瀬名秀明の「ミトコンドリアの力」を読み終えました。
この本を読み始めた経緯というのがあって、ちょっと説明させてください。
うちの場合、僕が本屋さんで話題の本を見つけて手に取ると、大体うちの奥さんが、
「あ、それ、もう買っているよ。」突っ込みが入ります。
で買わずに帰ってきて、自宅の書斎を掘り返しても、あまりにも膨大な本の山の中で、なかなか発見することができない。
大体、本を読もうと考えるのが、朝出勤前の鞄チェックで、読み終えた本を鞄から出した後の補充のためなのですが、その場で書斎をひっくり返し始めますと、出勤前で忙しいうちの奥さんが目に見えて不機嫌になってきます。
そこで、ご近所の底力…じゃなかった、うちでの一工夫で、うちの奥さんのおすすめ本、もしくは僕のリクエスト本は、見つけた段階で、靴箱の上の本棚に入れておきましょうというルールで運用しています。
大体、日曜日に掃除ついでに本棚の棚卸もするので、その時に気になる本を抜き出して、下駄箱の上の本棚に移動させておきます。
で、ある日、読み終えた本を書斎に返して、下駄箱上から引き出したのが瀬名秀明のこの本だったという寸法です。
ちなみに、瀬名秀明のもっとも有名な作品は「パラサイト・イブ」だったと思いますが、これに関して、うちの家庭内評価はきわめて低いです。
僕自身も、クライマックスシーンに行くまではいろいろと面白いと思ったのですが、クライマックスシーンで…おっと、ネタばらしをするところだった。
まあ、お前はウルトラマンかって突っ込みをしたくなるようなクライマックスだったので、そこでこけてしまって、評価がた落ちって感じでした。
なお、小林泰三の「AΩ」についても、お前はウルトラマンかって突っ込んでいましたが、こちらは褒め言葉ですので、お間違いなきよう。
その瀬名秀明の科学エッセイが「ミトコンドリアの力」なのですが、読んでいる途中、「どうなんでしょう」って感じだったんで、うちの奥さんに確認してみました。
すると、「え!それは確かに私が買ってきたけど、つまんないからそのままブックオフに売るつもりだった。」というお言葉。
「え!?だって、お勧め棚に入っていたよ。」「私は入れてないもん。」
という押し問答になったといういわくの本です。
ちなみに、このシチュエーションって、お昼を定食屋さんに食べに行って、違う物が出てきたのに気がつかずに食べてしまって、半分くらい食べたところで、お店の人に間違いでしたって言われた感じにかなり近いです。
いや、ここまで食って、それはないでしょうって思ったので、少々苦戦しながら最後まで読み終わりました。
えっと、感想ですが、箇条書きでもいいですか?
・ミトコンドリアの何とかサイクルが多過ぎて、覚えられませんでした。
・サプリメントで売られている得体の知れない物質が多く出てきます。
サプリメントってかなり似非科学だと思っていたんだけど、意外とルーツは正統派なんだ。でも、サプリメントで摂取しても、細胞の中に届く頃には消化器官で分解されたり吸着されたりするんで、彼らが言うほど効果は期待できないんですよね、瀬名さん。
・ソフトウェア系のエンジニアとして、「Simple is best」を座右の銘にしてきましたが、生物を機械として見た時には、必要以上に複雑であることがよくわかり、正直ちょっと気持ち悪いです。
・健康であることを当たり前としてしまう感覚を、おそらくサイレントマジョリティとして共有してきましたが、生物としての健康を維持する複雑な仕組みをこんなに丁寧に説明されると、本当に生命を維持していること自体が奇跡のような気持ちになります。
また、実際にミトコンドリアが原因となる病気で苦しんでおられる方の紹介もあって、なんともいたましい気持ちになりました。
健康と呼ばれる状態のほうが一種の奇跡なんじゃあないですかね。
という感じで、まあ読む価値はあったかなと。何とか読み終えたので、そのままブックオフ行きの棚に入るのは決定ですが。
で、このままだと、きっとブログ記事にしなかった本だと思うのですが、この本の最後のほうで触れたトピックスが、その日うちに帰って見たテレビで偶然出てきたので。
その番組は、NHKハイビジョンで先週くらいにやっていた「羊の群れ 大氷河を越える」です。パナ子におすすめされて、録画しておいたのですが、週末にそこまで見れなかったので、帰宅後、夕飯までの間にちょっと見ようとしたものです。
うちの奥さんは、過去、ドラクエの「怒涛の羊」という技が、実際に画面上に大量の羊が現れるものだと期待して、そのために、役に立たない「遊び人」を頑張って育てた人なのですが、ようやく「怒涛の羊」が使えるほどレベルアップして、満身の期待を込めて、技を使ってみて、あまりの結果に相当の衝撃を受けたことがあるそうです。
