八障連通信344号をアップします
八障連通信344号【PDF版】はこちらから
八障連通信【音声版はこちらから】
・事務局通信 Vol.56【音声版はこちらから】
・編集後記【音声版はこちらから】
・砂永美んさんからのお便りⅣ【音声版はこちらから】
・連載コラム 『日々のなかから、』 <ライフワーク> Vol.45 八障連代表 杉浦 貢【音声版はこちらから】
・連載コラム B 型肝炎闘病記 パオ 小濵 義久 闘病史 その 29【音声版はこちらから】
※協力 南大沢音訳の会「こだま」
ここからは通信本文となります。
【事務局通信 Vol.56】
2019 年を迎えて早くも梅が開花する季節となりました。寒暖が激しい時期ともなり、花粉もそろそろ舞う準備をしていることでしょう。個人的には一年で一番好きな季節でもあり、花粉症を患っている身としては憂鬱な期間でもあります。
さて、2018 年は法改正もあり様々変化があった年でもありました。2019 年も元号が変わることをはじめ、働き方改革から労基法の改正など社会の変化は続きます。今回の労基法等の改正では労働時間の制限など法律に明記されます。数年後には同じ仕事内容であれば正職もパートも同じ賃金条件が義務付けられます。またパワハラ防止への取り組みを企業へ義務化することを厚労省は検討しているようです。どこそこの知事が云々と報道があったのは記憶に新しいところです。私が幼いころは誰でも悪さをすると学校の先生から鉄拳制裁をよく受けました。今ではそんなことがあればすぐに問題になるでしょう。教員を執拗に焚きつける態度をとって教員が手を挙げる場面を盗撮してネットにあげたことで世間を騒がせたこともつい最近のことです。法律が変わることで世の中のありようは一変します。今までよくも悪くもまかり通っていたことが世の中の常識や普通ではなくなり、反社会的な行為や存在になります。人々はそうした行為に嫌悪感をいだき、排除を始めます。お断りをしますが、私は回顧主義者でもありませんし、ハラスメントなどの規定が法整備されることに異を唱える立場にもありません。法律が整備されることには賛成です。
話は変わりますが、分身ロボットコミュニケーション協会による、ほとんど体が動かない障害の方が分身となるロボットを操作してカフェのフロア店員に従事する試みが話題となりました。IT の進化は凄まじく、自動運転の自動車や家電を音声などで操作する時代に突入しています。高齢者が何歳まで運転できるのか、高齢者による誤操作での事故が社会問題として報道されましたが、数年で自動運転でいくつまでも自動車を駆使できる時代がくることでしょう。身体機能や能力に関係なく、移動ができるテクノロジーの恩恵は目前に思えます。少子高齢化の影響で人材不足はどの分野でも直面している課題です。八王子
市では高齢者分野だけではなく、障害者分野でも人材確保の就活セミナーなど試みを開始しています。IT の進化もそうした人材不足の状況を合理的に軽減する可能性を秘めています。今後も進化をしつづけることでしょう。圧倒的に世の中を変えてしまう法律も便利さを追求し人々に恩恵を授けるテクノロジーの進化も大きな存在として私たちの生活に密接しています。しかし、そもそも道徳的なことを法的に整備しないといけない状況が前提にあることを見落とせません。それはモラルハザードや主体的な自制を欠いた結果、強制的な介入があったという捉え方もできます。また ITの進化も便利さがどこにつながるのか。
合理性がなんのためにあるのかということを欠いては、「もったいない」限りです。法律もテクノロジーも、せっかく出来たものを有効に活用するかどうかは私たちの創造性にかかっていると思います。少子高齢化で人材不足、便利なものが増えて、様々な法律は整ったけど縦に別れて融通がきかないだけでは「もったいない」。福祉分野においても私たち一人ひとりの創造性がより一層求められる時代になったように思えます。そのためにも横の連携が必要ですね。会員団体の皆様お一人お一人においても、より一層の交流、連携が図れるよう、八障連の活動へも是非関心とお力をいただければと思います。(事務局 有賀)
