八障連通信315号です。
八障連通信315号【PDF版】はこちらから。
ここからは通信本文となります。
【例会の報告】
8月25日の例会では、隔月企画として、八王子市八日町で活動している就労継続B型事業所の『きゃとる』さんから、蒔田様(施設管理者・サービス管理責任者)とNPO法人『ひふみ』の井上様(理事)をお招きして、お話をお伺いしました。
就労継続B型事業所『きゃとる』は、2015年11月NPO法人化し、知的の方を中心に受け入れて、就労継続B型事業所としてスタートしました。蒔田さんのお子様がダウン症であり、そうしたことから障害者福祉に関心が高く、現在の道に進まれたそうです。最初は3名からスタートしました。知的の方を、支援学校の卒業生を中心に受け入れ、また相談事業所をまわって紹介を受け、現在6名で事業を進めているそうです。「9時から4時まで」という決まった時間に就労することが困難な方を受け入れており、当事者の居場所的なところも目指しているとのことでした。
Café(カフェ)の運営を中心的な事業としていますが、その他マンションの清掃などもおこない、ワークセンターの「香華販売」にも積極的に参加しているそうです。近い将来には利用者を10名程度に増やすこと、GH(グループホーム)の運営や障害程度に応じた事業所の多様化、また相談事業も展開したいと構想を語っていただきました。討論を含めて約1時間、貴重なお話を伺うことができました。お忙しい中のレポート、誠にありがとうございました。
なお、きゃとるさんからの活動レポートをP2に掲載しています。ご一読ください。(文責/編集部)
【事務局通信 vol.28】
10月7日(金)に障害者福祉課との懇談会を予定してます。現在、懇談会の内容を詰めている段階ですが、八障連会員の複数団体様より社会資源を活用する際の対象としての是非について、申請する際の窓口の対応の問題など検討をしてもらいたいという意見が出されました。また、ニーズがあるのに対応できる対象の施設が1か所のみで利用の空きもなく、そのために通える施設がないことから転居を検討しなくてはというご家族がいる現状を、市と共有して共に考えていきたいという意見もありました。どの問題もすぐに解決できる問題ではありませんが、発信していかないと検討や改善もないと思われます。そのために関係各所へのアンケートや電話での聞き取り等ご協力をお願いしたいと思います。ご意見等もございましたらぜひお寄せいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。(文責/事務局 立川)
【お知らせ】
10月7日(金)に「市障害福祉課との懇談会」が開催されます。現在、会員の複数団体と事務局を中心に懇談会の内容を詰めています。ぜひ多くの会員団体の参加をお願いします。(八障連 運営委員会)
【今後の予定】
市障害福祉課との懇談会
10月7日(金) 18:00~20:00 八王子市役所
7法人共催研修会 「次世代がつくる新しい福祉」
10月29日(土) 13:15~16:15 東浅川保健福祉センター
【八月例会・隔月企画】
就労継続B型事業所 『きゃとる』の活動報告
特定非営利活動法人ひふみ 理事 井上 英樹
NPO法人ひふみが運営致します就労継続支援B型事業所『きゃとる』のご紹介をさせていただきます。私共は、平成27年11月に八王子市から指定をいただきました。事業所は、八日町のデニーズさん南側のマンション1階に有ります。半分をカフェ『キャトル』、半分を作業スペースとしています。事業所の営業時間は、土日祝日を除く9時から16時ですが、カフェ『キャトル』は日祝日を除く11時から17時半まで営業しています。主に、知的障害の方と精神障害の方に働いていただくこと想定しています。カフェでは、利用者の方に調理や接客をお願いしています。他には、マンションの清掃、ポスティング、フリーペーパー『ぱど』の配布などを行っています。カフェ及びポスティングは、利用者の方からも人気の業務になっています。7月と8月のお盆には、八王子市営の霊園にて香華販売も行いました。春秋のお彼岸の際にも香華販売に参加したいと話し合っています。 現在、焼き菓子や手作り品、編み物の試作に取り組んでいます。焼き菓子はカフェで提供出来たら良いと考えています。また、編み物はカフェの座布団作りから始める予定です。あまり宣伝はしていませんが、洋服のお直しも請け負っています。その延長線として衣服のリサイクル・リフォームも計画中です。上記の取組から販売出来るものが出てきたら、店番としての仕事も利用者の方にお任せしたいと考えています。
