらにも問題がある
という典型例ですね。
日航の場合は、おまけに政治にも問題があった・・・
主人公の異動は、僻地への左遷という枠を超えた
非常に恣意的なものであったのではないでしょうか。
そういう企業風土にも大きな問題があったと思います。
日航は、完全に経営破綻です。
その責任は、親方日の丸意識が抜けないで放漫経営を繰り返した経営者と、ストを楯に身の丈以上の要求を続けてきた労働組合にあります。
主人公は正義の人かもしれないけど、労組の委員長で、首相の乗った飛行機を止めようとした人ですよね。
それから、テヘラン、ナイロビ勤務が左遷、僻地というけど、ハードシップの国で飄々と活躍している人も居ます。
小説の書かれた時代と、今との時代ギャップがこの映画や小説の評価をとても難しくしています。
まさに「見入る」という表現がピッタリですね。
それから来週はお世話になります。
楽しみにしていますから。