【編集後記】
八障連通信 344 号をお届けいたします。今号では、砂長美んさんからの 4 回目のお便りを特集記事とさせていただきました。事業とその営業に、また講演や本の出版とエネルギッシュに活躍されている情報が満載の近況報告となっております。ぜひご一読ください。/ほっとスペース八王子では、会員向けに昼食を低額で提供していますが、食材の供給元としてセカンドハーベストジャパン(2hj)に続き、葉物野菜などの食材を求め、日野八王子地域でのフードバンクとの連携を模索しております。最近は、地域にも様々なフードバンクができ始めており、先日「フードバンク TAMA」を訪問してきました。フードバンクの活動の実体など、学習会や交流を通じて知ることも必要かなと感じた次第です。皆様はどうお考えでしょうか。議論してみるのも面白いのではないでしょうか。(Y)
【砂永美んさんからのお便りⅣ】
昨年 12 月、事業に、講演にそして本の出版にと、全国で活動を展開している砂長美んさんから近況を知らせるメールが編集部に届きましたが、前号(343 号)には紙面の都合で掲載できませんでした。改めて今号にて掲載させていただきます。八障連通信へ原稿を寄せていただいた砂長さんへ深く感謝する次第です。そして今年もどうぞよろしくお願いいたします。次のお便り待ってま~す。(編集部)
こんにちは! 一般社団法人 ありがとうショップ 砂長美んです。皆さま お元気ですか? 今年(2018 年)は、自営業から、一般社団法人化になりました。売り上げも今年(2018 年)10 月、月刊最高額を達成。意味は、同時に障がい者施設に利益も払っていますよ。 自営業の 500 円お弁当屋さん 100万ちょっと赤字の 3 年間でした(汗)。それでも、辞めないで、今があります。本当にありがとうございます。皆さま 全ての方にお世話になりながら今がある事を実感です。大きな ニュースが3つとお知らせです。
○12 月初めの日本財団主催の就労支援フォーラム無事に終了。ブース展示で、全国の障害者施設の方々と名刺交換。その後、営業と挨拶をしようと思っていたら、ビックリニュース。お礼状をまだ、出来ていない事をお許しください。
○1 月 15 日スタートの新しい渋谷区区庁舎の障害者施設商品の展開、店舗運営のアドバイスの仕事が舞い込み、いつもならば 、国会も静かで暇な年末が嬉しい残業状態になっています。東京のファッションの中心の渋谷区の障害者施設商品をセブンイレブン店内で展開予定。今まで、渋谷区も工賃アップに悩んでいたので来年(2019 年)夏までに 、2 割増し、オリンピックの 2020 年までには、色々渋谷区のお店で、販売してもらえるような商品作る手伝いしたいです。
○同様に横浜市もお手伝いしたいと思っています。何かご協力頂ける方など、ご連絡ください。どんな業界、個人でも有難いです。という事で、来年は、現状の仕事もしながら、ヴァルトジャパン 株式会社の 新規事業チームの顧問に就任致しました!ヴァルトジャパンは、創業 6 年目で、働きたい障害者と企業を IT を主に仕事を作り出しています。社長の考え方も素敵です。発達障害、ダウン症、知的障害のある方の為の保険ゼンチ共済保険宣伝顧問も引き続き担当です。
○来年(2019 年)、本を 7 月目標で出版予定です。内容は 、前回の本の 2 作目で、新しい障害者の働く、学ぶ、クラスを実践している方々。あと、一名募集しているので 推薦お待ちしています。
○3 月 29 日、30 日 31 日 金曜・土曜・日曜で、静岡県清水市 ドリームプラザにて障がい者施設商品の販売会があります。お手伝い アルバイト、商品販売希望の施設大募集です。今年は 50 万円を超える売り上げを目標にしています。お誕生日 メッセージどうもありがとうございます。是非、お時間あるときに 近況をお知らせください。
