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人畜無害の殺虫剤を開発することができると信じていた DDTの遺産

2020年04月17日 18時22分34秒 | メス化する自然

 

 

・・・略・・・

 

こうして研究チームは 発生途上で強力な合成エストロゲンにさらされることは

三つの重要な変化を起こしうることを明らかにした。

第一に 出生時に目で見てわかる明らかな構造的変化。

両性の生殖器が隣り合わせているなどの生殖器官の異常だ。

第二に 顕微鏡下でわかる遅効性の影響。

膣がんや前立腺癌と密接に結びついた細胞の存在だ。

第三に さらに根本的なレベルで エストロゲンが細胞内の遺伝子の

発現を変化させたこと。

ホルモンメッセージが攪乱され オスがメスのたんぱく質を分泌していた。

 

・・・略・・・

 

ところが研究を進めていたマクラクランは

早急な問題解明の必要性を感じさせる新たな発見に驚愕した。

私たちの誰もがさらされており 血液や脂肪からも検出される

別の合成化学物質が弱いエストロゲン様の性質を持っていることが判明したのだ。

それは猛毒の殺虫剤として悪名高いDDTだった。

さらに混乱を深めたのは

DDTの分子の形がエストロゲンとは異なることだった。

 

DDTの遺産

一時は20世紀の化学物質の中でも特に高く評価されながら

後に強い毒性が判明して使用禁止になったDDTにまつわる話は

やみくもに新しい科学の恩恵を被ろうとする

私たちの無知や浅はかさを如実に示している。

この画期的な科学物質を利用し 更には利益を得ようとする

激しい競争の最中には 誰もがその先に

何が待ち受けているかを想像することさえできなかった。

 

私たちが直面することになった諸問題は

それまで見たことも聞いた事も無い

全く経験したことのないものであった。

警告のサイレンがあったのに

誰もがそれをまともに見ようとしなかった。

地球がDDTに汚染されて50年が過ぎた現在でも

その性質について新しい発見があるという事実は

問題のむつかしさを際立たせている。

 

・・・略・・・

 

1930年代 有機化学の分野で数多くの発展があった。

有機化学は 生命の最も基本的な構成要素である炭素についての化学である。

炭素は非常に変化しやすく 分子を作る炭素原子の結合の組み合わせは

ほとんど無数に存在する。

当時は有機化学の最盛期であり 

数多くの全く新しい化合物が合成され

化学工業がそれを用いて画期的な製品を産み出した時代だと言えよう。

 

科学界は 楽観主義と自信に満ち溢れ

人々はつぎはどんな発明が登場するのかと期待に胸膨らませていた。

科学はあらゆるものを与えてくれる偉大な存在と捉えられた。

与えられるものが何であれ それは良いものだとみなされた。

毎週のように生み出される新物質は

日常生活に劇的な変化をもたらし

製造者は今日の巨大化学会社へと発展した。

 

DDTは1874年 ドイツの科学者によって合成された無色の結晶体だが

発明者は この化学物質の効力を認識していなかったらしく

利用法が開発されないまま埋もれていた。

 

1930年代にスイスのパウル・ヘルマン・ミュラーが

殺虫剤としての効力を発見した。

彼は昆虫と哺乳類では有毒物質の吸収の仕組みが

生理的に全く異なるという理由から

人畜無害の殺虫剤を開発することができると信じていた。

 

スイスのパーゼルにあるガイギー社の染料工場内の研究室で

ミュラーは さまざまな物質を調べた。

1939年9月 ヒトラーのヨーロッパ侵攻と時を同じくして

ミュラーは完璧な物質を発見した。

それがDDTで一瞬で虫の中枢神経を冒し死亡させる。

まもなくDDTは あらゆる昆虫に即効性があることが判明し

画期的な農薬として広く使用されるようになった。

 

https://www.pinterest.jp/pin/596515913133075244/

 


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