介護の技術・知識のまとめ

研修で学んだこと、職場で経験したことなどをまとめた場所です

摂食嚥下の5期

2021-03-21 19:28:04 | 介護の基本

摂食嚥下の5期

  1. 先行期(認知期)
    食物の形や色、においなどを認知する時期。条件反射的に唾液が分泌され食事の準備が行われる
  2. 準備期(咀嚼期)
    食塊を整える時期。捕食、咀嚼、食塊形成の3段階がある
  3. 口腔期
    食塊を口腔から咽頭へ移送する時期。移送は主に舌で行われる
  4. 咽頭期
    食塊が咽頭を通過する時期。軟口蓋が鼻腔を閉鎖し、喉頭は舌骨上筋群により引き上げられ挙上する。食塊が咽頭に入ると、舌骨が咽頭後壁に押し付けられ、咽頭に蠕動運動が生じ、喉頭蓋が反転して喉頭の入り口を閉鎖する
  5. 食道期
    食塊が食道入口部から胃へ移送される時期。食塊が食道に入り込むと、蠕動運動、重力、腹腔内圧によって胃へと移送される

口腔期から食道期を「嚥下3期」と呼び、嚥下運動を示している

咽頭期と食道期の動きは、嚥下反射で行われる


誤嚥の防止

2021-03-21 18:22:54 | 高齢者に多く見られる症状・疾病

口腔ケアの重要性

  • 食後のブラッシングやデンタルフロスによって食物残渣を取り除く
  • 口腔清掃で歯垢の付着を少なくする
  • 口腔ケアによって、細菌を含んだ唾液、痰、歯垢などを睡眠中に誤嚥することで起こる不顕性肺炎を予防できる
  • 口腔の清涼感から食欲増進にも良い効果を発揮する
  • 食事をとらなくても口腔ケアは怠らないこと

誤嚥予防のための調理の工夫

  • とろみをつけて、食塊がまとまりやすくし、流れるスピードをゆっくりにすることで、喉頭蓋がしっかり閉じてから食道に入っていく
  • 1回の摂取量が少なすぎてもむせるので、適当量を観察しながら食事介助をする

 


下痢の症状とケア

2021-03-21 18:15:25 | 高齢者に多く見られる症状・疾病

急性下痢(一時的な下痢)

  • ストレスや暴飲暴食、食べ物のアレルギー、薬の副作用(下剤など)、感染によらないもの
  • ウイルス性の下痢
    ノロウイルスは強力な感染力があり、予防のための手洗いや消毒を徹底し、医療機関を受診する
    ノロウイルスにはアルコールは効かないので、次亜塩素酸ナトリウムで消毒する
  • 細菌性の下痢
    メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)。抗生物質治療を受けてきた入院歴のある高齢者に多くみられる

慢性下痢(4週間以上続くもの)

  • 消化管の病気や全身性疾患が原因

ウイルス性や細菌性の下痢は、体の外に有害なものを排出する必要があるので、下痢止めでむやみに止めないこと

 

下痢への対応

  • 観察
    排便回数や便の形状、混合物の有無、腹痛や嘔気・嘔吐、飲食物の確認
  • 心身の安静と保温
    下腹部を温めることで腹痛などの症状を緩和し、自律神経を整えることができる
  • 水分補給や食事
    脱水予防のため、口からの摂取が可能ならば、白湯、常温のスポーツドリンクなどを少しずつ補給する。食事は下痢が止まってから
  • 皮膚の炎症防止
    下痢の水様便は消化酵素を含んでいるため、肛門周囲の皮膚が炎症を起こしやすくなる。排便後は洗浄または肛門清拭剤をつけたやわらかいティッシュで押し拭きする
  • 医療職への報告
    診断・治療につなげる
  • 感染拡大防止
    細菌・ウイルスによる集団感染が起こる可能性があるため、標準予防策(スタンダード・プリコーション)に準じた対策を実施する。感染症が拡大した場合は、医療職、管理者の指示のもとに、職員全員の対応で感染拡大を防ぐ

 


便秘の症状とケア

2021-03-21 18:06:26 | 高齢者に多く見られる症状・疾病

便秘の種類と原因

  • 器質性便秘
    大腸などの病気が原因で、大腸が部分的に狭くなるなど、便が通過しにくい状態により起こる
    血液が混じる場合などに疑われる
    高齢者では大腸がんが原因になることが多い

機能性便秘(腸の動きが悪いもの、排便のタイミングやプライバシーのなさといった環境によるもの)

  • 弛緩性便秘
    大腸の蠕動運動が低下することで起こる
    食物繊維の摂取や適度な運動をする
  • けいれん性便秘
    大腸の過緊張によって便がうまく運ばれない
    ストレスが関係していることが多く、精神的なケアを並行して行う
  • 直腸性便秘
    便が直腸に達しても排便反射が起こらずに便が停滞する。腹筋が弱く腹圧をかけられずに排便できない
    食後に便意があってもなくてもトイレに座るといった行動療法をする
    排泄困難な場合は、摘便、浣腸、座薬によって直腸内の便を除去する

排便反射(便意をもよおす反射)は短時間で便意が消えてしまう。15分程度と言われるので、便意の訴えがあったらすぐにトイレ誘導する

 

便秘のケア

  • 食物繊維の多い食事(水溶性食物繊維、きのこ、海藻など)
  • 乳製品
  • 水分摂取
  • 散歩などの軽い運動
  • 排便時の姿勢
    軽い前傾姿勢で直腸から肛門を直線になるようにする。足を上げるように台を準備する、台がない時は踵を少し上げる。背中はまっすぐ
  • 「の」の字マッサージ
    腸の流れる方向に沿ってマッサージ。貯まった便を押し出すように強く押しながら
  • 緩下剤(内服薬)
  • 排便のタイミングやプライバシーの確保。排便しやすい環境整備
  • 便意がなくても決まった時間にトイレに入って座ることで排便習慣をつける
  • 活動性を高める軽い運動
  • プライバシー確保や清潔保持など、排便しやすいトイレの環境を整える

 

 


掻痒感(かゆみ)の原因疾患

2021-03-21 14:56:43 | 高齢者に多く見られる症状・疾病

皮膚症状は高齢者の5人に1人と言われているが、実態はもっと多いとされる

皮膚そのものに原因がある

  • 皮膚掻痒症
    発疹などはなく、かゆみだけが強い。見た目に大きな違和感がなければ、皮膚掻痒症の可能性が高い
  • 皮脂欠乏性皮膚炎
    保湿(ローションよりクリームがよい)、抗ヒスタミン剤(かゆみ止め)(副作用として眠気が出る)、高齢者にとても多い
  • 接触性皮膚炎
    おむつかぶれや湿布、塗り薬などが原因
    おむつ内の清潔の保持など、原因を取り除く。ワセリンや亜鉛華軟膏を使う
  • 脂漏性皮膚炎
    皮脂腺の多いところにたかるカビの一種が原因。抗菌作用のあるシャンプーや石鹸で洗う
  • 白癬
    カビが原因、いわゆる水虫
  • 疥癬
    ダニが原因。ダニが皮膚に寄生し伝染する。かゆみが強い

皮膚以外の要因による

  • 内臓疾患によるかゆみ
  • 代謝性疾患によるかゆみ
  • 薬剤による薬疹