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恩田陸「ロミオとロミオは永遠に」

2006年11月05日 | 読書
恩田陸の広げる大風呂敷は、いつも中々面白いのですが、毎回収集がつかなくなって、一体どう終わるんだろうとはらはらしながら読みます。

今回も、仕掛けた仕組みの大きさは中々のもの。AKIRAのように一度滅んでしまった日本の元の首都東京並みの大きさの巨大学園を用意するという大仕掛け。
東京23区の区名がそれぞれクラス名となっており、全国から受験勉強を勝ち抜いた受験生が、それぞれのクラスで寮生活をしています。
寮と寮の間は山手線が走っていて、毎回の定期試験の順位でクラス替えが行われ、上位から下位へ、もしくはその逆へと移動するたびに、山手線に乗って引っ越します。
下位クラスにはもちろん厳しいペナルティがあり、生活必需品の入手にも苦労するようなことになります。
最下位は新宿クラス。こちらは懲罰クラスであり、一度入れられたら、二度と戻ってこれず、卒業もできないという目に遭ってしまいます。
そして、この大東京学園の一大イベントが、10月10日の大東京オリンピック。定期試験で下位に沈んだ生徒達も、ここで優勝すれば一発逆転で首位クラスに返り咲くことも可能だということで、全員が死に物狂いで参加します。

まるでシベリアの強制収容所みたいな、厳しい暮らしの中で80年代から90年代末までに花開いた東京の輝かしいサブカルチャーの時代を、アングラでみんなあこがれているという日々。

というのが緻密に描かれ、個性豊かな同級生達とのぶつかり合いなどが、まさに青春という感じで描かれます。

読み終わった後にも、実に多くの疑問が残されたままなのですが、とりあえず、広げっぱなしにした大風呂敷が、最後の大脱走に向けて大きく盛り上げてくれるので、最後まで楽しめます。

巻末にはサブカルチャー大辞典がついていて、きっと20年後には、この大辞典が貴重になるんだろうな、今も既に微妙に古くなってきているけど。という感じのおまけになっています。


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