ろうげつ

花より男子&有閑倶楽部の二次小説ブログ。CP :あきつく、魅悠メイン。そういった類いが苦手な方はご退室願います。

【蔵:有閑】心肝から甘美

2020-04-10 20:54:09 | 蔵入り部屋
心肝から甘美 迷コンビ爆誕篇(魅悠)




愛だの恋だのそんなモノ、自分の人生には皆無だと信じて疑わなかった。

恋?何それ。美味しいの?
愛?何それ。どんな味がすんの?
本当に、そんなレベルの恋愛偏差値だったのだ。

恋愛なんて一生縁がないものだと、生涯独身で過ごすものだと思っていた。
男に恋愛感情を抱くなんて、有り得ない事だと思っていた。
それなのにある日突然、何の前触れもなく人を好きになってしまうだなんて。
しかも、一番仲の良い男友達に。

いつでも自分の視界に相手を写していたいのに、目が合うとつい、不自然に逸らしてしまう。
いつでも自分の姿を相手に見てもらいたいのに、見られるとつい、不自然な動きになってしまう。

相手を見るだけで胸が高鳴る。
相手に見られるだけで顔が熱くなる。

相手が自分以外の女に優しく接してるのを見るだけで、胸が痛くなる。
相手が自分以外の女と話してるのを見るだけで、邪魔したくなる。

人を恋ふという事は、楽しくもあり辛くもある。
人に恋するという事は、色々な感情が渦巻く。
相手の色々な部分を独占したい。
相手の色々な部分を知りたい。
そんな欲求が、己の中で暴れだす。



「と、いう訳で協力してくれ」

「はっ?」

「だ・か・ら、あたいに協力してくれって言ってんの」

「あの、全くもって話がみえないんですが」

「ったく、案外頭がワリィなぁ。察しろよ」

「はあ!?」

「魅録の事だよ」

「魅録?」

「うん。魅録がどんなタイプの女が好きかとか、男同士でどんな会話したかとか、あたいに教えてくれ」

「えっ?何で僕が、魅録の好みの女性とか男同士の会話とかを、悠理に教えなきゃならないんです?」

眉間に皺を寄せ、訝しげに様子を探ろうとする清四郎に、悠理は思わずチッと舌打ちした。

情緒障害だの、感情が欠落しているだの、仲間内から散々な物言いをされている清四郎だが、本当にその通りの人間だ。
普通、ここまで言ったらピンとくるだろ。
判れよ。
と、まるで吐き捨てるかの様に心の中で悪態をついた悠理は、

「そんなの決まってんだろ。あたいが魅録の事を好きだからだよ。好きだから、魅録の色々な事が知りたいんだ」

と、包み隠さず自分の気持ちを吐露した。

鈍感で人様の心の機微に疎い清四郎には、はっきりズバッと言ってやらないと、話が先に進まない。
そう咄嗟の判断を下した悠理に、間違いはなかった。
なかったのだが、悠理の想像以上に清四郎の反応が鈍かった。

いきなり魅録への想いを告げられ、どうしていいのか分からないのか、珍しくアホ面を晒している。
正直、こんな清四郎は後にも先にもお目にかかれないだろう。
百年先の恋も一気に冷めるほどの表情だ。
そう断言出来るくらい、本当に酷い顔をしている。

だが、今の悠理にはそんな事はどうでもいい。
清四郎が酷い顔をしていようとも関係ない。
彼女が今、求めているのは魅録に関する情報だけなのだから。


「兎に角、どんな些細な事でもいいから、魅録の情報をあたいにくれ」

「いや、しかしですね───」

「何だよ!?」

「何で、僕に白羽の矢を立てたんです?」


どうにもこうにも納得出来ない。
何故、恋愛に関する相談を自分にするのか。
適任者は他にいるだろう。
年がら年中、発情している金髪男とか、血眼になって玉の輿を狙っている美容に煩い女とか、その辺りに相談すればいいのに、よりによって何故自分なんだ。

そう言いたげな清四郎に、悠理はフンッと鼻息を荒くしてから口火をきった。

「美童や可憐に頼んだら、あからさまな態度をとるだろ?そうしたら魅録にバレちまうじゃん。あたいの気持ちが」

「はぁ・・・」

「野梨子なんて問題外だし。と、なると残るは清四郎、お前だけだ」

「し、しかしですね、僕は恋愛に関しては───」

「イヤとは言わせないぞ!?」

「はっ?」

「あたいに協力しないなら、お前の秘密をみんなにバラしてやる。人の弱味につけこむのは、お前だけの専売特許じゃないぞ!?」



〈あとがき〉

数ヶ月も放置していた話です。
この先が思いつかなかったので、結局は蔵入り部屋行きになりました。
「こんこんちきLOVER 」とも内容が被りますしね。








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