町工場強さの理由

天竜精機のacbさんの案内で興電舎のすーさんと一緒にエーワン精密の山梨県の韮崎
工場を見学し、同社の創業者である梅原相談役のお話をたっぷり聞かせて頂きました。

　　　　　　　　　　

エーワン精密さんは、３７年連続経常利益率３５％以上を続けている超優良企業と聞いて
いて、その創業社長ということで、

　「ものすごい厳しい方だろうな～」

と思って、若干緊張して会社を訪問しましたが、生でお目にかかった梅原相談役は
とっても可愛くて、チャーミングな方でした。

エーワン精密さんは、旋盤のコレットチャック

　　　　　　　　

を主力製品としていますが、注文の内の７割は、たとえ１個の注文でも、受注当日に
生産、出荷するというスピード。

まずはこの秘訣を伺ったところ、

　「今日と明日はえらい違いだな。
　　今日の仕事は今日やってるから、明日の仕事も明日できる。
　　つまりいつも今日入って来る仕事を請ける準備ができているんだ。

　　またＦＡＸや電話で入った注文は、受注後２分で製造現場にエアーシューターで
　　届くようになっている。

　　　　　　　　　　

　　『自分たちはサービス業と思え』と常に社員に言ってきた」


また組織については、

　「５７人のコレットチャックの工場にはトップの常務の下、全員がひとつのグループ。
　　そこには組織も、役職者も一切無い。全員平社員と言えるし、全員責任者とも
　　言える。

　　ひとり何役もやるので、一人ひとりの役目、役割は決めない」


社員育成に関しては、

　「後継者を育てるには、自分が立派になり、自分を目標にしてもらえるように感じ
　　させるしかない。
　　『育てよう』ではなく、『自分が育つ』ことが重要。

　　『自分たちの会社だ』と思っていなければ、自分で動くことはない。
　　そのためには徹底的に経営情報を公開してきた」


ご自分が経営上気をつけていることとして、

　「『困ってから動く』のではなく、『困る前に動く』ことを心掛けている。
　　忙しい時には、あれこれやる暇が無い。大事なことは、暇な時にどう動くかだ。

　　株式公開した一番の目的は、経営のさらなる透明化。自分は創業者利潤など
　　一銭も手にしていない」


社長を退いてこの３年、

　「自分たちのような町工場でも株式公開ができるってことを世の中の中小企業の
　　次代を担う若い経営者に知ってもらいたい」

と、日本全国無料で講演を引き受け、また工場見学も誰でもオープンに受け入れ、
経営にかける梅原相談役の思いを直に伝えるという形で社会貢献を実践していらっしゃる
んだそうです。


　「わしの本を読んだかね？」

　「いえ、先入観を持たずにまず工場を見て、お話を聞きたかったので、まだ読んで
　　いません。さっそく読ませて頂きます」

　「それならプレゼントするよ」

　「いえ、いえ、それじゃあこの場で買わせて頂きます」

　「そうか、じゃあ５万円だな」

　「え、そんな安くていいんですか！
　　ついでにぜひサインもお願いします」

　　　　　　　　

無料で頂いてしまいました・・・　ありがとうございます。

おまけに、記念写真をお願いしたところ、近くにいた社員の方が撮って下さることに
なり、

　「おい、ちゃんとオレも映るように下のほうまで撮れよ」

とその社員さんに梅原相談役が言うので、

　「相談役に合わせて撮ったら、私たちの首から上が写りません」

などと言っちゃいました　


こんな会話ができる、してもいいんだと思わせるような、７１歳の上場企業の創業者
って、他にいるんでしょうか？

それくらいお茶目で、キュートな大先輩経営者。
会った人は、誰もがファンになるんじゃないですか。

そしてそれは社員も同じこと。
みなさん、梅原さんのことが大好きって感じでした。


自分の会社と思ってもらえる会社づくり。
やっぱりこれがキーワードだと思いました。

梅原相談役、３時間も、工場案内、貴重なお話と、本当にありがとうございました。
自分の経営の中に少しでも活かせるよう努めます。

また紹介してくれたacbさん、感謝します。



この梅原相談役が、５月１０日（月）夜１０時から『カンブリア宮殿』に登場するそう
です。ぜひみなさん、キュートな梅原相談役のすてきなお話、見て下さい。