日々の移ろい

寝た切りの人の尊厳

今年の七月初めまでは、
父は私の介助で 入浴もしていた。

お風呂迄ベットから歩き、私に脱がせられ、
介助して、浴槽を跨ぎ、気持ち良さそうに 湯船に浸かっていた。

いつも 有難うと笑顔でいた。


それから、急に、立てなくなり、
歩けなくなり、身体を起こす事も、

今では、ベットの上で向きを替える事さえ出来ない。

便もどちらも、出た!とも言わず、

この二三日は、呆けて居るのか?
変な事を口走しってばかり。

勿論食欲もなく、
三度の食事も、ほんの少しだけ。

口に運んでも、もういい!と しかめっ面で 言う。


懸念していた明日からのショートステイも、今のところ心配なく 行ってくれそう。

明日から5日間 好きにできる!
と、母は 早くホッとしたいであろう。


寝た切りの父に、今は尊厳なるものもない。

介護する母にとっても、
煩わしい存在になっている。

それでも、やはり古い時代の女性(^^)
時には 夫を立ててみたり。

父と母の立場が 反対の立場だったら、
父は母の介護を こんなに丁寧に 出来たであろうか?

反対の場合だったら、
父一人に任せられなく 今以上に私の出番があったか?
又は 早々に介護施設に入所していたと思う。

懸命に奥様を介護されて居る優しい男性も、居られる。


いつも 父は母に ブツブツ文句を言っている。

何も出来ないのに何を言うか!
と、私は覚めた目でいる。


介護を受ける人にも尊厳がある、
と、わかっているけれど、


母や私にも、感謝の言葉なり、素ぶりさえ見せなくなった 怒った様な表情の 近頃の父には、

夏前まで抱いていた 親への恩返しという介護観も、何だか薄れていく。

というより、このまま永らえるとなると、義務的な対応になるのも止むを得ない。
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