国語辞典を見るとターミナル駅とは「複数の路線が乗り入れ、列車・バスなどの起点・終点となる駅。ターミナルステーション。ターミナル。」と説明されている。今ターミナル駅といえば、都心の乗降客の多い路線の交錯する駅を思い起こす。人口密集地のイメージである。新幹線や在来線の特急が停車し、地方ローカル線が発着して、バスターミナルも備えている。播磨では「姫路駅」だろうか。ところが、一ローカル線の途中の駅にターミナル駅がある。それが、加古川線の粟生駅である。粟生は「あお」と読み、難読地名かもしれないが、それ以外では特に有名でもない地名である。なぜここがターミナル駅になったのか。国鉄北条線(現北条鉄道)と神戸電鉄粟生線の終着駅になったのか。粟生町のwebサイトでは正保年間(1645年~1648年)の「高辻帳」に粟生村の記載が見られ、江戸時代には、北国街道の宿場町として栄え大変活気があったと記されている。この時代物流は加古川およびその支流で行われていた舟運である。その後の物流は鉄道となり、JR加古川線の前身となる播州鉄道は舟運を鉄道に代替する目的で路線を敷設した。そのため各駅は物流拠点付近に設置されることになる。粟生駅も加古川の舟運による物流拠点だったのか、駅の周りには集落の存在を感じないが、加古川の支流万願寺川との合流地点である。万願寺川に沿う形で北条鉄道がつながり、小野から加古川を渡ってきた神戸電鉄が入ってきているのである。
30秒の心象風景15526・ターミナル駅~粟生駅~
https://youtu.be/dTD7nh3eBH8
30秒の心象風景15526・ターミナル駅~粟生駅~
https://youtu.be/dTD7nh3eBH8