私共は利用者の方々に、毎日でなくても良い、週に数日、一日に1時間でも2時間でも家を出て働いていただくことを願っています。現在の利用者は23才~46才の6名(男性、女性各3名)です。定員は20名ですが、何とか年内に一緒に働く仲間を10名まで増やしたいと思っています。その先の目標としては、多様な働く場所の拡大等を考えています。今後の支援活動としての目標は三つです。
①相談支援事業:来所時だけの支援ではなく、利用者の方の幅広い支援に関わっていきたい。
②就労支援(就労支援センターと協力しながら):一般就労できるレベルの利用者の方には、ここに留まらず、是非巣立っていって頂きたい。また、一般就労からリタイアした方については受入れをしていきたい。
③グループホーム:利用者の方も今後高齢化していく為、終の棲家としてのグループホーム運営も検討していきたい。
利用者及び保護者の方も生涯安心できる支援体制を整備していきたいと考えています。
B型の指定からまだ日も浅く、未だ作業などの選定にあくせくしている日々が続いていますが、他法人の方々との連携をとりながら利用者にとって働きやすい場にしていくよう努力して行きたいと思っております。今後も皆様のご指導よろしくお願いいたします。
以上簡単ですが、就労継続支援B型事業所『きゃとる』のご紹介とさせて頂きます。
編集部注
8月例会では、八王子市八日町で活動をされている特定非営利活動法人『ひふみ』さんが運営しています就労継続B型事業所『きゃとる』さんから施設管理者・サービス管理責任者の蒔田(まいた)さんと、特定非営利活動法人『ひふみ』さんから理事の井上さんにお越しいただき、お話を伺いました。例会での報告をレポートにまとめていただきましたので、掲載いたします。
なお、きゃとるさんには、例会での報告後、八障連へ加盟をしていただくことになりました。ありがとうございます。今後とも八障連をよろしくお願いいたします。
【自立支援協議会より】
平成28年度の八王子市障害者自立支援協議会全体会が5月30日に第1回、7月14日に第2回の全体会が開催されました。現在、権利擁護推進部会、地域移行・継続支援部会、就労支援部会、子ども部会の4部会を下部組織にもち、さらに各部会内にプロジェクトチームを設置して、障害当事者の方をはじめ、関係者が検討、プロジェクトの推進をしています。第1回目では各部会のH28年度の計画が報告されました。また市の施策についても報告がなされますが、最近では東京都の建築物バリアフリー条例の八王子市の取り扱いについて(いわゆる福祉サービスを提供する事業所が賃貸借物件を借りやすくする規制緩和)、(仮称) 自転車利用環境整備計画の策定についての意見聴取など様々な課題を検討しています。第2回では日常生活用具の支給のなかで、視覚障害者用に活字文書読み上げ装置、視覚障害者用拡大読書器などのメニューがありますが、現在のIT関連機器の発達によりタブレットPCと専用ソフトを使うことで同様のことが行えることから、八王子市でも日常生活用具としてタブレットと専用アプリを対象にしたと報告がありました。会話補助機能は聴覚障害者の方も対象とのことです。タブレットとアプリを一緒に購入することが原則です。補助上限は5万円。タブレットの機種とアプリの相性があるため、事前に相談が必要となります。詳しくは八王子市生活福祉課までお問い合わせください。昔の漫画の正解であこがれていた出来事が今ではスマートフォンという小さな機器一つで行えていることが増えました。介護ロボット導入など賛否両論あり、考え方も様々ですが、IT技術の向上が良い意味でハード面での恩恵をもたらしてくれたら良いのですが。ちなみに八視協さんが要望し、八障連の福祉課懇談会でもテーマとなった点字ディスプレイは継続して検討中という状況です。引き続き確認をしていきたいと思います。(文責/事務局 有賀)
【「津久井やまゆり園の事件」を考える 結の会 市川翔吾】
