道路公団民営化のむなしさ 10月1日

今日10月1日から、道路公団が、ついに民営化された!!いつ私たち国民が同意したのかよくわからぬままの民営化だ。猪瀬氏らが、必死に格闘していた姿は、頻繁にメディアにとりあげられていたが、結局、民営化の是非そして影響力については、明確に知らされないまま、今日、さしたる異議のないまま民営化されたのだ。

東西中と分割された道路公団だが、JRのように会社をまたいだからといって通行料金が引き上げられることはなさそうだ。いまでこそ高額な高速道路の利用料金なのだから、当然のこと。

道路公団で一番の問題点は、度重なる天下りの問題だ。今日から民営化されたと言っても、直ちに天下りがなくなるわけでは決してない。むしろ、これまでは「官」の立場であった分、批判をかわすべく自重してきた面も大きかったに違いないが、民間になった途端、国民の監視の目を、むしろ潜り抜けやすくなってしまったといえる。

今まで以上に、遠慮なく天下りを繰り返し、退職金を次々と掌中に入れる・・・。更には、「官製談合」は取り締まられるどころか、益々自由奔放に繰り広げられる・・・。官のままなら副総裁を逮捕できても、民間になってしまったら、談合さえも取り締まることができなくなるのだ。

無意味に高速道路を建設する必要性を、誰も認めない。むしろ道路公団は、この際、廃止すべきだったのだ。本当に必要な高速道路ならば、直轄の公共事業として国が取り組めば良いし、第一、高速道路の料金は、限りなく無料化を目指すべき類のものだ。7兆円に及ぶ道路特定財源は、当然のこととして一般財源化し、特に、不必要な道路に偏って投入しないこと!!まだまだ未整備な生活道路は、身近に沢山ある。

更に、道路公団の借金40兆円(利息を含めて60兆円)は、道路特定財源から毎年2兆円ずつ返済すれば、30年で完済できるのだ。孫子の世代の国の財政の健全化を真に望むなら、道路公団の借金の返済は、着実に実行していかなければならない課題だ。

身近に存在する高速道路、本当に有意義な存在だろうか?バイパスと平行して走ってはいないか?更に、農免道とも平行してはいないか?国土交通省と農水省とが別個に管轄する道路が隣接することの整合性は、いったいどのように説明されるのか!?いつまでたっても高額な高速道路の利用料金を、徴収され続けてはいないか!?考えれば考えるほど、実はきりがないほど無駄が多いのが、道路公団の実態だった。

国民に真実を知らしめることもなく、いかにも「民営化」の旗印のもと、肯定的にとらわれがちな道路公団民営化だが、実際には、今まで以上の不正が横行する可能性を秘めている。このままで、本当に良いのか???真面目を決め込む猪瀬氏のパフォーマンスに、私たち国民は惑わされてはいないか!?今一度、冷静になって考えてみる必要がある。
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それでも靖国神社を参拝する? 9月30日

ついに大阪高裁が、小泉総理の靖国参拝に、違憲の判断を下した。体制に迎合することなく、国民に正義を知らしめんとした裁判長の勇気は見事。裁判長のこの重大な決断に敬意を表し、小泉総理も思慮を深めて欲しい。

小泉総理は、過去に何度となく「靖国参拝は公約だ」と公言している。それこそまさに、自ら違憲を認めていることに他ならない。公用車で乗りつけ、内閣総理大臣小泉純一郎と記帳し、靖国参拝は公約だと宣言している以上、たとえ3万5千円の献花料が私費であったとしても、「私的参拝」にはならない。

何より今回は、その判決理由が際立っている。「小泉総理は靖国神社と、意識的に特別の関り合いを持った。国は靖国神社を特別に支援し、他の宗教団体と異なる印象を与え、それは特定の宗教に対する助長・促進に値する」とし、憲法20条3項に違反すると結論づけている。過去に類を見ないほど、明快な判決理由だ。

事実、靖国神社は、非常に偏った宗教観念を持っている。戦没者を選別した上に、等級を付けて合祀することは、靖国神社の偏狭さを顕著にあらわしているし、そもそも、日本軍の侵略および植民地支配を、反省するどころか、むしろ正当な戦争であったと主張する靖国神社は、利己的で独善的すぎる。

アジア外交がここまでこじれてしまった最大の責任者は、間違いなく小泉総理だ。総理の任期が切れれば責任が問われなくなる気安さからか、小泉さんは浅はかにも靖国参拝を続けてきた。そのあまりにも無責任で傲慢な態度に、大谷正治裁判長は、どうしても一石を投じたかったのだろう。アッパレだ。

原告が上告するとは思えないので、この違憲判決は確定する。総理大臣自らが、憲法違反を平気で行うことは、特に若い世代の人々に大きな悪影響を与えかねない。勿論、権力にものを言わせ、総理大臣なら何をやっても良いということにもならない。小泉総理は、今日の判決を厳粛に受け止めて、憲法に抵触しないよう、総理在職期間中は靖国参拝を慎むべきだ。

そして一刻も早く、世界中のすべての人々が参拝できる、戦没者を差別しない公平公正な国立の追悼施設をつくるべきなのだ。何にもまして早急に実行しなければならない日本の公共事業が、靖国神社に代わる国立の追悼施設の建立なのだ。高速道路や空港建設、干拓や利水ダムに税金を投入する余裕があったら、最優先に取り組むべき課題がこれだ。靖国神社の代替施設の建立は、国際社会の一員としての日本の使命でもあるのだ。

一宗教法人である靖国神社が、どのような主義主張であろうとも国には関係ない。しかし、靖国神社が、独自の戦争観を時の政府に押し付けたり、また小泉総理がそれをアジアの人々に押し付けることは、明確な憲法違反に値するのだ。裁判所の判決を、真摯に受け止めるだけのしなやかな精神を、小泉総理には望みたい。
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