つれづれなるままに

恐れ多くも、兼好法師のような文才はありませんが、日常の出来事を「ブログ」に表現できれば幸いです。’05.01.27.大安

◆米国は勿論、世界の期待を背負ってオバマ大統領就任式へ

2009-01-21 22:43:37 | Weblog
                 就任演説をするオバマ大統領=AP

昨夜は、CNNTVからNHKTVへ深夜まで、就任挨拶(19分)を終えるまで見入っていた。「祝福された」という意味をもつ「バラク」の名前の通り、零下2度、厳冬下のワシントンに全米、そして世界各地から200万人を超す人々が、祝賀に訪れた。

挨拶の冒頭、前ブッシュ大統領に謝意を示し、当面する厳しい状況を認め、この深刻な事態解決には時を要するが、恐怖より希望を、対立、不和よりも目的を共有し、古びたイデオロギーを捨て、政党や宗教や人種の枠を乗り越えて、この難局を共に乗り切ろうと、米国再生への協力を訴えた。

すでに、国務長官に民主党候補ライバルのヒラリー・クリントン(61)、国防長官に共和党のロバート・ゲーツ(64、留任)、司法長官:エリック・ホルダー(57、初のハフリカ系)、などの閣僚を発表していることからも、イデオロギーにこだわらない現実主義の素顔が見える。

歴代の大統領もしばしば危機の時代に就任の宣誓をして、「そのような時を米国が耐え抜いてきたのは、国民が先人の理想に忠実で、(独立宣言などの)建国時の文書に忠実だったからだ」伝統的な価値観への回帰を呼びかけた。

世界との関係については、

「先人たちは、私たちのために(独立戦争の)コンコードや(南北戦争の)ゲティズバーグ、(第2次世界大戦の)ノルマンディーや(ベトナム戦争の)ケサンで戦い、命を落とした。」

「先人たちがファシズムと共産主義を屈服させたのは、ミサイルや戦車によってだけではなく、頼もしい同盟国と強固な信念によってでもあることを思い起こしてほしい。」

「私たちはその遺産の継承者だ。いま一度こうした原理に導かれることにより、私たちはより厳しい努力、つまり、より強固な国際的協力と理解を必要とする新たな脅威にも立ち向かうことができる。」

「私たちは、責任ある形でイラクをその国民の手に委ねる過程を開始し、アフガニスタンの平和構築を始める。」

「また古くからの友好国とかつての敵対国とともに、核の脅威を減らし、地球温暖化の恐れを巻き戻す不断の努力を行う。」

「私たちは、私たちの生き方を曲げることはなく、それを守ることに迷いもしない。自分たちの目的を進めるためにテロを引き起こし、罪のない人々を虐殺しようとする者に対し、私たちは言おう。いま私たちの精神は一層強固であり、くじけることはない。先に倒れるのは君たちだ。私たちは君たちを打ち負かす。」

テロリストに対して強い姿勢を強調した。

 「なぜなら、私たちの多様性という遺産は、強みであり、弱点ではないからだ。私たちの国はキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンドゥー教徒、そして無宗教者からなる国家だ。」

世界のあらゆる所から集められたすべての言語と文化に形作られたのが私たちだ。

「私たちの挑戦は新しいものかもしれない。立ち向かう手段も新しいものかもしれない。だが、成否を左右する価値観は、勤労と誠実さ、勇気と公正さ、寛容と好奇心、忠誠と愛国心、といったものだ。」

これらは古くから変わらない。そしてこれらは真理だ。私たちの歴史を通じて、これらは前に進む静かな力となってきた。必要なのは、こうした真理に立ち返ることだ。今私たちに求められているのは、新たな責任の時代だ。それは、一人ひとりの米国人が、私たち自身や我が国、世界に対する責務があると認識することだ。」

「その責務は嫌々ではなく、むしろ困難な任務にすべてをなげうつことほど心を満たし、私たち米国人を特徴づけるものはないという確信のもとに、喜んで引き受けるべきものだ。」

 「これが市民であることの代償と約束である。これが、不確かな行き先をはっきりさせることを神が私たちに求めているという、私たちの自信の源でもある。これが、私たちの自由と信念の意味だ。なぜあらゆる人種と信仰の男性と女性、子供がこの広大な広場に集い、共に祝えるのか。」

「そしてなぜ、60年足らず前だったら地元のレストランで食事をさせてもらえなかったかもしれない父を持つ男が、(大統領就任の)神聖な宣誓のためにあなたたちの前に立つことができるのか、ということだ。」

「さあ、この日を胸に刻もう。私たちが何者で、どれだけ遠く旅をしてきたかを。建国の年、最も寒い季節に、いてついた川の岸辺で消えそうなたき火をしながら、愛国者の小さな集団が身を寄せ合っていた。首都は放棄された。敵が進軍していた。雪は血で染まっていた。独立革命の行く末が最も疑問視されていたとき、建国の父は広く人々に次の言葉が読み聞かされるよう命じた。」

 「将来の世界に語らせよう。厳寒のなか、希望と美徳だけしか生き残れないとき、共通の危機にさらされて米全土が立ち上がったと」
 
「アメリカよ。共通の危機に直面したこの苦難の冬の中で、時代を超えたこの言葉を思い出そう。希望と美徳をもって、いてついた流れに再び立ち向かい、どんな嵐が来ようと耐えよう。私たちの子供たちのまた子供たちに、私たちは試練のときに、この旅が終わってしまうことを許さなかった、と語られるようにしよう。私たちは後戻りも、たじろぎもしなかったと語られるようにしよう。そして、地平線と神の恵みをしっかり見据えて、自由という偉大な贈り物を受け継ぎ、未来の世代にそれを確実に引き継いだ、と語られるようにしよう。」


「私が受け継いだ多様性に感謝する」と述べ、その「多様性」は、彼自身の生活環境から生まれ育った。父はケニア出身の黒人留学生、母はカンザス州生まれの白人。ハワイで生まれ、両親の離婚後、母はインドネシア人と再婚し、インドネシアに移り住んだ。ジャカルタの小学校時の作文には「米国の大統領になりたい」と書いている。

まさに、現社会のような不確実で「多様化した社会」には、バラク・オバマ大統領登場は必然だったのかも知れない。世界の若者達に、大きな勇気と希望を与えた事は間違いない。

演説の中には、期待されたようなキャッチ・フレーズはなかったが、クラッシック音楽のような響きの中に、静かだが強力に訴える誠実さとバランス感覚に満ちた説得力があった。間違いなく、歴史に残る名演説だった。演説内容とCDはベストセラーとして人気を呼ぶだろう。


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