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エストロゲンが作用する決定的な時期は胎生期にあり

2020年05月02日 11時49分36秒 | メス化する自然

 

 

・・・省略・・・

 

第4章 第一容疑者

・・・略・・・

アラン・マクニーリィ教授はその関心の高まりをこう説明する。

「つまり環境中に何かがあって それが私たちに影響を及ぼしているということだ。

もしそれが生殖に影響するなら 代謝作用のほかの側面にも影響するかもしれない。

エストロゲンは体のさまざまな機能に関わっているから

その影響は膨大なものになりうる。

子や孫の代にまで及んでくるかもしれない。

もしそれが私たちの知らない物質で 検出不能なら 自体はまさに深刻だ。

エストロゲン類似物質を 未確認のまま 環境中に野放しにしておくわけにはいかない。

それはさまざまな害を引き起こしうる。

だからこそ 何としても正体を突き止めなければ。

 

リチャード・シャープ博士はこの仮説に関心が集まり 批判する声も上がっていると知って

確たる証拠を集めようと懸命であった。

そのことが常に頭から離れないほどだった。

「論文に目を通しながら 会議室へ向かっていた時だった。

しばらく前に編集した原稿のことを ふと思い出したんだ」と彼は回想する。

彼はその原稿を探し出した。

それはジョン・マクラクラン教授とリスト・サンティ博士の

前立腺がんとDESの影響に関する研究だった。

合成エストロゲンDESが前立腺に影響を与え

成長後に前立腺がんにかかりやすい素因を作り出すことを 詳しく説明していた。

「その論文のおかげで 新しい側面が見えてきた 

エストロゲン暴露が 前立腺がんの素因を作ると言う事は

いくつかの点から見て 私たちが興味を持っていたテーマより重大だ。

なにしろ 前立腺がんの患者は凄く多いのだから」と彼は考えた。

英国の統計だけを取って見ても 前立腺がんの患者数は

この十年間で倍増している。

 

だがシャープにとって その研究にはもう一つ 思わずぞっとするような点があった。

マクラクランは1990年の論文にこう書いた。

「長い間 エストロゲンは何らかの形で前立腺がんの

発生の原因となっている可能性があると考えられてきた・・・

患者にこのホルモンの直接的な影響がみられることから・・・

私たちはこの考えに代わる あるいはこれを補完するものとして

『エストロゲンは前立腺腫瘍形成の素因を作る要因である

エストロゲンが作用する決定的な時期は胎生期にあり

その時期にエストロゲンは前立腺に明らかに非常に大きな影響を及ぼす』

という仮説を提示する。

エストロゲンが影響を及ぼす決定的な時期は

臨床的な発病のずっと以前にさかのぼると考えられる・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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