○中古のピカピカ、FAX複合機、コピー機、電話機、購入予定ある事業者の方々へのお知らせ
リベラル株式会社 (障害者特例子会社) https://www.riberal.co.jp 東京都西葛西。ホワイト企業大賞色々受賞している。お給料が高くて年収 300 万を普通に超えて障害者の年金がストップした方もいる程ビジネスとして当たり前の即戦力で、機械を磨いています。皆様の会社で、コピー機、電話機など買い替
えありましたら、是非教えてください!市場価格の半額以下で買えます。保守もしっかりしています。
年末は、母と東京の式根島港周辺に遊びに行く予定です。良いお年をお過ごしください。来年(2019 年)もよろしくお願い申し上げます。(一般社団法人 ありがとうショップ 砂長美ん)
【連載コラム 『日々のなかから、』 <ライフワーク> Vol.45 八障連代表 杉浦 貢】
かねてより私が自分のライフワークとして思い定めているのは、いろんな人の前で話す講話活動...特に小中学校への講話なのですが...。そもそも学校訪問の活動を始めたのは『ぜひともあなたの言葉を子どもたちに届けて欲しい』と知人に言われたのがきっかけでした。いろんな人に背中を押されて、その気になって始めてはみたものの...自分自身で本当の自覚が芽生えるまでには、少し時間がかかりました。「どうせガキなんて、人の話聞かねえじゃん」「どうせ一生懸命話したところで、ガキが内容覚えてるわけがないよ」などと、今にして思うに、とんでもなく子どもさんたちに失礼なことを考えていたものでした。「自分は、学校の授業にスキマができたときの穴埋めに過ぎない」「ガキの頭に何かを吹き込んでみたところで、対して世の中が変わる訳でなし」とか...初期の頃はまだ不安も大きかったので、後ろ向きなことしか考えていなかったと振り返ります。そんな自分を変えてくれたのは...、『目の前の仕事に追われて、大切なものが何なのか分からなくなっている教師は多いです。子どもと接する時間が欲しくても、そうするだけの余裕がない。けれど杉浦さんなら、我々とは違ったやり方で、子どもたちに接することができると思います』という、講演先で出会った先生からの言葉でした。この一言の重みがあるから、今もどうにか活動を続けています。
しかし、最近また一つ、私の心を根元から折るような出来事が...悲しい事件が起こってしまいました。被害者が出て何かが変わるならまだしも、死人が出てさえ何も変わらない...。
学校でのイジメを苦にして自殺する子がいる。親に虐待されて命を奪われる子がいる。ちょっと近所を出歩くだけでも、鬼畜のような大人に攫われて傷つけられたり殺されたりする。学校現場に出向いて『人に優しくしよう』『自分を支えてくれる周りの人に感謝しよう』なんてことを子どもさんの前で語ったりするけれど、悲しい事件の報道を目にし、また耳にするにつけ...自分のやっていることに、はたして意味なんかあるんだろうか...と暗く虚しい気分になったりします。
自分に危害を加えてくるような知人や家族に、感謝などできるでしょうか。街で出会った親切な大人が...実は相手が誘拐犯、暴行犯、殺人犯の類いだったら? 『他人との絆を大切に』と話す私の言葉が...かえって子どもさんたちを苦しめるようなことになっていたら? そんなことを考え始めると...悪いものを食べて酷い胃もたれを起こしているときのように重苦しい気分になるのです。
しかし一方...それでも、私は自分のできる事をやりきるしかないんだろう...とも考えています。私の言葉は、今この時、教室でイジメを受けている子どもさんを救うことはできません。情の通じぬ家族に傷つけられている心を救うことはできません。街で出会った危険な大人から逃げる術を伝えるものでもありません。
今現在危難に見舞われている子どもさんに対しては、何の力もありません。しかし、私の話を聞いてくれた子どもさんたちが将来において、誰かを苦しめたり傷つけたりしないように、と訴えていくことはできます。『人に優しくしよう』・『周りの人に感謝』、被害者を護る事は難しくても...目の前の子どもさんを加害者にしない。未来の犯罪者を育てないための努力は、これからも続けていこうと思っています。
