アレコレ着る人委員会「平成きもの白書」

委員会は、着る人にとって好ましい商品やサービスや環境を積極的に情報発信し、快適なきもの環境を作ることを目指します。

5-9きもの(5)おせんべいと巻尺

2012-03-15 23:06:40 | 第2回イベント

このお菓子、いただきものなのですが、なんと1つ1つが足袋のかたちをしています、その名も「チビたび」。面白いお菓子があるんですね。埼玉県鴻巣のお煎餅やさんが作っています。足袋の産地・行田に近いので、いわばご当地ならではのお菓子なのでしょうかね。下の写真はメジャー。巻尺ですが、表はセンチ、裏は鯨尺なんです。ですから私の場合はわかりやすいセンチで測り、そこを抑えるか、ストッパーをかけて裏を返すと鯨尺で寸法が表示され、すぐわかります。いままで使っていた中で、一番わかりやすい、優れものです。人形町のナカチカさんで1155円(税込)。でも年間に500個程度しか需要がなく、メーカーも以前は数軒で作っていたのが、いまや1軒。なくなると発注するのですが、メーカーからは「忘られてしまいそう」とはお店の人の話。


5-9きもの(4)整理屋さん

2012-03-15 22:45:36 | 第2回イベント

水通し、水洗い、湯通しなどを作業する会社を「整理屋」さんといいます。今回5-9きものの整理をお願いしてる会社は江東区にあります。といっても人形町から車で10分ほどの距離で、問屋さんやメーカーに朝晩集荷、届けにとこまめに巡回します。いかにもきものを扱う会社らしい社名の「渡菊」さんは昭和7年創業で、いま3代目。業務としては、仕立てや汗落とし、丸洗い、ガード加工など、きものの始末をすべて行いますので「悉皆屋」さんともいわれます。堀留問屋街も往時は、渡菊さんのような会社が何十社と入り、下支えしていましたが、いまは整理屋さんも少なくなったそうです。下の写真は、陰干ししている写真。ミシンは1反1反をつなぎ、長くして一気に水通し、湯通しを行うために、現場でこのミシンで縫います。水や湯に通すと染料が落ちますので、白物からだんだんと濃地のものにと順に組ん、縫いつなぎ、作業をします。今は機械化され、ずいぶん楽になったそうですが、昔はすべてが手作業で、コンクリートの床に長靴をはいての水作業は結構きつい仕事でした。今回のイベントでは、それぞれの段階の反物を展示しますので、手で触れてその感触の違いを実感ください。

 


5-9きもの(3)湯のし

2012-03-15 22:24:56 | 第2回イベント

着尺は、大人の長着1枚ができる生地量を言います。昔は鯨尺で幅9寸5分(約36Cm)、長さ3丈(約11m)でしたが、現代人は体格も良くなっているので、現在では幅38Cm、長さは12mから13mあります。今回の5-9きものは、綿麻ですから、繊維の特性として洗えば縮みますので、その縮みをあらかじめ計算して41㎝幅で織りました。前回の水洗い、陰干しで41センチは38.5センチに縮みました。その反物を縫いやすくするため、反物に蒸気を当て、ローラーで引き、布目と耳をそろえ、均一にし、しわをとります。この工程を「湯のし」と言います。この段階で最低でも加え分0.6ミリは幅が出ます。また少し強めに幅を出しますと40Cmくらいまで幅が出ます。しかし水洗い、水通しすれば湯通し前の生地幅38Cmに縮みます。これが5-9きものの安定した幅といえます。


5-9きもの(2)水洗いと水通し

2012-03-15 22:04:29 | 第2回イベント

5-9きものは、「ご家庭で洗える」を特色の1つにしていますので、生地からオリジナルで織りだしました。そのオリジナルの生地に型染し、プロに出してはたして「水洗い」でどれくらい生地が縮むのか、5-9きものを水洗い実験している様子です。型染めしたきものについている余分な糊や汚れを落とす工程を「水通し」といいます。木綿や麻はパリッと張りのある状態で着るものなので、すっと水を通す程度なので、「水通し」といいます。一方糊をほぼ完全にとり、生地自体を水に十分に浸し、縮ませるだけ縮ませる工程を「水洗い」といいます。下の写真は「水洗い」で、水槽の中は10〰15℃のぬるま湯で、超音波で生地を洗浄している様子です。一般に木綿や綿麻、麻は、水に通します。染料の定着度が低いため、熱湯では染料が流れてしまう可能性があるからです。ご家庭で洗う場合も、「10〰15℃のぬるま湯」を使用ください。また「湯通し」という言葉も聞くと思いますが、湯通しは一般に絹物、特に紬などの織物は織る時に織りやすく、かつ糸が切れないように糊を多く使うものがありますので、湯通しして余分な糊を落とします。工程としては「水洗い」と同じです。ただし「水洗い」の場合は超音波洗浄のあとは、陰干しで自然乾燥させますが、絹物は熱風で生乾きにします。従って「水洗い」して陰干しした状態では布目も、生地幅もばらつきがあります。