サロン・風変わりな人材開発の宴 

人の育成について、色々な視点から書いていきます。これは、体験記であると同時に、次の人材開発施策に対するトライアルです。

稀勢の里は、かつての稀勢の里ではない。心、そして夢・・・

2017年03月27日 19時04分23秒 | スポーツ
横綱・稀勢の里が逆転優勝しました。一年前はなかなか優勝できず、精神面が弱いといわれていたのですが、どうでしょう。もうそんなことはございません。

心・技・体がそろうのが基本ですが、今回、肩の怪我があり、そこを心と技で補った。本割では立ち合いに珍しく、右に左に変わる技(最初は待ったでしたが)がありました。左肩がダメでも、動くという戦法。多分、技もそうですが、心のほうに相当比重がかかったと思いますが。

休場してもよかったと思います。翌日から休めば12勝1敗2休み。これだけでも立派です。

しかし、優勝。本人曰く。「自分でも考えられない力が出た」これも心がそうさせたのでしょう。

心。

心。

心。

どうしたらよいのでしょう。
我々企業人が、心を鍛えるには、どうしたらよいのでしょうか。

根性・執念に頼ってはだめだと思っています。

稀勢の里が優勝した3時間後、「メーカーズⅡ」というドラマをやっていました。国産初の自動車を製造・販売したサクセス・ストーリーてすが、ここで語られている重要な語句は「夢」。










特別号:稀勢の里の優勝に思うこと ⇒ 「精神面が課題」?

2017年01月22日 19時29分00秒 | スポーツ
大関・稀勢の里が優勝しました。横綱も確定ですね。おめでとうございます。
これまで「あと一歩」という機会が何度もありました。その度に、「ここ一番の勝負に弱い」といわれ、精神面の強化を指摘されてきました。

あんなに強いのに、プレッシャーや緊張で普段のように身体が動かなくなる。それを乗り越えたのが今場所。

こういう見方は不適切かもしれないですが、「精神面の弱さ」という指摘をしすぎると、本人もそう思ってしまうのが怖いです。これは稀勢の里に限りません。

私は、稀勢の里は「慣れてきた」という一面があるのではないかと思っています。昨年は、初場所から準優勝の連続。それは周囲からみれば残念ですが、毎場所優勝に絡んだことで、良い意味で勘所が掴めて来たのではないかと思っています。

社員もそうです。若い人をみていて、「精神面が弱い」と思うことはあるでしょう。
しかし、機会を与え、更に増やしていく中で、慣れて成果を挙げ、育つのではないでしょうか。



ラグビーの選手はラグビーが上手である前によい人間であること。企業人も学ぶものがある。

2017年01月10日 14時57分35秒 | スポーツ

帝京大学ラグビー部が8連覇を果たしました。前半20分まで14-0と劣勢でどうかと思いましたが、戦法の注力を東海大が挑むスクラム・フォワードからバックスに展開して前半を同点で折り返し、後半20分には立て続けにトライを奪い、33-26で逆転しました。

もう少し詳細に語ると、昨日の試合、帝京大はフォーワードが不利とわかると、バックスに展開。しかし、一昨日来の雨でグラウンドが柔らかく、バックスでパスをして走り回るラグビーも最初はもうひとつだった。濡れたボールは滑りやすく扱いにくかったが、勝負を賭けた。そして、攻撃のバリエーションを色々変えて走り回っているうちに、だんだん東海大の選手のスタミナが切れていくのが分かった。東海大は、帝京大が休みなく攻撃し続けることに防戦しているうちに、「考える時間」の余裕が乏しくなったのではないか。アナウンサーが、何度もインプレー中に「東海大のバックスラインがそろっていません」と言っていた。確かに、東海大の防御システムは崩れた。優れているチームは防御のポジショニングもしっかりして、攻撃に転換する際の態勢も考慮しているが、それができていなかったため、ボールを奪っても効果的な攻撃に展開できることが難しくなった。もちろん。普段の東海大ならできていただろう。

