「龍宮」 川上弘美

僕は何で本を読むのだろう。新しい知識を得たいから？カタルシスを感じたいから？非日常的な何かに触れたいから？
この本は何とも居心地の悪い本である。最近の芥川賞的純文学が単に幻想的という部分を越えてその先の何だか気持ち悪い領域に踏み込んでいるのは知っていたけれども、もうどうにも落ち着きの悪い読後感である。
いっそ、スプラッタなほうが理解できてここまで気持ち悪くない。
もちろん単なる不条理なら、僕には理解できなくて最後まで読まなかったろうし、この割と理解できる素材を使って、最後まで読ませながら、どこにも落ち着かない作品を作る著者に、相当の力量があるのは認めながらも、なんでこんな本を読んでいるんだろうという疑問を抱きつつ、それでも一気に読み終えてしまった本であった。
アマゾンだと、ここで紹介されています。