日々の便り

男女を問わず中高年者で、暇つぶしに、居住地の四季の移り変わりや、趣味等を語りあえたら・・と。

河のほとりで (24)

2024年12月20日 15時20分16秒 | Weblog

 梅雨明けの夏の陽光が容赦なく照りつける土曜日の昼下がり。
 理恵子は、織田君の家に明日伺えるとゆう嬉しさから心が弾み、久し振りに時々通う近くのテニスクラブに出掛け様としたところ、珠子も「わたしも一緒に連れて行って」と言われ、二人でラケットを持って出かけた。
 珠子は、常に運動をしている上に、運動神経も優れており、二人で渡り合ったが、彼女は長いことしていても息が上がらなかったが、理恵子は運動不足のせいか先にくたびれてしまい、2時間ほどして帰宅した。  
 
 汗を流したあとは気分も爽快で、廊下の椅子に腰掛けて雑談を交わしていたところに、大助が野球の練習から疲れた素振りで帰ってきて、二人の傍に腰掛けて黙って二人の話を聞いていたが、理恵子が
 「列車の混雑しない10日ころ、田舎に帰る予定にしているんだけど」
と言い出したら、大助は途端に元気を取り戻した様に
  「理恵姉ちゃん、ほんとぅ~。こんな暑い日は、あの田舎の大きな川にザブンと飛び込みたいなぁ~」
  「織田のお兄さんも帰るんだろ~」「サワガニの唐揚げはうっまいからなぁ」
と言って嬉しそうに笑うと、珠子も
  「わたしも、とっても楽しみにしているヮ」 「兎に角、あの盆踊りは郷愁があって、やっぱり都会では味会えない独特の雰囲気があるわネ」
と、待ち兼ねている様に喜んだ。

 夕食後、大助が母親の孝子に対し、城家の毎年恒例になっている、理恵子の田舎に遊びに行く予定を話すと、孝子は理恵子に
  「わたしは、今年は病院の都合で行けないヮ」「二人を宜しくお願い致しますネ」
と残念そうに言うので、理恵子は
  「仕事を持つとゆうことは、大変なことなのネ」
と同情したあと
  「わたしや両親が、お世話するので安心してください」
と慰めた。 孝子は大助に対し
  「お姉ちゃんは心配ないけれども、あんたは、お調子者で親として少し心配だが、お姉ちゃんの言うことをちゃんと聞くのょ。それが条件だわ」
と注意したら、 珠子は母親に同調して強い口調で
  「そう~ョ、判ったわネ」
と念を押すと、大助は
  「大丈夫、ダイジョウブ ゴシンパイムヨウ!」
と言って、孝子や珠子の忠告など何処吹く風とばかりに笑っていた。

 理恵子は、この前の夜の話もあり、遠慮気味に小母の孝子に対し
  「アノ~ォ、明日の日曜日に、織田君の家に行こうと思うんですが・・」
  「わたし、彼の家に行く道順が良く判らないので、珠子さんに案内していただこうと思うんですけど。宜しいかしら」
と話すと、孝子は
  「この前、等々力とか言ってましたね」
と言って、更に
  「あの辺は自分も最近行ってないが、おそらく最近は開発されていて地図だけでは不安でしょうネ」 
  「珠子も、夏休みで家にいるので、結講ですよ」
と気持ちよく返事をしてくれたが、すかさず、大助が例によって目をパチパチさせて
  「最近、ニュースでは時々女の人が刃物で襲われると報道されているが、若い女の二人が家を探すためにキョロキョロしていると不審がられて、物騒だよ」
 「僕が、一緒について行ってあげるよ」 「この暑さでは、皆、脳が可笑しくなっているからなぁ~」
と、最もらしく言うので、母親の孝子も大助の言うことも一理あると思い
  「そうだはネ」「どうせ大助も家で碌に宿題もせずゴロゴロしているんだから、一緒に行ってあげなさい」
  「あなた達は、織田さんの所は初めてなので、家にはお邪魔しないことョ」 
  「帰りには付近の上野毛公園を散歩してきなさい」「木々がこんもりと繁茂していて、涼しいかもョ」
と話すと、大助は
  「ウエ~ お姉ちゃんとか。何か美味しいものを奢ってくれよ」「それと帰りの散歩中に、やたら僕を怒らないでくれよ」
  「背が高くイケメンの僕が、年上のオンナノコとデートしていると、行き交う人に見られる僕の辛さを考えてくれよ」
等と言うと、珠子も負けずに
  「なに言っているの。本当はタマコちゃんと、デートしたいのでしょう」
と笑って答えると、大助は
  「いやぁ~ご免 ゴメンだ、小遣いもないし・・」
と手を顔の前で振って笑っていた。

 理恵子は、少し不安に思っていたことを、孝子が先取りするかの様に話をしてくれたので内心ホットして、珠子を自分の部屋に誘い、明日の朝、お弁当に海苔巻きをつくることや、途中で織田君の下着と洗剤や消臭剤それに花瓶とお花等を買って行くことを話した。
 
 珠子が、部屋を出ると早速、織田君に電話して
  「明日は、必ずお邪魔しますからネ」 「休日だし、お家にいるでしょうネ」 「もう、準備はしてしまったヮ」
と告げると、彼は相変わらず少し太い声で
 「いや~ぁ、申し訳ないが、午前中だけ会社に行かせてくれ」 「休日でも、急ぐ仕事があるので」
 「暑いところ大変だが、途中気をつけて、先に家に入っていてくれ」 「午後1時頃には、必ず帰るから・・」
と、返事をしていたが、声色から察して彼の返事は間違いないと納得して
 「いいゎ。暑いのに大変なのネ」 「勝手にお邪魔して、お掃除をさせていただくヮ」 「なんだか、今夜は良い夢を見られそうだヮ」
と、嬉しさがこみ上げてきて、明るく弾んだ声で答えた。

  

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