先日、朝起きてテレビをつけると、とても気分が悪くなるようなニュースが騒々しく流れていました。津久井の入所施設での事件でした。私の暮らす高尾のすぐお隣、且つ同じ様な業種のなかで起きた遠からずな事でもあり、あまりにも凄惨な内容であったので、衝撃が大きく、その朝は、食事を摂る気分にもなれませんでした。時間が経過していく中で、容疑者の動機やそれに至る経過や思想などが明らかになり、それを知ることで、改めてひどく落胆しました。障害者への偏見・差別、介護・福祉業界における環境面であったり、精神疾患、薬物、社会背景などなど、様々な側面からの事が凝縮されて、それがとんでもない形に歪んでしまったのかと。特に根底に大きくある、差別的な思想については、世の中多種多様な考え方があるにせよ、絶対的に間違った恥ずべき愚かな考え方であり、許せないことだとはっきり思います。しかし、一方でそのような偏見・差別といったことが、まかり通ったり、助長されるような面がある世の中に傾いてきているなと感じることもあります。ひとつは、人種、宗教、性別、障害などに基づいて攻撃、脅迫、侮辱する発言や言動を行うヘイトスピーチが各地で横行していること。アメリカでは、差別発言・暴言を連発するようなトランプという人が、大統領選挙の有力候補者とまでなっている現状。日常の中の何気ない言葉や行動のなかでも、意識・無意識関係なくまだまだ溢れているように思います。そして、それらについて傍観者的な立場をとる人も少なくないと。なんだか嫌になるばかりです。偏見・差別は、あまりに利己的で、相手の気持ちや、もし自分がされたら、という想像力は一切ないのかなと不思議に思います。
私には、無力と思わず、想像力を失わず、考え続けることが、偏見・差別に対しての少なからずの抵抗です。少しずつでも現状が変わっていくことを信じています。(投稿。保育教育を考える会(結の会をつくった母体):通信「共に育つNo364号」より転載しました。)
【連載コラム B型肝炎闘病記 パオ 小濵 義久】
闘病史 その8
ステロイド離脱療法というのは、常識的なステロイド剤とは逆の発想の使用法で、一時的(大体一か月)に大量のステロイド剤を使った(一週間ずつ増量)後、投与を止め、症状の増悪を積極的に起こさせ、その折に生体が本来持っている免疫力を強力に賦活させ、一気にウイルスを退治させようという治療法なのである。学会の反発を買っても無理はない。危険な治療法とみなされていた。失敗例が出ると一気につぶされてしまうので、熊田Drは慎重に、慎重に事を進めていた。
池の周りに集まる肝臓病の仲間は20歳代から70歳代まで幅が広く、熊田Dr着任前からの受診歴の長い患者もいて、いろんな情報を聞くことができた。日本では正当に評価されなかったステロイド離脱療法は海外で注目を浴び、日本より海外で彼の名前は有名になり、日本に逆輸入される形でその情報が日本に広まったのだということも彼らから聞いて知った。よくあるパターンである。5大紙に次々と彼の名前とステロイド離脱療法の紹介記事が載ったのにはそういう事情が背景にあったのだ。
1972年に岐阜大の医学部を卒業した熊田Drは直ぐに虎の門病院に就職しているが、所属したのは病理科であり、研究生活に近い。その研究姿勢が1977年から消化器科に移動し、臨床に関わるようになるや、直ぐ発揮されることになる。ウイルス性肝炎は免疫体制が整った大人の場合には、ウイルスに感染しても殆どが治ってしまう。一時的に急性肝炎状態を呈し、自然に治癒することが殆どで、抗体ができ、ウイルスすらもなくなってしまう。しかし、たまに劇症肝炎化することがある。医療ミスで感染した医療従事者が劇症肝炎で不幸にも亡くなったという記事が新聞報道されることもあった。
免疫体制が充分整う前に感染した場合に、発症しないままウイルスが生体と共存する状態が続いてしまう。この状態をキャリア(正確には無症候性キャリアという)と言う。中には無症候性キャリアのまま一生を終える幸運な人もいるようだが、多くはいつか発症する。発症しても、上記のように治ってしまうのなら良いのだが、キャリアからの発症はその殆どが慢性肝炎になり、慢性肝炎から肝硬変、肝臓癌、肝不全に至り、人生の途上で不本意にも人生を終了させられる。(次号へ続く)
《編集後記》
八障連通信315号をお届けします。今号で、「津久井やまゆり事件を考える」(投稿)を掲載しました。このような行為はどんなことがあっても許されないことは自明なことですが、「一方でそのような偏見・差別といったことがまかり通ったり、助長されるような面がある世の中に傾いてきているなと感じることもあります」と指摘しています。かってドイツのヒトラーが、600万人ものユダヤ人虐殺に先立ち、およそ20万人ものドイツ人の精神障害者や知的障害者、回復の見込みがないとされた病人たちを「生きる価値がない」とガス室などで虐殺した事実が最近注目されています。そんな時代を二度と繰り返さないためにも、心ある多くの方に読んでいただき、ともに「無力と思わず、想像力を失わず、考えつづけて」いきたいと思う次第です。(Y)
通信本文はここまで。