【連載コラム B 型肝炎闘病記 パオ 小濵 義久 闘病史 その 29】
強ミノを打ち始めて、肝機能値はずっと正常値を保ち、丸 2 年を過ぎたあたりからウイルス量も一桁を持続、「0」をも示すことが続き始めた矢先の 1994 年 9 月 26 日の外来の事だ。エコー検査でベテランの竹内 Dr がごく初期の癌を発見、検査後の熊田 Dr の診察で癌が出現している旨の宣告があり、手術しましょうと言われた。叔父の時は、癌宣告された高僧が明くる日に自殺したという例を挙げながら、癌の宣告もしなかったのに、俺の場合はいきなり手術かよと内心の突っ込みはめめしいばかりだった。頭の上から 20lほどの冷や水を浴びせかけられた感じもした。こんな小さなものをよく見つけたものだなぁ、さすが竹内 Dr だと感心していたが、いやはや何と申し上げて良いやら。こういう場合の入院は殆ど待たされることなく、すぐ入院となるのだが、仕事の段取りもあり、1 週間ほど待ってもらった。
この頃、B 型肝炎は東京都の難病指定を受けており、通院費とは別に入院費の助成手続きをしなければならず、26 日に申請書を持ち帰って作成し、27 日に
虎の門病院に届けている。手帳を見ると 26 日の夜は「徹夜」と記載されている。癌については B 型肝炎を発症したと判明してからいつか来る道と覚悟はしていたものの、矢張り下された宣告は重いものだった。こういう時はウヰスキーをちびりちびり飲みながら、明け方までジャズを聴いて過ごすのが私流である。できればシーヴァスリーガル 12 年ものがあると良い。初恋に破れた時もかなりの音響で朝まで聴いていたっけ。マル・ウォルドロンの「レフト・アローン」をオートリターンで繰り返し流していた。豊潤なウイスキーの香りが鬱屈した心のひだに染み入り、重厚な甘露のような液体が舌の上をゆっくりと巡り、喉ごしを過ぎる頃には頬が少し紅潮し、何もかもを洗い流すように胃の中へ落ちていくと、奥底に残っていた熾火に微かに火が灯されるような気がした。何とか今日も生きられそうだ。
パオを立ち上げて半年足らず、まだ補助金を貰っていない段階だったので、細かなことについての心配はなかった。作業所運営 ということについてはベテ
ランの渡邊啓二氏に開所以来助けて貰っていたので、安心して留守番を頼めた。週 1日携わっていた企業相手の電話相談はピンチヒッターを仲間に頼んだ。「みんなちがってみんないい」のイベントが 10 月 2日に決まっていた。「みなちが」のイベントを終え、パオの留守中の段取りも終えた 10 月 5 日に入院した。ひと通りのいつもの検査のほか、アンギオという血管造影検査を初めて体験した。太腿の動脈からカテーテルを挿入し、癌組織の近くまで延ばした切っ先から造影剤を注入しレントゲン撮影を行うもので、手術時と変わらないような事前準備があり、手術室で行われる検査には幾分かの緊張を覚えた。手術台の横に設えられたモニターがあり、医者はそのモニターを見ながら操作している。細い血管とその中を手探りするように進んでいくカテーテルがくっきりとモニターに映っていた。局所麻酔のお陰で痛みは感じなかったが、所々で強い違和感を感じ身体が強張った。だが、それより大変だったのは術後だった。切開した動脈部分からの出血が起きないように、添え木のようなものを入れた圧迫包帯で切開部分を強く縛り、右足がベッドに固定されたまま 7~8 時間を過ごさなければならない。寝返りも許されなければ、上体を起こすこともできない。そのままの寝姿で 2 時間も経つと、背中やお尻に鈍い痛みを感じるようになり、段々痛みが強くなって来る。自由が利く左足を使って身体を少し浮かせる位しかなす術はなく、そんなことをしても状況は変わらず、ただひたすら耐えるのみ。まるで拷問である。なんと切ないことか。なんまいだ。思わず口から飛び出した。(次号へ続く)