ラグビーは、野球のように1球毎にベンチやコーチのサインを確認して、打つか見送るかという「指示を待つ」ということはしません。基本は選手が考えて対応します。

昔の帝京大のラグビーはもうひとつでした。それを現在の岩出監督の指導で強くしました。その際に、ラグビーの強化もさることながら、人間としての成長を第一に掲げ、地域の清掃や子供たちへの指導も行いました。合宿所の掃除も4年生~1年生関係なく行う。素晴らしい人間教育です。

ラグビーの選手はラグビーが上手である前によい人間であること。企業人も学ぶものがあります。







箱根駅伝における敗戦を予言した言葉から考える

2017年01月06日 00時47分56秒 | スポーツ

勝った青山学院大学の一方で、負けた大学は19校。
その中で、去年のある大学4年生が、昨年の箱根駅伝の直後に語った言葉が印象的でした。

「今の〇〇〇では、、、、」 ⇒ さて、どんな言葉が入るでしょうか。

答えは「下級生」です。「今の下級生では、(勝てない)」と言いたいのだと思います。

素人判断では、「戦力的に弱い」ということでしょうが、この主将が言いたいことは、それ以上のことだということが、今回の駅伝を見て分かりました。

長距離走というものは、努力に比例して成績が伸びる種目と言われています。つまり、下級生の努力不足で結果が出ないことを予想した言葉だと最初は思ったのですが、実は、それは下級生の意識を不安視した言葉だったということがわかりました。

昨年のいつの時点が不明ですが、その下級生たちはこんな感想を持ったそうです。
「歴代の先輩たちの偉大さがわかった」と。

つまり、去年の駅伝が終わった段階では、この下級生たちは、自分たちの甘さに気づいてはいなかったのですね。

日本人の美徳?とされる協調性が悪い方向に働くと、こういうことが起きることがございます。精神的な支柱となるリーダーがその学年にいれば打開できたかも。ここでは、伝統と言う言葉も古語になってしまったのかもしれません。

3年前、日本体育大学が箱根駅伝に優勝した時の主将は3年生でした。素晴らしい主将でした。
また、今年の箱根には出ませんでしたが、1年生が主将と言う大学もございました。

もう、年功ではないのです。もう少しいうと、若いから良い、高齢だからダメではないのです。
そして単に実力だけでもなさそうです。

勝った青山学院大学から学ぶことは多いのですが、しかし、負けた大学からも学ぶことは多かった今年の箱根駅伝でした。










青山学院大・原監督は「H型人材」 これからの人の育成のあり方のひとつ。

2017年01月03日 19時12分18秒 | スポーツ
お正月恒例の箱根駅伝。青山学院大学が三連覇。見事ですね。

私は、原監督の著作を読んだり、講演を聞いたことがあります。その中でご紹介頂いた目標管理、コミュニケーションの取り方は、原監督が会社員時代に習得したそうですが、今の日本企業のお手本といえます。原監督の指導は、体育会系によくある「根性論」「厳格な上下関係」とは異なります。

 原監督は箱根を走った経験はないです。選手としてもうひとつ。しかし、引退後、営業職としての成果がすごかった。その経験が今日の育成、戦い方に生きているようです。 

 よく、スポーツで「名選手、名監督ならず」といわれますが、従来の意味では「自分ならできるのに」という比較論が失敗の素になったり、「過去の教訓」ではなく「過去の栄光」から語ると選手の士気が上がらない等、そういうことが原因で生まれた言葉と思います。

 原監督の場合、「陸上競技一筋ではない」ところ。というより、陸上競技以外に得意とする専門分野があり、そこで得た教訓を陸上競技に活かしました。それが斬新です。

 人財開発の本を読むと、たまに「T字型人材の育成が大事」と書いてあります。一つの専門分野とその周辺の知識を兼ね備えていることが重要と言う意味です。この背景には、ひとつの狭い専門分野しか持たない「I字型人材」の危うさから来ています。

 私は、原監督は「T字型人材」でとらえてよいのか考えました。敢えてアルファベットで語るなら、「H型人材」ではないかと。つまり、敏腕営業担当者の経験を、大学の駅伝に活かしたこと。ある一本の「I」の経験値を他の分野につなげて、もう一つの「I」を作ったこと。

これぞ、まさに、「H型人材」ではないかと思いました。