”いのちのグリグリ”というのは、高知県出身の田島さんが、子どものころ川で魚を手づかみでつかまえていたときの「手のひらに残っている」という感覚です。最初はぬるぬるしているけど、逃げないようにぐっと掴むとグリグリしていて、それがいかにも(力強い)命がグリグリしている実感、同時に逃げられるかもしれないという不安感があったというような話をしていました。
子どものころから自然の中で遊び、売れっ子作家として名が知れ渡ったとき東京の郊外(日の出町)に移住。その後、日の出町で森林を伐採してゴミ処理場を作る計画に執拗に反対運動を続け、数年間作家活動ができなかったくらい、自然を愛している方だとわかりました。だからあんなに、力強い絵が描けるのかなあと納得です。
美大出身の田島さんですが、いわゆる”ちゃんとした絵”になることを酷く嫌っていて、
「僕の絵は、下手なまま、あかぬけないまま、60年近くやっている」
「これはすごいこと」と自分でおっしゃっていました。
あまり丁寧に描き込むと、ちゃんとした絵になってしまう、絵本の前半と後半で絵が違ってしまうとも話していました。確かに勢いのある絵なので、繊細に描こうとするとダメなのでしょう。でも、色彩感覚と全体のパワーなんかは、計算されたものっていう気がします。
新作の『つかまえた』を御自ら読んでくださって、とてもよかった。少年が川で魚をつかまえて、魚に抱かれながら寝る夢を見て、最後は魚に逃げられてしまうお話です。とても躍動感があり、どこか切ない味わいもありました。ちなみに私は『こやぎがめえめえ』が好きです。
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