呉服店各位様に
これからこのブログで展開する「着る人委員会」の各種アンケート報告を、誰より是非呉服店の皆様にはお読み頂き、活用頂きたいと考えています。
いま作り手は何が売れるのか、何を作れば喜ばれるのか、本当に悩んでいます。一方で着る人は、欲しいモノがないと不便や不満を感じています。もっときものを着たいのにかみ合わない状況が長く続いています。原因の1つは、いままで流通=問屋さんが各地の呉服店を回り、さまざまに情報収集して、マーケティング機能を果たしてきましたが、いまや流通にチカラがなくなり、マーケティングング不在になってしまったこと。いま1つはお客様が欲しいモノを見つけ出し、品揃えし、提案するいちばんのマーケティング能力が個々の呉服店で弱体化してしまったこと。言ってみれば、すべてはお客様、特に[着る人の姿]を見失ってきたことに起因します。ですからもう一度[着る人の姿]を見つけ出すことから真摯に始めよう、と言う試みが「着る人委員会」の活動です。
ロングセラー「明日の広告/アスキー新書」の著者/佐藤尚之は、商品開発から提案、広告、販売という一連のマーケティング活動をラブレターに例えて「今はラブレターを渡す環境も変わってしまった。読んでもらえること、心を動かすためには、渡す相手のことをよく見て、聞いて、本当に喜ぶことを見極めた上で、内容や渡し方を工夫しなくてはならない。」と消費者理解のためのコミュニケーションの重要性を説いています。しかし「マーケティングは消費者に勝てるか」の著者/ルディー和子は、「消費者は嘘をつく」「消費者の記憶は当てにならない」「消費者は言葉で考えていない」などマーケティング活動によって収集した質問に対する回答を事実とみなし、その通りに実行すれば成功するほど単純で、甘くはない。その言葉の裏側、内面を深く考えなければ成功はおぼつかない、と警告しています。
あなたは親しい女性、奥様でも恋人でも、「プレゼントは何が欲しい?」などと聞いて、その通りに実行したら、その女性は満足すると思いますか?もしその女性が恋人だったら、多分、喜びも満足感も平均で、高得点は得られないでしょう。女性が求めているのは、自分のことをきちんと知ろうと目をこらし、耳を澄まし、自分でも気づかなかった欲しいものを考えてくれる男性なのではないでしょうか。呉服屋さんはプロですから、当然個々では日々行っていると思いますが、もう1回体系的に、継続して、自店の顧客以外にも、着る人をきちんと知ろうと目をこらし、耳を澄まし、丁寧に着る人から「聴く」ことが必要です。着る人委員会は、いまいちばんお客様に近い立場にある呉服店を起点としたビジネスモデルを着る人、作る人と一体となって[共創関係]を構築してゆくことこそが閉塞した現状を打破する、最善の方法と考えています。ですから、誰よりも呉服店の皆様に先ずこれから始まる一連のレポートをお読み頂きたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
着る人委員会