いつだったかの新聞にマイケル・サンデルさんが東京大学で1000人を前に講義した、と記事が載っていた。いいな、と思っていたらテレビで放送してくれた。実際は3時間半の講義が一時間半のダイジェストになっていたのは致し方ない。それでも、テレビを通して彼が考える事柄や問題としていること、このグローバル社会を相手に抱いている野望は十分伝わってきた。
ここで、著本について書いた。実際の講義も私が書いた3つの考え方を柱として進められてゆく。講義と言うよりディベートだ。マイケルさんはチューターのような役割。
テレビで放送されたテーマは3つ。
1.イチローの年俸は高すぎるか?
イチローの年俸は15億。オバマさんの年俸は3500万円。これは妥当なことと考えるか?
2.入学資格をお金で買うことは許されるか?
そんなに優秀な成績ではないが、親が大金持ちで慈善家、子どもが入学すれば最新設備や研究室の新設のために44億円を寄付すると言っている。大学は入学を認めても良いか?
3.戦争責任・愛国心
過去の戦争の責任を今の世代が負うべきか?
自分は大学の有名教授。弟が犯罪で指名手配されたが自分は居場所を知っている。警察に通報するか?
どのテーマに対しても、聴講者から様々な意見が出された。道徳的意味合いからNoの意見を言う人、時と場合によって違うと妥協案を残す人。そのたびにマイケルが鋭くツッコみ、その人の考え方の根っこ、つまり「価値観」を引き出していた。
一連の講義を聴いて、そして気づいた。この人は、「何を正義とするのが個人・社会にとって最善なのか」ということについて話したいのではなくて、「あなたはどう考えるか」ということを世界中の人々に問いたいのだと。そして、その考えにみんなが真剣に耳を傾け、議論できる社会を作りたいのだと。それは答えを出すための議論ではなくて、様々な価値観を自分の中に受け入れることができるようになるための議論なのだ。
そう思って考えてみれば、私たちは正義に関する事柄といつも隣り合わせでいる。それだけ、「そのときあなたはどう考える?」を自分に問えるようになる訓練が出来るということ。日常において議論をすることは難しいけれど、新聞記事などに敏感になっていれば「私なら・・・」と考える素材はいくつもあるだろう。介護疲れで夫が妻を刺殺や職場いじめのうっぷん晴らしに高齢者を虐待なども、素材のひとつかもしれない。
本を読んだ後はちょっと消化不良だったが、講義を聴いてすっきり。本の中身を思い返しても腑に落ちるフレーズがいくつも浮かぶ。
・・・やっぱり、文字だけでも講義だけでも不十分。何事もその人の質感を発信し、筆に委ねして言いたい事って伝わるのだな。
ここで、著本について書いた。実際の講義も私が書いた3つの考え方を柱として進められてゆく。講義と言うよりディベートだ。マイケルさんはチューターのような役割。
テレビで放送されたテーマは3つ。
1.イチローの年俸は高すぎるか?
イチローの年俸は15億。オバマさんの年俸は3500万円。これは妥当なことと考えるか?
2.入学資格をお金で買うことは許されるか?
そんなに優秀な成績ではないが、親が大金持ちで慈善家、子どもが入学すれば最新設備や研究室の新設のために44億円を寄付すると言っている。大学は入学を認めても良いか?
3.戦争責任・愛国心
過去の戦争の責任を今の世代が負うべきか?
自分は大学の有名教授。弟が犯罪で指名手配されたが自分は居場所を知っている。警察に通報するか?
どのテーマに対しても、聴講者から様々な意見が出された。道徳的意味合いからNoの意見を言う人、時と場合によって違うと妥協案を残す人。そのたびにマイケルが鋭くツッコみ、その人の考え方の根っこ、つまり「価値観」を引き出していた。
一連の講義を聴いて、そして気づいた。この人は、「何を正義とするのが個人・社会にとって最善なのか」ということについて話したいのではなくて、「あなたはどう考えるか」ということを世界中の人々に問いたいのだと。そして、その考えにみんなが真剣に耳を傾け、議論できる社会を作りたいのだと。それは答えを出すための議論ではなくて、様々な価値観を自分の中に受け入れることができるようになるための議論なのだ。
そう思って考えてみれば、私たちは正義に関する事柄といつも隣り合わせでいる。それだけ、「そのときあなたはどう考える?」を自分に問えるようになる訓練が出来るということ。日常において議論をすることは難しいけれど、新聞記事などに敏感になっていれば「私なら・・・」と考える素材はいくつもあるだろう。介護疲れで夫が妻を刺殺や職場いじめのうっぷん晴らしに高齢者を虐待なども、素材のひとつかもしれない。
本を読んだ後はちょっと消化不良だったが、講義を聴いてすっきり。本の中身を思い返しても腑に落ちるフレーズがいくつも浮かぶ。
・・・やっぱり、文字だけでも講義だけでも不十分。何事もその人の質感を発信し、筆に委ねして言いたい事って伝わるのだな。