通信本文はここまで。
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・砂永美んさんからのお便りⅣ【音声版はこちらから】
・連載コラム 『日々のなかから、』 <ライフワーク> Vol.45 八障連代表 杉浦 貢【音声版はこちらから】
・連載コラム B 型肝炎闘病記 パオ 小濵 義久 闘病史 その 29【音声版はこちらから】
※協力 南大沢音訳の会「こだま」
ここからは通信本文となります。
【事務局通信 Vol.56】
2019 年を迎えて早くも梅が開花する季節となりました。寒暖が激しい時期ともなり、花粉もそろそろ舞う準備をしていることでしょう。個人的には一年で一番好きな季節でもあり、花粉症を患っている身としては憂鬱な期間でもあります。
さて、2018 年は法改正もあり様々変化があった年でもありました。2019 年も元号が変わることをはじめ、働き方改革から労基法の改正など社会の変化は続きます。今回の労基法等の改正では労働時間の制限など法律に明記されます。数年後には同じ仕事内容であれば正職もパートも同じ賃金条件が義務付けられます。またパワハラ防止への取り組みを企業へ義務化することを厚労省は検討しているようです。どこそこの知事が云々と報道があったのは記憶に新しいところです。私が幼いころは誰でも悪さをすると学校の先生から鉄拳制裁をよく受けました。今ではそんなことがあればすぐに問題になるでしょう。教員を執拗に焚きつける態度をとって教員が手を挙げる場面を盗撮してネットにあげたことで世間を騒がせたこともつい最近のことです。法律が変わることで世の中のありようは一変します。今までよくも悪くもまかり通っていたことが世の中の常識や普通ではなくなり、反社会的な行為や存在になります。人々はそうした行為に嫌悪感をいだき、排除を始めます。お断りをしますが、私は回顧主義者でもありませんし、ハラスメントなどの規定が法整備されることに異を唱える立場にもありません。法律が整備されることには賛成です。
話は変わりますが、分身ロボットコミュニケーション協会による、ほとんど体が動かない障害の方が分身となるロボットを操作してカフェのフロア店員に従事する試みが話題となりました。IT の進化は凄まじく、自動運転の自動車や家電を音声などで操作する時代に突入しています。高齢者が何歳まで運転できるのか、高齢者による誤操作での事故が社会問題として報道されましたが、数年で自動運転でいくつまでも自動車を駆使できる時代がくることでしょう。身体機能や能力に関係なく、移動ができるテクノロジーの恩恵は目前に思えます。少子高齢化の影響で人材不足はどの分野でも直面している課題です。八王子
市では高齢者分野だけではなく、障害者分野でも人材確保の就活セミナーなど試みを開始しています。IT の進化もそうした人材不足の状況を合理的に軽減する可能性を秘めています。今後も進化をしつづけることでしょう。圧倒的に世の中を変えてしまう法律も便利さを追求し人々に恩恵を授けるテクノロジーの進化も大きな存在として私たちの生活に密接しています。しかし、そもそも道徳的なことを法的に整備しないといけない状況が前提にあることを見落とせません。それはモラルハザードや主体的な自制を欠いた結果、強制的な介入があったという捉え方もできます。また ITの進化も便利さがどこにつながるのか。
合理性がなんのためにあるのかということを欠いては、「もったいない」限りです。法律もテクノロジーも、せっかく出来たものを有効に活用するかどうかは私たちの創造性にかかっていると思います。少子高齢化で人材不足、便利なものが増えて、様々な法律は整ったけど縦に別れて融通がきかないだけでは「もったいない」。福祉分野においても私たち一人ひとりの創造性がより一層求められる時代になったように思えます。そのためにも横の連携が必要ですね。会員団体の皆様お一人お一人においても、より一層の交流、連携が図れるよう、八障連の活動へも是非関心とお力をいただければと思います。(事務局 有賀)