そんなうちの奥さんにぴったりな番組だと思って残しておいたのですが、さすがNHKの二時間ドキュメンタリ、単純にかわいい羊が画面を右往左往するだけの番組でなく、チロルの人が大国イタリアとオーストリーの間でいかなる迫害を受けてきたかとか、遊牧から徐々に観光産業中心にシフトしていくチロルの人々の暮らしぶりとかを、克明に描き出していきます。大変な苦労です。もちろん、その間には、あまり何も考えてなさそうな白くてふわふわした羊たちが、牧童や牧羊犬にコントロールされながら、美しくも険しいアルプスの山々を渡っていく場面が挿入されます。
憧れの怒涛の羊状態を見られたうちの奥さんは、その壮絶な眺めに、
「あれが白い毛もこもこの羊だと思うととても可愛いんだけど、顕微鏡写真の中で蠢く大腸菌だと思うとかなり怖い。」
などという冷静だか、想像力過剰なんだかよくわからないコメントを残していました。
しかし、本当に羊っておとなしくて、あまり何も考えてなさそうだなぁ。
牧童と牧羊犬が、安全な経路を確保し、それに沿って羊たちを歩ませるために、物凄く苦労しているのと対照的に。
で、最後で、瀬名秀明と絡むエピソードが紹介されます。
氷河の中から5千年前のチロル人の先祖のミイラが発見され、さまざまな調査の結果、チロル人の暮らしぶりは、5千年前からあまり変わっていないようだとNHKのアナウンサーが教えてくれるのですが、このミイラ発見の話が、瀬名秀明のほうにも載っていて、5千年前の人類のミイラが、奇跡的にDNA鑑定にも耐えられるくらい保存状態のいい状態で発見されたと紹介されています。瀬名秀明の本のほうは、結局、現在のチロル地域に住んでいる人たちと同じようなDNAの特徴を備えていることが確認できたとのことで、彼らの直接の先祖だろうと言っています。
そういうことが確認できて何がうれしいのかよくわからないですが、アルプスの美しい山々から3000Km 離れた梅雨に入って蒸し暑い極東の島国で、まだ行ったことのないチロル地方の大量の羊達と牧童のものすごく長い歴史に驚き&萌えている変わり者の日本人が若干二名くらいいたということで。
この本を読み始めた経緯というのがあって、ちょっと説明させてください。
うちの場合、僕が本屋さんで話題の本を見つけて手に取ると、大体うちの奥さんが、
「あ、それ、もう買っているよ。」突っ込みが入ります。
で買わずに帰ってきて、自宅の書斎を掘り返しても、あまりにも膨大な本の山の中で、なかなか発見することができない。
大体、本を読もうと考えるのが、朝出勤前の鞄チェックで、読み終えた本を鞄から出した後の補充のためなのですが、その場で書斎をひっくり返し始めますと、出勤前で忙しいうちの奥さんが目に見えて不機嫌になってきます。
そこで、ご近所の底力…じゃなかった、うちでの一工夫で、うちの奥さんのおすすめ本、もしくは僕のリクエスト本は、見つけた段階で、靴箱の上の本棚に入れておきましょうというルールで運用しています。
大体、日曜日に掃除ついでに本棚の棚卸もするので、その時に気になる本を抜き出して、下駄箱の上の本棚に移動させておきます。
で、ある日、読み終えた本を書斎に返して、下駄箱上から引き出したのが瀬名秀明のこの本だったという寸法です。
ちなみに、瀬名秀明のもっとも有名な作品は「パラサイト・イブ」だったと思いますが、これに関して、うちの家庭内評価はきわめて低いです。
僕自身も、クライマックスシーンに行くまではいろいろと面白いと思ったのですが、クライマックスシーンで…おっと、ネタばらしをするところだった。
まあ、お前はウルトラマンかって突っ込みをしたくなるようなクライマックスだったので、そこでこけてしまって、評価がた落ちって感じでした。
なお、小林泰三の「AΩ」についても、お前はウルトラマンかって突っ込んでいましたが、こちらは褒め言葉ですので、お間違いなきよう。
その瀬名秀明の科学エッセイが「ミトコンドリアの力」なのですが、読んでいる途中、「どうなんでしょう」って感じだったんで、うちの奥さんに確認してみました。
すると、「え!それは確かに私が買ってきたけど、つまんないからそのままブックオフに売るつもりだった。」というお言葉。
「え!?だって、お勧め棚に入っていたよ。」「私は入れてないもん。」
という押し問答になったといういわくの本です。
ちなみに、このシチュエーションって、お昼を定食屋さんに食べに行って、違う物が出てきたのに気がつかずに食べてしまって、半分くらい食べたところで、お店の人に間違いでしたって言われた感じにかなり近いです。
いや、ここまで食って、それはないでしょうって思ったので、少々苦戦しながら最後まで読み終わりました。
えっと、感想ですが、箇条書きでもいいですか?