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【例会の報告】
8月25日の例会では、隔月企画として、八王子市八日町で活動している就労継続B型事業所の『きゃとる』さんから、蒔田様(施設管理者・サービス管理責任者)とNPO法人『ひふみ』の井上様(理事)をお招きして、お話をお伺いしました。
就労継続B型事業所『きゃとる』は、2015年11月NPO法人化し、知的の方を中心に受け入れて、就労継続B型事業所としてスタートしました。蒔田さんのお子様がダウン症であり、そうしたことから障害者福祉に関心が高く、現在の道に進まれたそうです。最初は3名からスタートしました。知的の方を、支援学校の卒業生を中心に受け入れ、また相談事業所をまわって紹介を受け、現在6名で事業を進めているそうです。「9時から4時まで」という決まった時間に就労することが困難な方を受け入れており、当事者の居場所的なところも目指しているとのことでした。
Café(カフェ)の運営を中心的な事業としていますが、その他マンションの清掃などもおこない、ワークセンターの「香華販売」にも積極的に参加しているそうです。近い将来には利用者を10名程度に増やすこと、GH(グループホーム)の運営や障害程度に応じた事業所の多様化、また相談事業も展開したいと構想を語っていただきました。討論を含めて約1時間、貴重なお話を伺うことができました。お忙しい中のレポート、誠にありがとうございました。
なお、きゃとるさんからの活動レポートをP2に掲載しています。ご一読ください。(文責/編集部)
【事務局通信 vol.28】
10月7日(金)に障害者福祉課との懇談会を予定してます。現在、懇談会の内容を詰めている段階ですが、八障連会員の複数団体様より社会資源を活用する際の対象としての是非について、申請する際の窓口の対応の問題など検討をしてもらいたいという意見が出されました。また、ニーズがあるのに対応できる対象の施設が1か所のみで利用の空きもなく、そのために通える施設がないことから転居を検討しなくてはというご家族がいる現状を、市と共有して共に考えていきたいという意見もありました。どの問題もすぐに解決できる問題ではありませんが、発信していかないと検討や改善もないと思われます。そのために関係各所へのアンケートや電話での聞き取り等ご協力をお願いしたいと思います。ご意見等もございましたらぜひお寄せいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。(文責/事務局 立川)
【お知らせ】
10月7日(金)に「市障害福祉課との懇談会」が開催されます。現在、会員の複数団体と事務局を中心に懇談会の内容を詰めています。ぜひ多くの会員団体の参加をお願いします。(八障連 運営委員会)
【今後の予定】
市障害福祉課との懇談会
10月7日(金) 18:00~20:00 八王子市役所
7法人共催研修会 「次世代がつくる新しい福祉」
10月29日(土) 13:15~16:15 東浅川保健福祉センター
【八月例会・隔月企画】
就労継続B型事業所 『きゃとる』の活動報告
特定非営利活動法人ひふみ 理事 井上 英樹
NPO法人ひふみが運営致します就労継続支援B型事業所『きゃとる』のご紹介をさせていただきます。私共は、平成27年11月に八王子市から指定をいただきました。事業所は、八日町のデニーズさん南側のマンション1階に有ります。半分をカフェ『キャトル』、半分を作業スペースとしています。事業所の営業時間は、土日祝日を除く9時から16時ですが、カフェ『キャトル』は日祝日を除く11時から17時半まで営業しています。主に、知的障害の方と精神障害の方に働いていただくこと想定しています。カフェでは、利用者の方に調理や接客をお願いしています。他には、マンションの清掃、ポスティング、フリーペーパー『ぱど』の配布などを行っています。カフェ及びポスティングは、利用者の方からも人気の業務になっています。7月と8月のお盆には、八王子市営の霊園にて香華販売も行いました。春秋のお彼岸の際にも香華販売に参加したいと話し合っています。 現在、焼き菓子や手作り品、編み物の試作に取り組んでいます。焼き菓子はカフェで提供出来たら良いと考えています。また、編み物はカフェの座布団作りから始める予定です。あまり宣伝はしていませんが、洋服のお直しも請け負っています。その延長線として衣服のリサイクル・リフォームも計画中です。上記の取組から販売出来るものが出てきたら、店番としての仕事も利用者の方にお任せしたいと考えています。