【編集後記】
八障連通信 344 号をお届けいたします。今号では、砂長美んさんからの 4 回目のお便りを特集記事とさせていただきました。事業とその営業に、また講演や本の出版とエネルギッシュに活躍されている情報が満載の近況報告となっております。ぜひご一読ください。/ほっとスペース八王子では、会員向けに昼食を低額で提供していますが、食材の供給元としてセカンドハーベストジャパン(2hj)に続き、葉物野菜などの食材を求め、日野八王子地域でのフードバンクとの連携を模索しております。最近は、地域にも様々なフードバンクができ始めており、先日「フードバンク TAMA」を訪問してきました。フードバンクの活動の実体など、学習会や交流を通じて知ることも必要かなと感じた次第です。皆様はどうお考えでしょうか。議論してみるのも面白いのではないでしょうか。(Y)
【砂永美んさんからのお便りⅣ】
昨年 12 月、事業に、講演にそして本の出版にと、全国で活動を展開している砂長美んさんから近況を知らせるメールが編集部に届きましたが、前号(343 号)には紙面の都合で掲載できませんでした。改めて今号にて掲載させていただきます。八障連通信へ原稿を寄せていただいた砂長さんへ深く感謝する次第です。そして今年もどうぞよろしくお願いいたします。次のお便り待ってま~す。(編集部)
こんにちは! 一般社団法人 ありがとうショップ 砂長美んです。皆さま お元気ですか? 今年(2018 年)は、自営業から、一般社団法人化になりました。売り上げも今年(2018 年)10 月、月刊最高額を達成。意味は、同時に障がい者施設に利益も払っていますよ。 自営業の 500 円お弁当屋さん 100万ちょっと赤字の 3 年間でした(汗)。それでも、辞めないで、今があります。本当にありがとうございます。皆さま 全ての方にお世話になりながら今がある事を実感です。大きな ニュースが3つとお知らせです。
○12 月初めの日本財団主催の就労支援フォーラム無事に終了。ブース展示で、全国の障害者施設の方々と名刺交換。その後、営業と挨拶をしようと思っていたら、ビックリニュース。お礼状をまだ、出来ていない事をお許しください。
○1 月 15 日スタートの新しい渋谷区区庁舎の障害者施設商品の展開、店舗運営のアドバイスの仕事が舞い込み、いつもならば 、国会も静かで暇な年末が嬉しい残業状態になっています。東京のファッションの中心の渋谷区の障害者施設商品をセブンイレブン店内で展開予定。今まで、渋谷区も工賃アップに悩んでいたので来年(2019 年)夏までに 、2 割増し、オリンピックの 2020 年までには、色々渋谷区のお店で、販売してもらえるような商品作る手伝いしたいです。
○同様に横浜市もお手伝いしたいと思っています。何かご協力頂ける方など、ご連絡ください。どんな業界、個人でも有難いです。という事で、来年は、現状の仕事もしながら、ヴァルトジャパン 株式会社の 新規事業チームの顧問に就任致しました!ヴァルトジャパンは、創業 6 年目で、働きたい障害者と企業を IT を主に仕事を作り出しています。社長の考え方も素敵です。発達障害、ダウン症、知的障害のある方の為の保険ゼンチ共済保険宣伝顧問も引き続き担当です。
○来年(2019 年)、本を 7 月目標で出版予定です。内容は 、前回の本の 2 作目で、新しい障害者の働く、学ぶ、クラスを実践している方々。あと、一名募集しているので 推薦お待ちしています。
○3 月 29 日、30 日 31 日 金曜・土曜・日曜で、静岡県清水市 ドリームプラザにて障がい者施設商品の販売会があります。お手伝い アルバイト、商品販売希望の施設大募集です。今年は 50 万円を超える売り上げを目標にしています。お誕生日 メッセージどうもありがとうございます。是非、お時間あるときに 近況をお知らせください。
○中古のピカピカ、FAX複合機、コピー機、電話機、購入予定ある事業者の方々へのお知らせ
