中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は26日、改正国防法に署名した。中国の国益が脅かされたと判断した場合などに軍民を総動員して対抗できる態勢をとる狙いがある。米国の経済制裁なども意識し、強軍路線を進める方針とみられる。
中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会が26日に同法を可決した。11年ぶりの改正で、2021年1月1日に施行する。21年1月に発足するバイデン次期米政権を意識した可能性がある。人民解放軍が守る対象として国家主権や領土などと並び「発展利益」を明記した。「発展利益が脅威にさらされた場合に全国または一部の動員を進める」と盛り込んだ。
発展利益の具体的な定義は書かれていない。習氏は10月の演説で、朝鮮戦争で中国が北朝鮮を支援して米国と戦った歴史を振り返り「われわれは決して国家主権、安全保障、発展利益が損なわれるのを座視することはない」と述べた。経済制裁も発展利益の侵害ととられかねないとの懸念が出ている。東大の松田康博教授は「発展利益の定義があいまいで、拡大解釈につながる危険性がある。軍が暴走するきっかけにもなりかねない」と指摘する。
トランプ米政権は中国に制裁関税を課し、中国最大の通信会社、華為技術(ファーウェイ)の排除などを進めてきた。中国専門家はバイデン次期米政権による強硬策をけん制したとみる。国防法は中国の安全保障の基本法。共産党が軍を指導すると明記する。
(*日経 記事より)写真:改正国防法に、人民解放軍が守る対象として国家主権や領土などと並び「発展利益」を明記した . . . 本文を読む