介護の技術・知識のまとめ

研修で学んだこと、職場で経験したことなどをまとめた場所です

障害の受容プロセス

2021-03-24 15:24:49 | 介護の基本

障害の受容プロセス

  1. ショック期
    発病の直後で集中的な医療とケアを受けている時の心理状態。肉体的には苦痛があっても心理的には逆に平穏で、感情が鈍麻した無関心な状態。現実に起こっていることが自分ではないような状態
  2. 否認期
    身体的状態が安定して、そう簡単には治らないらしいことが本人にも少しずつ分かり、心理的な防衛反応としての病気の否認が生じる時期
  3. 混乱期
    現実が圧倒的過ぎて、病気が完治しないことを否定しきれない時期
  4. 努力期
    前向きな努力が主になる時期。外向的な攻撃では結局問題は解決しないことに気付く時期
  5. 受容期
    最後に価値の転換を完成し、患者は社会や家庭の中で何らかの新しい役割や仕事を得て、生活に生きがいを感じるようになる時期

人によって障害の受容までの時間は変わる

これらの段階を進んだり戻ったりしながら、最終的な需要に進むとされる

 

利用者がどの段階にいるのかを考えて介助をすること。段階に合った向き合い方が大切


運動機能障害の生活の理解

2021-03-24 15:18:48 | 高齢者に多く見られる症状・疾病

運動機能障害の心理的特徴

  • プライバシーに関わる場面で困ることが多い
  • いつの時期の障害なのか、その人の価値観、社会的立場などで影響が大きく変わる
  • 障害を受け入れているかどうかでも違う。時間の経過で受容できるわけでもない

生活上の困難を理解する

  • 「できないこと」に目を向けるのではなく、「できること」を見つけること
  • 日常生活のどの場面に困っているのか理解して支援する
  • 信頼関係の構築が重要

 


聴覚・言語障害の生活上の理解

2021-03-24 15:15:35 | 高齢者に多く見られる症状・疾病

生活上の困難を理解する

  • いつの時期の障害なのかで違う(生まれつき、中途、など)
  • 情報が入りずらいし、発信しずらい。発話機能が正常でも、入る情報が理解できないと話しずらい
  • 日常生活のどの場面に困っているのか理解して支援すること
  • 信頼関係の構築が重要

会話場面での工夫

  • 会話を急かさない
  • 自然さを損なわない程度に、ゆっくり、はっきりと話す
  • 表情が分かるように正面から話す
  • 表情を豊かにし、身振りを交える
  • 口の動きが読み取りやすいように、マスクを外す(ただし、感染対策に配慮すること)
  • 静かな場所で話す
  • 複数の人がいる場合は、、1人ずつ話す
  • 内容を推測しやすいように、話題を教える
  • 文字にしながら会話する
  • 補聴器や人工内耳を使用している場合は、正しく装用できているか確認する

 


視覚障害を起こす主な疾患

2021-03-24 15:09:55 | 高齢者に多く見られる症状・疾病

白内障

  • 水晶体が紫外線などの影響で白濁し、徐々に視力が低下する
  • 白っぽく見え、夜光がギラギラ反射して見える
  • 視神経が委縮する前に水晶体の白濁を除去し、人工的な眼内レンズを入れ視力を回復させる

緑内障

  • 眼圧が上昇する病気。液体の出入バランスの不調で眼圧が上昇し、視神経を圧迫して視野や視力が悪化する
  • 白っぽく視野が抜けて見えなくなってくる
  • 視神経が委縮し、視力障害や視野障害、突発性緑内障では完全失明の危険もある
  • 初期には眼圧の上昇による頭痛や目の痛みが主症状として見られる
  • 視野狭窄が唯一の症状である「正常眼圧緑内障」が増加している

網膜色素変性

  • 幼児期に夜盲が見られる
  • 成長するにつれ、視野が周辺部から障害を受け、中心部に向かって視野の障害が進展する
  • 最終的に完全に失明することもある

視神経萎縮

  • 先天性のものや、頭部外傷や脳腫瘍などによるものがある
  • 中心暗点があり読書や細かい作業が不自由になる
  • 薄暗く見えて色の区別がはっきりしない

糖尿病性網膜症

  • 網膜の血管に異常をきたし、出血や網膜剥離を起こし、視力の低下を引き起こす
  • 血糖値のコントロール状態によって低血糖や過血糖を引き起こし生命の危険を伴うこともある

ベーチェット病

  • 原因不明の指定難病
  • ぶどう膜炎、口内炎、陰部潰瘍、皮膚の紅斑、関節痛、消化器症状、発熱などの症状が出る
  • 網膜の出血や浮腫が現れ網膜剥離を引き起こし、失明することもある

黄斑変性症

  • 物を見る時に像を結ぶ網膜上の場所を「黄斑部」という
  • 黄斑部の細胞壊死、変性によって視力が低下する
  • 中心暗点や、歪んで見えるなどの症状がある
  • この疾患による失明者が増加しているが、原因も有効な治療法もまだ確立していない

 

片目だけ疾患にかかることがある。その場合、両目で日常は見ているため、症状に気付きにくいことがある。時々、片目ずつの見え方を確認する必要がある(特に緑内障と黄斑変性症)


視覚障害の生活上の留意点

2021-03-24 14:48:22 | 介護時の観察ポイント

視覚障害者の移動の介助

  • 介助者の腕を持ってもらって移動介助する方法が基本
  • 会話時は、正面から行う。むやみに体を動かすと方向感覚、平衡感覚が狂う
  • 安全が優先された介助が必要

視覚障害者のコミュニケーション方法

  • 手段も心理的プロセスと関係している
  • 介助者が伝えたいことは、情報をより具体的に言語化する。「あれ」「それ」はダメ

視覚障害者の日常生活の介護

  • どの場面に困っているのか理解して支援する
  • 信頼関係の構築が重要

中途視覚障害者の心理的プロセス

  1. 失明恐怖の時期
    目の症状が治るかどうか、このまま失明してしまうのではないかなど、失明に対する恐怖を抱き、しかも生活への不安を持ってしまう時期
  2. 葛藤の時期
    将来の生活設計に見通しを立てられず、失明による精神的な打撃が最も強い時期。失明直後の時期でもあり、視覚障害という衝撃から自分を守ろうとするために、感情の表出がなくなり、自分を取り巻く周囲の刺激から逃れようとする
  3. 生活適応の時期
    見えないという現実を直視し、生きる意欲を見出そうとする段階。視覚障害から派生する日常生活の不自由さを克服するために、生活訓練を受けて、移動能力や日常生活技術、コミュニケーション能力などを獲得する段階でもある
  4. 職業決定の時期
    果たして職業について経済的に安定した生活を取り戻せるかどうかなど、将来の生活を具体的にどのようにするか悩む段階
  5. 職業獲得の時期
    職業についてから、現実の様々な困難を克服しながら、自分の経済的な基盤を確保する時期。見えないことからくる自分に対するいら立ちや社会の対応への不安を抱くこともある