ところで地方の若者が上京し暫く生活すると馴染むタイプと凹むタイプがいる。凹むタイプは早々田舎に帰るらしいが大半が馴染むのでそのまま居座る。でもなぜ馴染むのだろうか。
つまり昭和時代のままで地方が流れいる限り何をしても一極集中は避けられない。最近婚活パーティや移住者への補助金など、あの手この手の企画をしているが多くの地方で水面下で行われている事柄を変えない限り避けられない現実だ。
役人らの目論見は表面的に人口が増えれば自分らの仕事確保ができるのでそれでいい。農業地域なら農業従事者の人口と農地面積がこんなにあるのでそれに比例して補助金を(以下略・・・・
太郎ちゃんの釈明も若者が貧乏過ぎる事に加え将来右肩下がりを解ってるから子供を造らないのに預ける施設が無いと箱物建設に結び付けたいかの様な発言に大きな温度差を感じてしまいますね。
「新潟はおいしいお米も野菜も魚もある」「和歌山のかんきつ類はすばらしい」。遊説先で、当地の特産物を持ち上げ、安倍晋三首相は「地方創生」をアピールする。
2040年、896の市区町村に消滅の恐れ--。今年5月、一つのリポートが日本中に衝撃を与えた。発表したのは、増田寛也元総務相ら民間有識者でつくる日本創成会議。40年に全国の約半数の市区町村で出産の中心世代である20~39歳の女性が10年の半分以下になり、その結果、自治体が消滅する可能性があるとの内容だった。
来年の統一地方選を控え、アベノミクスの恩恵が薄い地方向けの政策を探していた自民党が「地方創生」を打ち出したのは、このリポートが契機だった。第2次安倍改造内閣(9月)では地方創生担当相を新設。衆院解散当日の11月21日には「まち・ひと・しごと創生法」など地方創生関連2法を駆け込みで成立させた。来年度から5年間の人口減対策の工程表となる「総合戦略」や50年後の人口1億人維持を目標に掲げる「長期ビジョン」の策定を急ぐが、具体化はこれからだ。
旗振り役である石破茂・地方創生担当相の地元・鳥取県は、19市町村のうち13町が消滅可能性都市に挙げられた。岡山・兵庫両県との県境に位置する山間地、若桜(わかさ)町は、その可能性が県内で最も高いとされている。「わしの生きてる間に、地方が元気になる時代はこんかもしれんなあ」。同町でマスの養殖を営む平家一寿さん(85)は裏山のスギ林を見つめ、ため息をついた。
同町は1960年の9616人をピークに、高度経済成長期から大都市圏への人口流出が続いた。現在の人口は約3600人で、2年前から65歳以上の人口は4割を超える。昨年度は出生数6に対し、死亡数は76だ。加速度的に進む人口減少への対応策として、今年度から全国に先駆けて保育料の完全無償化を開始し、子育て環境の充実を図った。移住者対策として、若者向け住宅の建設も進めている。
だが、町の財政収入の8割は地方交付税や国庫支出金などの依存財源で、町税などの自主財源は1割。人口減に伴い、町税収入は年々減っている。小林昌司町長は「過疎だからと切り捨てるのではなく、過疎だからこそ自由に使える交付金が必要だ」と話す。
全国知事会は10月、「地方創生のための提言」で自由度の高い交付金の創設を要望。5年間で約5兆円の確保を求めた。こうした動きを受け、自民党は衆院選公約に「地方公共団体へのバラマキとならない、自由度の高い地方創生のための交付金創設」を盛り込んだ。「やる気のある、志の高い自治体」を地方創生特区に指定するとしており、「地方から知恵を」と呼び掛ける。
一方、民主党は地方創生関連2法を「具体策に乏しく、国主導の上から目線」と批判。維新の党、生活の党と共同で、民主党政権時代の一括交付金の復活や、道州制の導入を盛り込んだ対案を衆院に提出した。対案は与党に否決されたが、野党3党は選挙戦でも「一括交付」で調子を合わせている。
地方の人口減少の原因の一つは東京一極集中にあるとされる。首都圏への人口集中度が約3割という実態は諸外国と比べ高い。「企業の本社機能の集中」や「地方に魅力的な仕事が少ないこと」がその要因に挙げられる。慶応大の樋口美雄教授(労働経済学)は「米国や英国では近年、大都市から地方都市への人口流出が起こっている。多くの先進国で、80年代から戦略的に地方での雇用創出に取り組んできた。日本でも地方へ本社機能を移転する企業への税制優遇措置や地域特性を生かした地方の雇用創出に取り組む必要がある」と指摘する。
地方活性化は、古くから取り組まれてきた政治テーマだ。
竹下登内閣(1987~89年)は「ふるさと創生事業」を打ち出し、全国の市区町村に1億円を交付した。使途は自由で、自由の女神像、金のしゃちほこ、温泉掘削など、資金の使い方が話題になった。
小渕恵三内閣(98~2000年)は、15歳以下の子供がいる家族と65歳以上の高齢者らに対し、2万円分の「地域振興券」を交付し、消費を刺激しようとした。
第1次安倍晋三内閣(06~07年)は「頑張る地方応援プログラム」に取り組んだ。少子化対策や定住促進、若者の自立支援など地域活性化に意欲的な自治体に地方交付税の一部を配分した。
民主党政権は「地域主権」を掲げ、菅直人内閣(10~11年)は「地域自主戦略交付金」として、国が使途を特定する補助金の一部を自治体が自由に使い方を決める一括交付金に切り替えたが、第2次安倍内閣(12年~)は、これを13年に廃止し、各省庁の「ひもつき補助金」に戻した。
過去の地域活性化策について、政府の「まち・ひと・しごと創生本部」は問題点を検証。地方の人口流出が止まらず少子化に歯止めがかからなかった要因として、府省庁・制度ごとの「縦割り」構造▽地域特性を考慮しない「全国一律」の手法▽効果検証を伴わない「バラマキ」▽地域に浸透しない「表面的な取り組み」▽「短期的」な成果を求める施策--の5点を挙げた。
東京一極集中の弊害も長年指摘され、首都機能移転が国会で議論されたこともある。鳥取県智頭(ちづ)町は、面積の93%が森林で、「みどりの風が吹く疎開のまち」を掲げる。過疎化問題にいち早く取り組み、移住・定住支援策を手厚く行い、全国的にも注目されてきた。それでも県内で2番目の「消滅可能性都市」と指摘された。
寺谷誠一郎町長は言う。「東京一極集中を作ったのは政治。偽物の政治を続けた結果、地方の人口減につながった。これからは、知恵がある自治体が生き残り、ない自治体は消滅する。人も金も奪い合う戦国時代だ」【山本浩資】