・・・略・・・
今世紀になって有機化学が驚異的な発展を遂げ
生物の構成単位である炭素をもとに何千もの新しい有機化学物質が作り出され
環境中に放出されたのが問題の始まりだった。
これらの物質は私たちの体が出会ったことのないものだ。
私たちの体内には それらを識別したり処理したりするメカニズムは備わっていなかった。
人間が我が手で作り出して世界中に巻き散らかした物質が
自らの性ホルモンになりすまして性を撹乱する働きを秘めていたとは なんと奇妙な話だろう!
SF小説予想もできなかった運命の皮肉と言えよう。
「これらの化学物質は この人工的な環境を共有しているさまざまな生物に微妙な影響を与えうる。
その上 ホルモンが引き金を引く病気はいろいろある。」と彼は考えた。
「私たちは 人工的な環境と体内環境との 次第に複雑さを増している相互作用を
よくよく理解する必要がある。」
1980年代 彼はこの問題に非常に興味を持ち ホルモンと似たような働きをする
他の化学物質を求めて 一つひとつ分析をつづけ そのメカニズムを知る手がかりを探し求めた。
毎年 エストロゲン類似性を示す 化学物質の数は増えていった。
なかでも彼を驚かせ 恐怖を感じさせたのは 一般にポリ塩化ビフェニル
PCBとして知られ 現在では環境中に広範囲に存在する一連の
有機塩素化合物のグループもまた 生殖に影響を与えているらしいという事実だった。
PCBの構造はDESと非常によく似ていた。
PCBもエストロゲンになりすますのだろうか と彼は疑問を抱いた。
PCBの遺産
PCBは18世紀後期に発明されたが 他の多くの有機塩素化合物と同じく
商業化されたのは 1930年代になってからだった。
1929年 アメリカのスワン科学研究室で
ビフェニルと塩素を混合することによって
新しい物質を合成できることが確かめられ
その物質はポリ塩化ビフェニル PCBとして知られるようになった。
ビフェニルに対する塩素の割合次第で異なるタイプの化合物をつくることができる。
実際には 209種もの異性体が合成された。
この無色無臭の粘性の液体は一見何の変哲もないが
いくつもの素晴らしい特質を持っていることが分かり
第二次大戦中に広い用途に使用された。
1935年 スワン化学を吸収したモンサント化学は
アメリカでのPCBの製品開発を継続した。
PCBはヨーロッパや日本でも製造された。
化学的安全性 耐熱性 不燃性 絶縁性の高さから
当時急成長していた電気工業の分野で幅広い用途に世界規模で使用された。
PCBが含まれているか分からない安定器(蛍光灯・水銀灯・低圧ナトリウム灯)を処分したい!!
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