私共は利用者の方々に、毎日でなくても良い、週に数日、一日に1時間でも2時間でも家を出て働いていただくことを願っています。現在の利用者は23才~46才の6名(男性、女性各3名)です。定員は20名ですが、何とか年内に一緒に働く仲間を10名まで増やしたいと思っています。その先の目標としては、多様な働く場所の拡大等を考えています。今後の支援活動としての目標は三つです。
①相談支援事業:来所時だけの支援ではなく、利用者の方の幅広い支援に関わっていきたい。
②就労支援(就労支援センターと協力しながら):一般就労できるレベルの利用者の方には、ここに留まらず、是非巣立っていって頂きたい。また、一般就労からリタイアした方については受入れをしていきたい。
③グループホーム:利用者の方も今後高齢化していく為、終の棲家としてのグループホーム運営も検討していきたい。
利用者及び保護者の方も生涯安心できる支援体制を整備していきたいと考えています。
B型の指定からまだ日も浅く、未だ作業などの選定にあくせくしている日々が続いていますが、他法人の方々との連携をとりながら利用者にとって働きやすい場にしていくよう努力して行きたいと思っております。今後も皆様のご指導よろしくお願いいたします。
以上簡単ですが、就労継続支援B型事業所『きゃとる』のご紹介とさせて頂きます。
編集部注
8月例会では、八王子市八日町で活動をされている特定非営利活動法人『ひふみ』さんが運営しています就労継続B型事業所『きゃとる』さんから施設管理者・サービス管理責任者の蒔田(まいた)さんと、特定非営利活動法人『ひふみ』さんから理事の井上さんにお越しいただき、お話を伺いました。例会での報告をレポートにまとめていただきましたので、掲載いたします。
なお、きゃとるさんには、例会での報告後、八障連へ加盟をしていただくことになりました。ありがとうございます。今後とも八障連をよろしくお願いいたします。
【自立支援協議会より】
平成28年度の八王子市障害者自立支援協議会全体会が5月30日に第1回、7月14日に第2回の全体会が開催されました。現在、権利擁護推進部会、地域移行・継続支援部会、就労支援部会、子ども部会の4部会を下部組織にもち、さらに各部会内にプロジェクトチームを設置して、障害当事者の方をはじめ、関係者が検討、プロジェクトの推進をしています。第1回目では各部会のH28年度の計画が報告されました。また市の施策についても報告がなされますが、最近では東京都の建築物バリアフリー条例の八王子市の取り扱いについて(いわゆる福祉サービスを提供する事業所が賃貸借物件を借りやすくする規制緩和)、(仮称) 自転車利用環境整備計画の策定についての意見聴取など様々な課題を検討しています。第2回では日常生活用具の支給のなかで、視覚障害者用に活字文書読み上げ装置、視覚障害者用拡大読書器などのメニューがありますが、現在のIT関連機器の発達によりタブレットPCと専用ソフトを使うことで同様のことが行えることから、八王子市でも日常生活用具としてタブレットと専用アプリを対象にしたと報告がありました。会話補助機能は聴覚障害者の方も対象とのことです。タブレットとアプリを一緒に購入することが原則です。補助上限は5万円。タブレットの機種とアプリの相性があるため、事前に相談が必要となります。詳しくは八王子市生活福祉課までお問い合わせください。昔の漫画の正解であこがれていた出来事が今ではスマートフォンという小さな機器一つで行えていることが増えました。介護ロボット導入など賛否両論あり、考え方も様々ですが、IT技術の向上が良い意味でハード面での恩恵をもたらしてくれたら良いのですが。ちなみに八視協さんが要望し、八障連の福祉課懇談会でもテーマとなった点字ディスプレイは継続して検討中という状況です。引き続き確認をしていきたいと思います。(文責/事務局 有賀)
【「津久井やまゆり園の事件」を考える 結の会 市川翔吾】