・ミトコンドリアの何とかサイクルが多過ぎて、覚えられませんでした。
・サプリメントで売られている得体の知れない物質が多く出てきます。
サプリメントってかなり似非科学だと思っていたんだけど、意外とルーツは正統派なんだ。でも、サプリメントで摂取しても、細胞の中に届く頃には消化器官で分解されたり吸着されたりするんで、彼らが言うほど効果は期待できないんですよね、瀬名さん。
・ソフトウェア系のエンジニアとして、「Simple is best」を座右の銘にしてきましたが、生物を機械として見た時には、必要以上に複雑であることがよくわかり、正直ちょっと気持ち悪いです。
・健康であることを当たり前としてしまう感覚を、おそらくサイレントマジョリティとして共有してきましたが、生物としての健康を維持する複雑な仕組みをこんなに丁寧に説明されると、本当に生命を維持していること自体が奇跡のような気持ちになります。
また、実際にミトコンドリアが原因となる病気で苦しんでおられる方の紹介もあって、なんともいたましい気持ちになりました。
健康と呼ばれる状態のほうが一種の奇跡なんじゃあないですかね。
という感じで、まあ読む価値はあったかなと。何とか読み終えたので、そのままブックオフ行きの棚に入るのは決定ですが。
で、このままだと、きっとブログ記事にしなかった本だと思うのですが、この本の最後のほうで触れたトピックスが、その日うちに帰って見たテレビで偶然出てきたので。
その番組は、NHKハイビジョンで先週くらいにやっていた「羊の群れ 大氷河を越える」です。パナ子におすすめされて、録画しておいたのですが、週末にそこまで見れなかったので、帰宅後、夕飯までの間にちょっと見ようとしたものです。
うちの奥さんは、過去、ドラクエの「怒涛の羊」という技が、実際に画面上に大量の羊が現れるものだと期待して、そのために、役に立たない「遊び人」を頑張って育てた人なのですが、ようやく「怒涛の羊」が使えるほどレベルアップして、満身の期待を込めて、技を使ってみて、あまりの結果に相当の衝撃を受けたことがあるそうです。
そんなうちの奥さんにぴったりな番組だと思って残しておいたのですが、さすがNHKの二時間ドキュメンタリ、単純にかわいい羊が画面を右往左往するだけの番組でなく、チロルの人が大国イタリアとオーストリーの間でいかなる迫害を受けてきたかとか、遊牧から徐々に観光産業中心にシフトしていくチロルの人々の暮らしぶりとかを、克明に描き出していきます。大変な苦労です。もちろん、その間には、あまり何も考えてなさそうな白くてふわふわした羊たちが、牧童や牧羊犬にコントロールされながら、美しくも険しいアルプスの山々を渡っていく場面が挿入されます。
憧れの怒涛の羊状態を見られたうちの奥さんは、その壮絶な眺めに、
「あれが白い毛もこもこの羊だと思うととても可愛いんだけど、顕微鏡写真の中で蠢く大腸菌だと思うとかなり怖い。」
などという冷静だか、想像力過剰なんだかよくわからないコメントを残していました。
しかし、本当に羊っておとなしくて、あまり何も考えてなさそうだなぁ。
牧童と牧羊犬が、安全な経路を確保し、それに沿って羊たちを歩ませるために、物凄く苦労しているのと対照的に。
で、最後で、瀬名秀明と絡むエピソードが紹介されます。
氷河の中から5千年前のチロル人の先祖のミイラが発見され、さまざまな調査の結果、チロル人の暮らしぶりは、5千年前からあまり変わっていないようだとNHKのアナウンサーが教えてくれるのですが、このミイラ発見の話が、瀬名秀明のほうにも載っていて、5千年前の人類のミイラが、奇跡的にDNA鑑定にも耐えられるくらい保存状態のいい状態で発見されたと紹介されています。瀬名秀明の本のほうは、結局、現在のチロル地域に住んでいる人たちと同じようなDNAの特徴を備えていることが確認できたとのことで、彼らの直接の先祖だろうと言っています。
そういうことが確認できて何がうれしいのかよくわからないですが、アルプスの美しい山々から3000Km 離れた梅雨に入って蒸し暑い極東の島国で、まだ行ったことのないチロル地方の大量の羊達と牧童のものすごく長い歴史に驚き&萌えている変わり者の日本人が若干二名くらいいたということで。
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