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漫画「東京喰種」の魅力

2014-07-12 21:46:23 | 読書
週刊ヤングジャンプで好評連載中「東京喰種」。今私が最も好きな漫画です。アニメ化もされて今後さらにネット上でのレビューが増えると予想されます。そんなタイミングではありますが、好きなので語ります。あらすじも書くので一応ネタバレ注意となります。

舞台は現代の東京都。現実世界と違うのは喰種(グール)と呼ばれる人を食べる生き物がいること。そして彼らは人間と同じ格好をしており、人間社会に溶け込んで暮らしているということです。
主人公は都内の大学に通う金木研(19)。読書好きな普通の人間です。彼には意中の女性がいました。同じ行きつけの喫茶店に通い、同じ読書の趣味を持つ神代リゼです。ある日彼は、彼女が自分と同じ本を読んでいた事をきっかけにデートをする事となりました。その帰り道、彼らは人気のない場所へ行き、いい雰囲気になります。
「金木さん、実はずっと貴方を見ていました」
頬を赤らめて金木を見つめるリゼ。そして
「貴方を・・・食べたかった」
なんと彼女はグールでした。赤く染まった目、通称赫眼(かくがん)を現し、金木の肩の肉を噛みちぎります。背中から突き出てきたのは爪の様に尖った4本の触手。喰種特有のカグネと呼ばれるそれで、金木の体は貫かれました。そのまま投げ飛ばされ、工事中のビルの壁に激突し、大量の出血をする金木。臓器も潰されたようです。迫り、とどめを刺そうとするリゼ。その時、突然ビルの上から鉄骨が落ちてきて、リゼは下敷きとなり絶命しました。騒ぎを聞いて駆け付けた群衆。病院へ運ばれる二人。そこで、金木はリゼの臓器を移植され命を取り留めます。意識を取り戻し、目を開いた金木。その左目はリゼと同じ様に赤く染まっていました。これは半喰種となった彼の悲劇の物語。

これが出だしの一話です。この東京喰種、ファンの方々から「序盤は地味」、「金木が覚醒した後から面白くなる」という声が聞かれます。と言うのもこの金木君、後の展開でちょっぴりハードな目に遭って覚醒します。その覚醒以前と以後で作品の評価が変わっているのです。しかし私は作品が面白くなったというより、金木の世界に対する姿勢が変わっただけなのだと思っています。中身はどちらも変わらず理不尽な世界の中で必死にもがく金木研の物語です。
「人間しか食べる事ができない、でも僕は人間だ!」「喰種に襲われる!喰種を倒す捜査官の人にも襲われる!」そんな感じで、喰種の世界に放り込まれ、欺かれ、翻弄され、苦しむ彼の、いわば独白が物語序盤の主軸です。舞台は真っ暗。スポットライトが当たっているのは、ひたすら金木です。しかし覚醒後、彼は「自分が、この世界をおかしくしている芽を摘む」と意識を変えます。主人公の視点が世界に広がると同時に、物語の舞台全体に一気に光が照らされます。物語の題材が「葛藤する主人公」から「葛藤しながら世界と向き合う主人公」へと転換するのです。
これはよくあるウジウジした主人公の漫画ではありません。苦しみながら、前へ進もうとする主人公の漫画です。別の漫画の話ですが、社会現象になった「進撃の巨人」は、簡単に人が殺される理不尽な世界で必死に戦う主人公達の姿が鬱屈した社会に生きる視聴者の心を掴んだのだと思います。社会現象を起こす作品は、現代社会が求めているメッセージを映し出す。そして、東京喰種も進撃に負けないだけのポテンシャルを秘めていると信じています。だからこそ私はいちファンとして「アニメ成功してほしいなー、丁寧に進行してほしいなー」と考える訳です。また、原作の絵は荒々しさと繊細さが同居して非常に魅力的です。そして誰かに「何巻が一番面白いか」と聞かれればすかさず「今週号です!」と答えます。面白さが現在進行形でどんどん加速しているのです。ヤングジャンプ発売日の毎週木曜が楽しみです。一人でも多くの人にこの漫画が読まれれてほしいと願っています。



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