つれづれなるままに

恐れ多くも、兼好法師のような文才はありませんが、日常の出来事を「ブログ」に表現できれば幸いです。’05.01.27.大安

◆第二回「金融サミット」(G20)

2009-04-03 14:42:36 | Weblog
          ロンドン・サミット閉幕後、記念撮影に収まる各国代表=2日


世界的な金融危機の広がりを受けて、昨年11月に初めて各国トップが集まる第一回「金融サミット」が開かれたが、米国はブッシュ政権からオバマ政権への交代時期でもあり、「再発防止」が主な論点となり、金融取引への規制強化(総論)で合意し、具体策は先送りされていた。

しかしその後、主要国は軒並み大幅なマイナス成長に陥り、足元の対策を重視せざるを得なくなってきた。

3月中旬に、サミット準備会合として開かれた、G20財務相、中央銀行総裁会議では、米国が財政出動の目安を国内総生産(GDP)の2%に置くことを打ち出し、与謝野財務相は米国に同調し、2%超の景気刺激策を公約した。

しかし、ドイツやフランスは所得減税、英国は消費税の一時引き下げを決定するなど、手厚い社会保障制度を持ち、財政事情も異なる国が多いことに配慮して、米国は今回のサミットでは数値目標や一段の追加策は求めなかったようだ。

二日間にわたったロンドン・サミットG20は、1930年代の世界経済危機を繰り返さない為に、各国が景気対策に全力を尽くすとともに、保護主義の拡大を避け、金融危機再発を防ぐための金融規制を強化することでも合意した。

G20首脳宣言の要旨は次の通りである。

【成長と雇用の回復】
☆来年末までに総額5兆ドルの前例のない協調した財政出動を行い、
 世界の成長率 を4%分押し上げる
☆非伝統的な手段を含むあらゆる金融政策を動員する
☆世界経済の成長率は来年末までに2%を超えると国際通貨基金(IMF)は
 推定している。我々は本日合意した行動により成長傾向への復帰が加速すること を確信している

【金融監督と規制の強化】
☆金融安定化フォーラムの後継の組織として、すべてのG20を含む
 新しい金融安定化理事会を創設
☆金融安定化理事会はIMFと協調し、マクロ経済と金融のリスクに関して
 早期の警報を出す

【国際金融機関の強化】
☆新興国と途上国の成長を支援するため、国際金融機関を通じて
 8500億ドルを使えるようにする

【保護主義の拒否と国際貿易・投資の促進】
☆貿易障壁を設けない措置を1年間延長し、10年末とする。
 世界貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンドの合意の必要性を再確認。

【公正で持続可能な回復の確保】
☆持続可能で環境に優しい回復という目標に向け、財政出動による投資を
 活用する

各国の経済対策には、自国の産業や雇用の維持を過度に重んじる「保護主義」的な要素があって、サミットで「反保護主義」的なメッセージを打ち出したものの、紛糾を避けるため個別事例に深入りしないなど、将来に火種を残す可能性もある。

国境を越えて活動する金融機関の監視は、日米欧など12カ国・地域の金融当局でつくる「金融安定化フォーラム(FSF)」に加え、ブラジル、ロシア、インド、中国(以上、BRICs)
韓国、インドネシア、オーストラリア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、メキシコ、アルゼンチン、欧州連合(EU)など13カ国・地域を加え、世界中の金融機関の監視と監督を担う新たな国際機関に格上げする。

そして、国際通貨基金(IMF)などと連携し、規制の具体策の検討を急ぐ。投機的なヘッジファンドなどの拠点となっている「タックスへイブン(租税回避地)」問題、ヘッジファンドは各国の金融当局への登録を義務付ける。

「自由な市場」を重んじる米国や英国と、規制強化を主張するドイツやフランスなど欧州大陸の諸国とには金融規制をめぐる温度差があった。しかし、欧米の金融大手は不良資産による経営悪化がとまらず、公的資金による金融大手の救済に対する国民の根強い反発が後押しとなって米オバマ政権も規制の強化に動いている。

一方、世界経済回復には新興国や途上国の関与が不可欠だ。中には海外の資金への依存度が高い国もあり、放置すれば「アジア通貨危機」の再発を招く危険性がある。

従って、国際通貨基金(IMF)やアジア開発銀行(ADB)機能強化や大幅増資も決まった。

中国人民銀行の州小川総裁は23日、「基軸通貨として米ドルには限界がある」との趣旨の論文を発表。米国はじめ先進国へ揺さぶりをかけている。

米国発の金融危機をきっかけに、中国政府はアジア通貨体制の実現に向けて本格的検討を進めている。

かって、日本政府が97年に「アジア通貨基金」(AMF)を提案した際、日本の主導権を警戒する中国は支持せず、米国の強い反対で実現しなかった(2005・10・23:ACUアジア共通通貨についての投稿をご参照戴きたい)。

東アジア域内貿易比率が50%を超えてきている現在、ドル建て決済だけでは不測の事態を招く恐れがある(アジア通貨危機がその例)。共通通貨体制の実現には、域内の労働力移動の自由化など課題が多いが、中国の動きが各国の議論を加速させる可能性もある。

発言力を高めたい新興国がIMF改革などで先進国側としばしばぶつかってきた。金融サミットは、世界経済の秩序づくりの主導権争いの側面も帯びている。

今秋も再度G20が開催される。G7からG20へと注目度は高まる。







最新の画像もっと見る

コメントを投稿