カメラ大好きおばあちゃん

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知れば楽しくなることばのお話  神永 暁(小学館国語辞典編集部)

2017年09月08日 | その他
夜景をUPした際に 「暮れなずむ」 という言葉が頭に浮び、「辺りはすっかり暮れなずんで‥」 と使おうとしましたが、「なずむ」の意味が今一つはっきり分からなくて調べました。
以下 神永 暁氏の日本語、どうでしょう?からです。

この言葉を聞いてすぐに海援隊の歌を思い出した方も大勢いらっしゃると思う。その歌は筆者が辞典の世界に飛び込んだ頃に流行っていて、編集部内で「日本国語大辞典」(初版)に項目はあるが用例のない語だということでしばしば話題になった記憶がある。
この「暮れなずむ」に少し前から本来なかった意味が加わりつつあるようなのだ。どういうことかというと、例えば「公園はすっかり暮れなずんでいた」といった使い方である。
「暮れなずむ」は、日が暮れそうでなかなか暮れないでいるというのが本来の意味である。ところが「公園は~」と言う文章は「すっかり」という副詞が曲者なのだが、 「日が暮れてしまった」という意味になってしまう。「暮れなずむ」は、暮れるという変化や事態の進行を表すことばではないのである。
そもそも「なずむ」とは何かというと「日本国語大辞典」によれば、 人や馬が前へ進もうとしても、障害となるものがあって、なかなか進めないでいるという意味である。そして、それから転じて物事がなかなかうまく進行しなくなるということを表すようになった。漢字を当てるとすると「泥む・滞む」となる。つまり、「暮れなずむ」は「暮れる」状態がなかなか進まないといった意味合いなのである。
従って「暮れなずむ空」「暮れなずむ山々」といった言い方が最も適切で、「春の日は暮れなずんでいた」 のような場合でも、 暮れそうで暮れないという状態を意味しているのであれば正しいということになる。
海援隊の贈る言葉の歌詞は典型的で分かりやすい例なので、 それを覚えていれば使い方を間違えることはないであろう。
海援隊 贈る言葉 「暮れなずむ町の 光と影の中‥‥」