リベラル株式会社 (障害者特例子会社) https://www.riberal.co.jp 東京都西葛西。ホワイト企業大賞色々受賞している。お給料が高くて年収 300 万を普通に超えて障害者の年金がストップした方もいる程ビジネスとして当たり前の即戦力で、機械を磨いています。皆様の会社で、コピー機、電話機など買い替
えありましたら、是非教えてください!市場価格の半額以下で買えます。保守もしっかりしています。
年末は、母と東京の式根島港周辺に遊びに行く予定です。良いお年をお過ごしください。来年(2019 年)もよろしくお願い申し上げます。(一般社団法人 ありがとうショップ 砂長美ん)
【連載コラム 『日々のなかから、』 <ライフワーク> Vol.45 八障連代表 杉浦 貢】
かねてより私が自分のライフワークとして思い定めているのは、いろんな人の前で話す講話活動...特に小中学校への講話なのですが...。そもそも学校訪問の活動を始めたのは『ぜひともあなたの言葉を子どもたちに届けて欲しい』と知人に言われたのがきっかけでした。いろんな人に背中を押されて、その気になって始めてはみたものの...自分自身で本当の自覚が芽生えるまでには、少し時間がかかりました。「どうせガキなんて、人の話聞かねえじゃん」「どうせ一生懸命話したところで、ガキが内容覚えてるわけがないよ」などと、今にして思うに、とんでもなく子どもさんたちに失礼なことを考えていたものでした。「自分は、学校の授業にスキマができたときの穴埋めに過ぎない」「ガキの頭に何かを吹き込んでみたところで、対して世の中が変わる訳でなし」とか...初期の頃はまだ不安も大きかったので、後ろ向きなことしか考えていなかったと振り返ります。そんな自分を変えてくれたのは...、『目の前の仕事に追われて、大切なものが何なのか分からなくなっている教師は多いです。子どもと接する時間が欲しくても、そうするだけの余裕がない。けれど杉浦さんなら、我々とは違ったやり方で、子どもたちに接することができると思います』という、講演先で出会った先生からの言葉でした。この一言の重みがあるから、今もどうにか活動を続けています。
しかし、最近また一つ、私の心を根元から折るような出来事が...悲しい事件が起こってしまいました。被害者が出て何かが変わるならまだしも、死人が出てさえ何も変わらない...。
学校でのイジメを苦にして自殺する子がいる。親に虐待されて命を奪われる子がいる。ちょっと近所を出歩くだけでも、鬼畜のような大人に攫われて傷つけられたり殺されたりする。学校現場に出向いて『人に優しくしよう』『自分を支えてくれる周りの人に感謝しよう』なんてことを子どもさんの前で語ったりするけれど、悲しい事件の報道を目にし、また耳にするにつけ...自分のやっていることに、はたして意味なんかあるんだろうか...と暗く虚しい気分になったりします。
自分に危害を加えてくるような知人や家族に、感謝などできるでしょうか。街で出会った親切な大人が...実は相手が誘拐犯、暴行犯、殺人犯の類いだったら? 『他人との絆を大切に』と話す私の言葉が...かえって子どもさんたちを苦しめるようなことになっていたら? そんなことを考え始めると...悪いものを食べて酷い胃もたれを起こしているときのように重苦しい気分になるのです。
しかし一方...それでも、私は自分のできる事をやりきるしかないんだろう...とも考えています。私の言葉は、今この時、教室でイジメを受けている子どもさんを救うことはできません。情の通じぬ家族に傷つけられている心を救うことはできません。街で出会った危険な大人から逃げる術を伝えるものでもありません。
今現在危難に見舞われている子どもさんに対しては、何の力もありません。しかし、私の話を聞いてくれた子どもさんたちが将来において、誰かを苦しめたり傷つけたりしないように、と訴えていくことはできます。『人に優しくしよう』・『周りの人に感謝』、被害者を護る事は難しくても...目の前の子どもさんを加害者にしない。未来の犯罪者を育てないための努力は、これからも続けていこうと思っています。
