私学の財政助成について 陳情にいった教頭から説明を聞いた。
「あの人たち 地方の私学の実情 全然わかってないんだよ。私学経営は金持ちの子弟を
多く 入学させているから 財政的に余裕一杯でしょう。いきなりそういうんだよね。
たしかに いまの日本の状態は中央集権そのものだもの。
東京へ東京へと草木もなびく時代である。東大生の60%が都内の学校からの入学生というから
教育格差極まれりだ。
戦後の焼野が原。学校は全国的に焼き尽くされ 生徒は方々に散って なかなか学校に帰ってくる
もの ままならない時代であった。これは空襲の被害を受けたところは中央地方を問わなかった。
国はこまった。財政的に義務教育から高校へという再建に困難していた。
早速、各県の私学に全面的な教育施設の拡充と生徒の収容の依頼があった。
われわれはそれに呼応して 各地に分散していた在校生を訪ねて復学をご父兄にお願いして回った
教室は窓なしのbarrackだ。戦争ですっかり変わり果てた生徒たちが それでも一人二人と帰っ
てくる。心もすっかり荒れ果てているから 学校の規律を整えるのが先決だ。
然し、進駐軍の監視もあり 暴力をふるうということもできない。私などは軍隊帰り
だった。海兵や陸士の在校中のものが、教職の免許を取り教壇に立っていた。しかし、
生徒の指導には手こずったものである。「いうて聞かせて 遣って見せて 教育というものは
そこから出発だ。老理事長は自分に言い聞かせるようにはなした。現場をしらない。
体験していない。ということは東大出ようが ハーバート出ようが 政策を揚げるにしても痒いと
ころに手が届くようにはいかない。いま日本の政治行政で起こっていることはそんなことだ。
特に沖縄問題とか、生活保護、幼児保育少子高齢化など もう少しスマートなやり方があろうに
手荒い過ぎると思うが どんなものか。官僚はそれで仕方がないにしても 政治家が幼稚すぎる
大人の政治家が政権政党に不在というのは痛い。