よんたまな日々

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今月のサイゾーに

2005年01月22日 | 読書
2月号のサイゾーにハウルのプロデューサー鈴木敏夫のインタビューが載っています。
インタビューアーは、ハウル否定派代表と名乗って、意見をぶつけに行って、鈴木敏夫にあっさりと撃墜されています。
インタビューアーの意見は明確なのですが、鈴木敏夫の話していることが難しくてうまく要約できないのですが、それは多分、インタビューアー側に戦略がなく自分の意見をぶつけただけなのに対して、受け手の鈴木敏夫が喧嘩上手でうまくいなしたという図になっているせいだと思います。
で、勝手に無理矢理強引に要約すると、

・インタビューアー側の主張
「戦争の終わらせ方が唐突過ぎ。」
「ハウルは戦争から逃げたので、ヒーロー失格」
・鈴木敏夫の回答
「戦争は終わったとも、終わってないともとれる描写になっている。」
「戦争に対してはどちらにも加担しない立場もあり、そういう立場のヒーローを描いた。」

実際にはもう少し微妙な議論が展開されているのですが、それを短い文章ではうまく紹介できないので、興味のある人はサイゾーを買って自分で読んでください。
サイゾーの公式ページはこちらです。

まずは、インタビューアー側の主張に対する僕の意見は、戦争の扱いについては賛成で、ヒーロー失格に反対です。
ハウルは、ヒーロー造形としては見事だと思いますよん。特に女性向けとしては
(1) 強い
(2) 美形
(2) 虚無的である。(戦争でどちらにも加担しない)
(3) 臆病であり、精神的には守って欲しい。
(4) ヒロインと出会うことで目的を見出し、懸命に戦う
(5) 致命的な弱点を持っていて、ヒロインによって救われる。
これだけ、そろってれば、十分ヒーローでしょう。
インタビューアーが、ヒーロー失格というのは、正義の味方じゃないからみたいなんだけど、それは、あんたのヒーロー像が古過ぎ。つーか、純粋の正義の味方ヒーローって、ウルトラマン、仮面ライダーの絶頂期に終わったと思っているんですけどね。

戦争については、「終わってない」ってのは、「やられた。」って感じがしましたね。すると、サリマンの最後の言葉は何なの?っても思いますが。

寧ろ議論して欲しいのは、何のための戦争だったのかというところで、当然、それについては、インタビューアーから、それに近い質問は出ているのですが、
「この映画は一人称視点の映画であり、ソフィーの知りうる情報しか提示していない。」って答えているんですね。
で、ここが、僕には、チョー引っかかりました。(よんは、徐々にヒートアップしております。)
だって、ソフィーって、戦争の片方の首謀者であると思われるサリマンにも会っているんですよね!で、そこで、どうして問いを発しないのだと。
僕がこの映画に対してとても気持ち悪いのが、登場人物達が、世の中を実に無批判に受け入れていて、普通、それは変だと思うだろうというところで、問いが発せられない。みんな、何だか自分なりに納得して受け入れている。
で、自分が勝手に作った世界のモデル(本当にモデルを作っているのかという疑問もありだが)に従って、コミュニケーションせずに動いているんですね。

僕達なら、例えば、イラク戦争が起きると、アメリカに対して、なぜ戦争するのか説明を求めているのですよ。個人的に直接聞くわけに行かないんで、マスコミが代行しているわけですが。ブッシュは、たとえ建前にしろ、なぜ戦争をしているのかを、マスコミ、アメリカ国内、そして全世界に対して説明していますよね。

で、この映画には、それがなく、それについて、映画の登場人物達は誰も疑問を抱かない。そこが、とてもシュールなのです。これは、知性の死だと思いました。
さらに、それをシュールと感じない人達がいたりして、よんは、勝手に危機感を抱いております。

鈴木敏夫は、イラク戦争についても、あなたの知らないところで勝手に始まり、勝手に終わっていくということを言っていますが、それは、そこで、「あなた」として指差されている日本人が、この戦争に対して負っている責任が、直接当事者としての責任でなく、単に部外国のうちの一つの、さらにその1億数千万分の1だからです。
アメリカ国民であれば、あの選挙で、反ブッシュの票を投じることができたのに。

昔の偉い人は、人民統治の方法について、「知らしむべからず、依らしむべし。」と言ったそうです。わかり易くいうと、「余計なことを教えるといろいろと文句を言ってうるさいので、詳しい説明をせず、単にこちらの言うことに従わせろ。」と、そういうことなんですけどね。
で、日本人達は、偉い人の言うことを聞いていれば、偉い人がなんとかしてくれると思って、本当にそれに従っていたのですね。
そういうのを否定してきたのが、僕達の近代あるいは戦後の歴史だと思うのですが、また、そういうのを受け入れるんですか、皆さん。

と、ちょっと熱くなってしまいましたが、マスコミの人がインタビューに行って、これは「一人称視点の映画なんで、情報を提示していません。」と言われたときに、それはその映画の登場人物の立場になったときに、その情報がないことに違和感を覚えないものなのですか?って、きちんと聞いて欲しかったですね。
中東で何が起きているのかわかってないのと一緒ですよと言われたときに、日本人がそれをわかってないのは当事者でないからだけで、戦争に巻き込まれている当事者が、自分の巻き込まれている戦争に対して、わからないままで受け入れるのかと、マスコミ人なら、聞かないといけないと思いました。

ま、僕にとっては、今のところ、ハウルも中東情勢も当事者ではないので、どっちでもいいっちゃあ、いいんですけどね。

(追記1)
サイゾーは、結構オヤジ系の雑誌で、水着のお姉さんの写真とかが載っています。記事も微妙にオヤジバイアスがかかってますが、切り口が面白かったり、テレビでは報道されないネタがあったりするので、僕はよく買っています。
女性や学生には買いにくい雑誌だと思いますので、ご注意ください。
(追記2)
今月のサイゾーで、ヤマギワ電気のバイオライトが紹介されています。これはうちの奥さんの希望で買ったのですが、本当に太陽光のような光が出るし、外観がお洒落なので、お勧めです。こういうところのセンスは妙にいいんだよな、この雑誌。

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