【連載コラム B 型肝炎闘病記 パオ 小濵 義久 闘病史 その 29】
強ミノを打ち始めて、肝機能値はずっと正常値を保ち、丸 2 年を過ぎたあたりからウイルス量も一桁を持続、「0」をも示すことが続き始めた矢先の 1994 年 9 月 26 日の外来の事だ。エコー検査でベテランの竹内 Dr がごく初期の癌を発見、検査後の熊田 Dr の診察で癌が出現している旨の宣告があり、手術しましょうと言われた。叔父の時は、癌宣告された高僧が明くる日に自殺したという例を挙げながら、癌の宣告もしなかったのに、俺の場合はいきなり手術かよと内心の突っ込みはめめしいばかりだった。頭の上から 20lほどの冷や水を浴びせかけられた感じもした。こんな小さなものをよく見つけたものだなぁ、さすが竹内 Dr だと感心していたが、いやはや何と申し上げて良いやら。こういう場合の入院は殆ど待たされることなく、すぐ入院となるのだが、仕事の段取りもあり、1 週間ほど待ってもらった。
この頃、B 型肝炎は東京都の難病指定を受けており、通院費とは別に入院費の助成手続きをしなければならず、26 日に申請書を持ち帰って作成し、27 日に
虎の門病院に届けている。手帳を見ると 26 日の夜は「徹夜」と記載されている。癌については B 型肝炎を発症したと判明してからいつか来る道と覚悟はしていたものの、矢張り下された宣告は重いものだった。こういう時はウヰスキーをちびりちびり飲みながら、明け方までジャズを聴いて過ごすのが私流である。できればシーヴァスリーガル 12 年ものがあると良い。初恋に破れた時もかなりの音響で朝まで聴いていたっけ。マル・ウォルドロンの「レフト・アローン」をオートリターンで繰り返し流していた。豊潤なウイスキーの香りが鬱屈した心のひだに染み入り、重厚な甘露のような液体が舌の上をゆっくりと巡り、喉ごしを過ぎる頃には頬が少し紅潮し、何もかもを洗い流すように胃の中へ落ちていくと、奥底に残っていた熾火に微かに火が灯されるような気がした。何とか今日も生きられそうだ。
パオを立ち上げて半年足らず、まだ補助金を貰っていない段階だったので、細かなことについての心配はなかった。作業所運営 ということについてはベテ
ランの渡邊啓二氏に開所以来助けて貰っていたので、安心して留守番を頼めた。週 1日携わっていた企業相手の電話相談はピンチヒッターを仲間に頼んだ。「みんなちがってみんないい」のイベントが 10 月 2日に決まっていた。「みなちが」のイベントを終え、パオの留守中の段取りも終えた 10 月 5 日に入院した。ひと通りのいつもの検査のほか、アンギオという血管造影検査を初めて体験した。太腿の動脈からカテーテルを挿入し、癌組織の近くまで延ばした切っ先から造影剤を注入しレントゲン撮影を行うもので、手術時と変わらないような事前準備があり、手術室で行われる検査には幾分かの緊張を覚えた。手術台の横に設えられたモニターがあり、医者はそのモニターを見ながら操作している。細い血管とその中を手探りするように進んでいくカテーテルがくっきりとモニターに映っていた。局所麻酔のお陰で痛みは感じなかったが、所々で強い違和感を感じ身体が強張った。だが、それより大変だったのは術後だった。切開した動脈部分からの出血が起きないように、添え木のようなものを入れた圧迫包帯で切開部分を強く縛り、右足がベッドに固定されたまま 7~8 時間を過ごさなければならない。寝返りも許されなければ、上体を起こすこともできない。そのままの寝姿で 2 時間も経つと、背中やお尻に鈍い痛みを感じるようになり、段々痛みが強くなって来る。自由が利く左足を使って身体を少し浮かせる位しかなす術はなく、そんなことをしても状況は変わらず、ただひたすら耐えるのみ。まるで拷問である。なんと切ないことか。なんまいだ。思わず口から飛び出した。(次号へ続く)
通信本文はここまで。