アレコレ着る人委員会「平成きもの白書」

委員会は、着る人にとって好ましい商品やサービスや環境を積極的に情報発信し、快適なきもの環境を作ることを目指します。

単衣、夏のきものに関する質問、疑問、なんでも受け付けます!

2012-03-18 17:05:29 | 第2回イベント

3月31日、4月1日の特別イベントのテーマは、出来上がってきた「5-9きもの」のご披露。5-9きものは、単に新しい色柄をつくりました、というだけではなく、「快適に着る」ための仕立ての工夫や、下着、洗い方など、売る人、作る人、そして着る人のノウハウ、いわばきもののソフトを集約し、公開します。

また常々お持ちの単衣や夏のきものに関するさまざまなお悩みや問題、疑問などについて、売る人、着る人、作る人が当日アドバイスします。参加される方も、参加しない方も、この機会になんでもお寄せ下さい。お聞きになりたい問題や質問は、このブログのコメントか、或いはinfo@arecole.comまでお寄せください。


5-9きもの(10)変わり献上③

2012-03-18 11:23:26 | 第2回イベント

今回の変わり献上、同じ柄で2配色作りました。1つが今までご紹介したバニラ。もう1つがチョコレートと名付けたもので、献上らしくない色合いですが、合わせやすく、それこそコンセプトの「ありそうで、どこにもない帯」と好評です。今回着る人と売る人、作る人の大きな違いは、やはり新しい商品を作ろうとするとき、当然今までにないものを作ろうと、お互いに意気込みます。それが行き過ぎると奇抜なもの、目に強烈なものとなり、実際には着たり、締めたりする時に「悪浮」してしまうことが多々あります。今回も、着る人の提案に「そんなのあるよ」「当たり前すぎない」という声もありましたが、「ありそうで、実はない。それは色柄だけの問題ではなく、素材や価格も含めて」ということをお互いが理解、共有するのに時間がかかりました。しかしそのあとは、本当に細々としたところまで、着やすい、締めやすい、使い回しがしやすいなど、要望を全面的に活かし、この帯や5-9きものが、できました。まさに着る人の実感が映されたきものと、言えます。写真のチョコレートは、色が浅く映っていますので、当日ご自身の目でご確認ください。

 


5-9きもの(9)変わり献上②

2012-03-18 11:05:49 | 第2回イベント

オリジナル帯の織り出しに、九州・筑紫市にある西村織物の工場まで取材をかね、念には念を入れ、最終確認にゆきました。帯や織物をオリジナルで作るのが大変なのは、出来上がる数です。染物、手描きなどは1枚からできますし、型染も1枚からでき、注染も東京では2枚からできます。もちろん、1枚ではその都度染料を作り、板場を洗うなど手間暇は10枚作ろうが、20枚作ろうが同じですから、当然価格は高いものになってしまいます。織物の場合、大島紬では昔は16反、今では6単程度ですが、織るまでの下準備工程の複雑さによって、1回に織りだす効率的な本数や反数は決まっています。献上の場合は、最低でも1回に20本分以上の縦糸、横糸を染め、整形しないと織れませんし、数が少なければ当然価格が高くなり、現実的な価格になりません。しかし1社で同じ柄を20本も、というのはとても大変なのです。今回は全国の志を同じくする売る人、作る人がいて初めて可能となりました。縦糸が切れないようになど丁寧に織工程を点検しながら織り出しますので、この力織機でも1日に織れる数は、わずか4本しかできません。今回の変わり献上、

 

「ありそうで、ここにしかない、アレコレ着る人委員会が作り出した完全オりジナルです。


5-9きもの(8)変わり献上①

2012-03-18 10:50:26 | 第2回イベント

今回の5-9きものの傑作の1つは、この変わり献上。12月4日のイベントでもお好きな方は10本も持っている、という方もいらっしゃいました。また当日発表したピンクや地色の白に対してのご意見もありましたので、推敲を重ね、献上博多のもつ粋さではなく、オトナカワイイ、洗練された色柄に仕上げました。通年づかいできるように、他のきものとも合わせやすい、くせがないのが特徴。色や柄は何度も何度も細かく修正し、その都度図案を起こし、(西村さんが大変でしたが)決めました。織り出すぎりぎりにも工場の方から、色を変えたほうが「安心」という電話も頂きましたが、プロが安心はイコール、売れ筋のありそうな帯となるので、着る人の初志貫徹で、織り上げました。でき上がりを見て、着る人委員会の参加メンバーから歓声が上がるほどの完成度でした。

 

写真は、13〰15日に関係者に発表した時の写真です。更紗柄は上品なスミレ色とオトナピンク。関東巻きと関西巻きした時に「前帯」の印象が変わるように工夫をしました。特に帯締め、帯留を使った時、帯のラインと重ならず、帯締めがいい線に配置され、素敵な感じとなるよう工夫しました。写真の帯には「変わり献上・バニラ」と名付けました。


5-9きもの(7)水洗い

2012-03-18 10:00:55 | 第2回イベント

プロ、整理屋さんにお願いすれば、しわ1つなくきれいに、しかも生地幅などほとんど織り出しと同じ寸法に仕上げていただくことができます。麻や木綿は天然繊維で、生地特性として通気性や吸湿性に優れていますので、水をよく吸い込む繊維構造になっています。ですから、水に浸せば、当然縮みます。5-9着物は、生地幅40.5センチで織っていますが、最初に生地を十分に水に浸し、縮ませた安定した生地幅は、38.5センチ。それでも2回、3回と洗いますと1ミリ程度は縮みます。ですから、最初に着るとき洗って縮んでもいいので、生地幅いっぱい裄をとって仕立てることもできますし、あらかじめ水洗いして、最初から縮ませて生地幅38.5センチで仕立てることもできます。この辺りは好みですし、呉服屋さんに相談してみたらいいと思います。写真は、プロではなく、編集部で水洗いしたものですが、ぬるま湯に浸け、数回軽く押して、3時間そのまま放置。そして水を自然に切り、洗濯機でネットに入れ20秒ほど脱水して、陰干ししました。今の時期ですが、2時間ほどで生乾き状態になりましたので、アイロンをかけて完成。しかし14メートルもの反物にアイロンで生地目と耳をそろえる作業は、結構大変で、仕立てたもののほうが、簡単だろうなという印象でした。1回目の洗いで、約2センチ縮み、38.7〰38.5センチ、というのは結構優秀な生地と言えると思います。

これからモニターの方に、仕立て上げたものを着ていただき、実際に水洗いを数回繰り返し、色や生地の変化を見て、皆さんに発表します。ここまでテストをして発表するのは、不思議かもしれませんが業界ではあまり、というか、ほとんどありません。何しろ、数百年の歴史が培ってきた経験値がありますから。