『我が家のGood and New』

突然ですが、今日は、４年前、光が中学２年生の夏休みの宿題の作文を紹介
します。長文ですが、楽しんで下さい。では、どうぞ　


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　　　　　『我が家の GOOD AND NEW』


　ある夜、父がみんなを食卓に呼んで言った。

　「これから毎晩家族で『GOOD AND NEW』というのをやろう！」

何のことかさっぱりわからない僕と母と姉は？？？また始まった！
お父さんの得意技だ…。僕はジャイアンに漫画を取られたスネオの
ようにウンザリしていた。父はいつも僕からするととんでもない
ことを提案する。今度は一体何なんだ？

　父が説明する『GOOD AND NEW』とは次のようなことだ。毎晩
家族が集まって一人ずつその日にあったできごとの中からよかった
ことと気付いたことをひとつずつ発表する、というものだった。
発表の前にはまず「こんばんは！」という挨拶をするという。

　「その日初めて会うわけでもないのに何で今さら『こんばんは』
　　なの？」

と姉がジャイアンのような顔で言った。僕もまったく持って同感で
あった。さらに発表の後に全員が拍手をするとも言った。拍手？
何故？しかし、父の勢いに押し切られた形でみんな渋々了解した。

　こうして、我が家の『GOOD AND NEW』が始まった。最初は姉も
僕も気が進まず不機嫌な顔で食卓に着くことが、のび太君の
テストが０点である確率並みに多かった。まず始めの
「こんばんは！」は簡単なようでなかなか出ないひとことだ。口の
中でボソッと言っては耳の遠い父にやり直しを命じられる。ため息。
こんな恥ずかしいことやってられるか！うぜー。

　たったひとつでいいとは言うものの良かったことと気付いたことを
見つけるのもこの上なく難しかった。見つけるにはまず今日はどんな
一日だったか、何をしたのかを振り返る必要があった。まったく
もって面倒くさい！

　しかし提案者の父でさえ、

　「今日は気がついたことが何も無いことに気がついた。」

などと本気か冗談かわからないことを言ったりしているので随分
気が楽になり、僕も

　「野球部でヒットが打てて嬉しかった。」

とか

　「駅前の空き地にマンションが建った。」

とか些細なことでもいいのだとわかってからは意外と苦痛でなく
なった。

　こうして「GOOD AND NEW」にみんながなんとか慣れて、だんだん
スムースに進行するようになっていった。しかし何故父はこんな
ことを提案したのか？これによって得られることはいったい何
なのか？　アメリカで始まったというこの「GOOD AND NEW」の意義
を父に聞いてみると、

　①『話す』ということのウォーミングUP
　②情報の共有化（交換）
　③他人（相手）のことがわかり、信頼関係が増す　　
　④自分の過去を振り返るようになる
　⑤アンテナが高くなる。
　　（次の発表に備え、自分が話す話の種を探すため、回りに
　　　アンテナを張るようになり、情報を意識的にキャッチする
　　　ようになる。）
　⑥脳の活性化
　⑦喋る練習になり、話す能力が増す。
　⑧拍手をすることで相手を容認する。
　　　相手を認めることで活動的にさせる。

というようなことを挙げてくれた。

　確かにこれを始めてから、僕や姉の学校での様子、日々の出来事が
少しずつだがよくわかるようになったと両親は言う。考えてみると
姉が高校生になり僕が中学生になった頃から、父の帰りが遅いことも
あり、なかなか家族で食卓を囲む機会がなかった。しかし、この
「GOOD AND NEW」の登場でささやかながらそうした場が持てるように
なり、我が家にとっていい結果をもたらしたと今は思う。人の意見に
一方的にケチをつけるのではなく、モノは試しで何事もやってみな
ければわからない、ということを思わされた。

　さて、今日はどんな一日だったかなあ。


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以上、原文のままでした。

４年前はまだかわいかったな～