The Society of Hormesis ホルミシス学会

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始まった「中国からの大逃亡」 エリートばかり6万5千人

2013-07-14 12:12:45 | 日記

【石平のChina Watch】

 中国国内紙の『経済参考報』は10日、「中国では現在、1970年代末以来の3度目の移民ブームが起きている」と報じている。

 同新聞が行った関連調査では、2009年に中国から米国への移民だけでその人数は6万5千人に上り、しかもその大半は、エリートや富裕層であるという。彼らの移民先は主に、米国を筆頭にカナダやオーストラリア、シンガポールなどの諸先進国である。

 今年4月に公表された中国社会科学院の関連報告書でも、「中華人民共和国史上3度目の移民ブームが起きており、中国は世界最大の移民輸出国家となりつつある」との指摘がある。

 同報告書によると、70年代末、トウ小平の「開放路線」の実施で海外の情報が入ってくるにつれ、多くの中国人が先進国と当時の中国とのあまりにも大きな経済格差に衝撃を受けてわれ先にと海外への「逃亡」を始めたことが最初の「移民ブーム」である。
 90年代初頭には2度目の移民ブームが起きた。天安門事件直後の閉塞(へいそく)した政治・経済情勢がその背景にあったことは明らかである。

 しかし現在進行中の3度目の移民ブームの場合、様子がまったく違っている。

 中国経済が諸先進国のどこよりも「繁栄」の様相を呈している中、いまこそわが世の春を謳歌(おうか)しているはずの中国エリートや富裕層がむしろ群をなして海外へと逃げていったというのは一体なぜなのか。

 それに答えるために、前出の『経済参考報』記事は当事者たちをつかまえて一連の取材を行ったが、中国国内の環境汚染や食品・医薬品の安全問題、公共サービスの悪さや社会的不平等さ、法体制の不整備と権力の横暴を原因とする「不安感」や投資・ビジネス環境の悪化などが、多くの人々を海外移住へと駆り立てた諸要因となっていることが、取材によって判明しているのである。
言ってみれば、中国の自然・社会・政治・経済環境の全体、すなわち「中国」そのもの全体に対する中国人自身の嫌気と不信感こそが、現在の移民ブームを引き起こす要因となっている、ということである。

 10月に発売された『英才』という月刊誌では、北京師範大学金融研究センターの鐘偉教授が論文を寄稿して同じ問題を取り上げている。彼が出した数字によると、過去10年間、中国から海外への移民数は平均にして年間45万人にも上り、彼らが外国へと持っていった資産は2500億ドル程度であったという。

 ちなみにこの金額は、中国の政府と国内企業が今まで行った海外への直接投資の2倍である。

 鐘教授はここで、「足による投票」という面白い造語を使って今の移民ブームの本質を説明している。
民主主義国家では、選挙のとき、人々は両手を使って投票用紙に何かを記入して投票箱にいれ、それをもって自らの政治意思を表明するのだが、中国ではそんなことができない。

 そうすると、人々は「手」ではなく「足」を使って「投票」してしまう。つまり足を動かして中国から逃げることによって、この国の現状に対する自分たちの認識や未来への見通しを示しているのである。

 要するに中国の多くのエリートたちは、この国の未来に見切りをつけて中国からの「大逃亡」を実行している。そのことはまた、中国という国の危うさを十分に示しているだろうが、このような動きを見て、今でも「バラ色の中国の未来」に望みをかけて中国への進出を試みようとする日本の企業や人は一体どう考えるべきであろうか。

 石平(せき・へい) 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得

石平 (評論家)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E5%B9%B3_(%E8%A9%95%E8%AB%96%E5%AE%B6)
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特許庁、国連とネットワーク構築 TPPへ審査情報共有

2013-07-14 08:53:06 | 知的財産権

 特許庁が、世界185カ国が加盟する国連機関「世界知的所有権機関(WIPO)」(本部・ジュネーブ)と、特許の審査経過などの情報を共有するネットワーク構築に着手することが13日、分かった。平成26年にも加盟国の一部と試行に入る。現在は米、中、韓国などと個別に情報共有しているが、特許出願の統一ルールが議論される環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉などを控え、情報の「国境」をなくす対策を日本がリードする。

 日本の特許庁が米国特許庁やWIPOなどに提案し、方針が決まった。

 特許庁は今月から、2国間などで個別に審査情報の共有を始めているが、欧州や東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の特許庁との間では、審査の途中経過などを特許庁の審査官や企業関係者が閲覧できず、海外進出やビジネス展開の障壁になっていた。

 今後、特許庁が整備ずみのネットワークに、WIPOが保有する加盟国の特許庁のネットワークをつなげる。26年にも始まる試行段階には、英国、オーストラリア、カナダの3国が参加する見込み。本格運用が始まれば、特設のホームページ上から、世界各国の審査経過を閲覧できるようになるという。

 特許庁が審査情報の共有を急ぐ背景には、日本が下旬から交渉に参加するTPPや、欧州連合(EU)との貿易・投資を自由化する経済連携協定(EPA)交渉がある。

 現在は、海外での特許出願は手続きが国ごとに異なるが、TPPやEPAの交渉では、特許出願の統一ルール確立が議論される見通し。統一ルールを実用化する上で、「審査情報の共有は不可欠」(知財専門家)で、ネットワーク化が急がれていた。