先日、朝起きてテレビをつけると、とても気分が悪くなるようなニュースが騒々しく流れていました。津久井の入所施設での事件でした。私の暮らす高尾のすぐお隣、且つ同じ様な業種のなかで起きた遠からずな事でもあり、あまりにも凄惨な内容であったので、衝撃が大きく、その朝は、食事を摂る気分にもなれませんでした。時間が経過していく中で、容疑者の動機やそれに至る経過や思想などが明らかになり、それを知ることで、改めてひどく落胆しました。障害者への偏見・差別、介護・福祉業界における環境面であったり、精神疾患、薬物、社会背景などなど、様々な側面からの事が凝縮されて、それがとんでもない形に歪んでしまったのかと。特に根底に大きくある、差別的な思想については、世の中多種多様な考え方があるにせよ、絶対的に間違った恥ずべき愚かな考え方であり、許せないことだとはっきり思います。しかし、一方でそのような偏見・差別といったことが、まかり通ったり、助長されるような面がある世の中に傾いてきているなと感じることもあります。ひとつは、人種、宗教、性別、障害などに基づいて攻撃、脅迫、侮辱する発言や言動を行うヘイトスピーチが各地で横行していること。アメリカでは、差別発言・暴言を連発するようなトランプという人が、大統領選挙の有力候補者とまでなっている現状。日常の中の何気ない言葉や行動のなかでも、意識・無意識関係なくまだまだ溢れているように思います。そして、それらについて傍観者的な立場をとる人も少なくないと。なんだか嫌になるばかりです。偏見・差別は、あまりに利己的で、相手の気持ちや、もし自分がされたら、という想像力は一切ないのかなと不思議に思います。
私には、無力と思わず、想像力を失わず、考え続けることが、偏見・差別に対しての少なからずの抵抗です。少しずつでも現状が変わっていくことを信じています。(投稿。保育教育を考える会(結の会をつくった母体):通信「共に育つNo364号」より転載しました。)
【連載コラム B型肝炎闘病記 パオ 小濵 義久】
闘病史 その8
ステロイド離脱療法というのは、常識的なステロイド剤とは逆の発想の使用法で、一時的(大体一か月)に大量のステロイド剤を使った(一週間ずつ増量)後、投与を止め、症状の増悪を積極的に起こさせ、その折に生体が本来持っている免疫力を強力に賦活させ、一気にウイルスを退治させようという治療法なのである。学会の反発を買っても無理はない。危険な治療法とみなされていた。失敗例が出ると一気につぶされてしまうので、熊田Drは慎重に、慎重に事を進めていた。
池の周りに集まる肝臓病の仲間は20歳代から70歳代まで幅が広く、熊田Dr着任前からの受診歴の長い患者もいて、いろんな情報を聞くことができた。日本では正当に評価されなかったステロイド離脱療法は海外で注目を浴び、日本より海外で彼の名前は有名になり、日本に逆輸入される形でその情報が日本に広まったのだということも彼らから聞いて知った。よくあるパターンである。5大紙に次々と彼の名前とステロイド離脱療法の紹介記事が載ったのにはそういう事情が背景にあったのだ。
1972年に岐阜大の医学部を卒業した熊田Drは直ぐに虎の門病院に就職しているが、所属したのは病理科であり、研究生活に近い。その研究姿勢が1977年から消化器科に移動し、臨床に関わるようになるや、直ぐ発揮されることになる。ウイルス性肝炎は免疫体制が整った大人の場合には、ウイルスに感染しても殆どが治ってしまう。一時的に急性肝炎状態を呈し、自然に治癒することが殆どで、抗体ができ、ウイルスすらもなくなってしまう。しかし、たまに劇症肝炎化することがある。医療ミスで感染した医療従事者が劇症肝炎で不幸にも亡くなったという記事が新聞報道されることもあった。
免疫体制が充分整う前に感染した場合に、発症しないままウイルスが生体と共存する状態が続いてしまう。この状態をキャリア(正確には無症候性キャリアという)と言う。中には無症候性キャリアのまま一生を終える幸運な人もいるようだが、多くはいつか発症する。発症しても、上記のように治ってしまうのなら良いのだが、キャリアからの発症はその殆どが慢性肝炎になり、慢性肝炎から肝硬変、肝臓癌、肝不全に至り、人生の途上で不本意にも人生を終了させられる。(次号へ続く)
《編集後記》
八障連通信315号をお届けします。今号で、「津久井やまゆり事件を考える」(投稿)を掲載しました。このような行為はどんなことがあっても許されないことは自明なことですが、「一方でそのような偏見・差別といったことがまかり通ったり、助長されるような面がある世の中に傾いてきているなと感じることもあります」と指摘しています。かってドイツのヒトラーが、600万人ものユダヤ人虐殺に先立ち、およそ20万人ものドイツ人の精神障害者や知的障害者、回復の見込みがないとされた病人たちを「生きる価値がない」とガス室などで虐殺した事実が最近注目されています。そんな時代を二度と繰り返さないためにも、心ある多くの方に読んでいただき、ともに「無力と思わず、想像力を失わず、考えつづけて」いきたいと思う次第です。(Y)
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